ナイキの「ダンク」
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ナイキ「ダンク」人気はスニーカーバブル終焉の予兆? アトモス代表が注視するその理由

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 毎日のように新作が発売され、話題が尽きないスニーカー市場。スニーカーマーケットプレイス「ストックエックス(StockX)」が2020年12月に2億7500万ドル(約284億円)の巨額調達を実施したほか、1月には国内最大規模のスニーカーフリマアプリ「スニーカーダンク」を運営するSODAが設立約2年で25億円を調達するなど、スニーカー愛好家だけでなく、投資家からも注目を集めている。各分野から熱視線が送られ、バブルといっても過言ではない状態を迎えている一方で、スニーカーセレクトショップ「アトモス(atmos)」を運営するテクストトレーディングカンパニーの代表 本明秀文(ほんみょうひでふみ)氏は、ブーム終焉の予兆を感じているという。

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 本明氏は、「トレンドのコート系スニーカーの一つとして2019年頃から注目されているナイキのダンクが気になる。これが落ち着くと共にスニーカーブームが収束するのが中長期のトレンドだからだ」と語る。「ナイキ(NIKE)」の「ダンク(Dunk)」は、1985年にNCAA(全米大学体育協会)男子バスケットボールトーナメントの名門7大学のカレッジカラーを発表し、昨年35周年を迎えたスニーカーでナイキにとっても屈指の人気モデル。アッパーのツートーンカラーが特徴で、2019年頃から「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー™(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH™)」や「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」、ラッパーのトラヴィス・スコット(Travis Scott)などとコラボレーションしたことでも話題を集めた。2020年に販売されたモデルは全て即完売し、今年1月8日にカスタマイズサービス「NIKE BY YOU」にローカットモデルが追加されると開始数分で売り切れ状態となるなど新作を期待するファンも多い。

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 「今のスニーカー市場はナイキを中心に回っているが、ダンクの次に続くモデルがない。数多くの名作スニーカーや、優れたブランディングでスニーカー業界を牽引するナイキ社だが、近年の大きなトレンドを振り返ると、2017年頃からエア マックス(AIR MAX)が人気を集め、その後エア ジョーダン(AIR JORDAN)、エア フォース(AIR FORCE)、そしてダンクへと移り変わっている。スニーカーブームの波は繰り返し起きており、『エア マックス』『エア ジョーダン』『エア フォース』のナイキ社を代表する3シリーズの人気が落ち着き始めるとダンクが好調になり、その後スニーカーブームが終焉を迎えるという流れだった。これまでもアッパーのカラーを反転させた『裏ダンク』を発売した1999年をはじめ、2008年頃のダンク人気などフィーチャーされることがあったが、ダンクブームが収束するとスニーカーが売れなくなった」と本明氏は回想する。往年の定番人気モデルのヒットが続く先にはダンクの人気再燃があり、その次のヒット作を作り出さなければ愛好家たちの購買意欲は下がるため、現在のスニーカートレンドを体験していない次世代が育つまではスニーカー熱は冷めていく、という予測だ。

 ただ、過去と現在のスニーカーブームでは大きく異なるポイントが3つある。1つ目は店舗の売り場縮小によって、店舗毎の在庫数が減り、全ての人が同じモデルを購入することが難しくなっていること。2つ目はSNSの普及により、世界中で同じモデルが流行し、世界規模で人気スニーカーの争奪戦が起きていること。3つ目がリセール市場の拡大で、ビジネスマネーが大量参入した点。これらの相違点からこれまでのスニーカーブームとは、違った動きを見せるのではないかと期待されている。

 本明氏はバブル崩壊を防ぐためには「希少なモデルによってスニーカーの市場価値を下げないことが大事」と話す。近年はリセール市場の拡大によってスニーカーの二極化が加速しており、人気スニーカーはプレミア価格で数十万円でも購入するが、セールになるようなモデルは半額以上の割引額でも買わないといった人が増加。次のヒット作を作るために大量のデリバリーを行いビジネスを回すが、大幅なセールをしても売れないモデルの在庫に頭を抱えているブランドも多く、供給のバランスを調整しながらタイミングを見て希少スニーカーを投入することで市場価値を保っているのが現状だ。

 「今後は定価で売り切れなければ命取りとなる可能性が高い。アトモスは2018年頃から東南アジアへの出店を進めているが、特に東南アジアにはまだまだ商品が行き届いていない」とアイテム供給先の再考も必要だと説明する。「東南アジアなど若年層が多く、供給が追いついていない地でスニーカー熱を盛り上げることが大切だと思う。スニーカーブームを経験する層を断続的に開発し、次世代を育てることで世界中の愛好家や二次流通とのネットワークも広がり、新しい需要を育てることが可能になる」という。それが結果的に今後の世界バランスを保ち、一過性のブームではなく根強いカルチャーとしてスニーカー市場が今後も継続するキーとなると指摘する。ただ、売却するために購入する者や、フェイク品の横行などでモラル欠如も叫ばれることが多くなったスニーカー市場。ナイキが人気モデルのダンクを「NIKE BY YOU」へ追加し、カスタマイズ余地を提供するなど今後はユーザーを巻き込んだコミュニティ形成が重要になってくるのかもしれない。スニーカーファンの期待は日に日に膨らんでおり、応え続けるサプライヤーの責任も重くなっている。作って売るだけというこれまでのビジネスからの脱却を視野に各社の動向に注目が集まる。

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