コロナが落ち着き外出機会が増えた2022年。実際に売れたブランドはどこだったのか? 「アディッション アデライデ」や「インターナショナル ギャラリー ビームス」など8つの高感度ショップに「2022年売れたブランド」と「2023年注目のイチ押しブランド」を調査。推薦コメントと共に紹介します。<メンズ編>
目次
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メンズコンテンポラリー(伊勢丹新宿店メンズ館)
伊勢丹新宿店メンズ館6階に構える自主編集売り場。独自のスタイルを究めたデザイナーやブランドによる等身大のライフスタイルやファッションを表現したゾーンと、「ミニマル&トラッド」「ワイルド&スポーツ」のスタイルをベースに最新最旬のファッションを編集したゾーンの2つで構成し、新たなトレンドファッションやライフスタイルを発信している。
2022年に売れたブランド:オーラリー(AURALEE)
岩井良太によるブランドで、2015年春夏シーズンにデビュー。オリジナルで開発した上質な素材と洗練されたシルエットが特徴で、シンプルかつ上品なスタイルは男女問わず支持を集めている。伊勢丹新宿店ではメンズ・ウィメンズともに「2022年売れたブランド」に選出。
<担当者コメント>
シーズンを通してももちろんですが、10月に開催したメンズ&ウィメンズ合同のポップアップストアが、お客さまに大変ご好評をいただきました。DAIKEI MILLS様にご協力いただいた内装も美しく、改めてブランドとしての表現力の高さを感じさせる出来事となったため、こちらに挙げさせていただきます。(伊勢丹新宿店 メンズ館 メンズコンテンポラリー バイヤー 國友崇裕)
2023年注目のブランド:アワーレガシー(OUR LEGACY)
ヨックム・ハリン(Jockum Hallin)とクリストファー・ニイン(Christopher Nying)がスウェーデン・ストックホルムで2005年に立ち上げ。シンプルかつタイムレスなデザインを得意としている。デビュー時はTシャツを展開していたが、2007年に初のフルコレクションを発表。2019年からはウィメンズラインも手掛けている。
<担当者コメント>
アワーレガシーは、毎シーズン特徴的なファブリックを用いて、シンプルな中にこだわりが詰まったアイテムが揃い、どのようなテイストとも相性が良いです。スタイリングや表現方法に関しても、独自性が高く目を見張るものがあります。2023年春夏シーズンからメンズ館6階で取り扱いを再スタートいたしますのでご期待ください。(同上)
ガラージュ D.エディット(阪急メンズ大阪)
阪急メンズ大阪2階の自主編集売り場。「アクネ ストゥディオズ(Acne Studios)」や「オールモストブラック(ALMOSTBLACK)」「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(Children of the discordance)」など個性の際立つアイテムを国内外からセレクトしている。
2022年に売れたブランド:コモリ(COMOLI)
Image by: ガラージュ D.エディット
デザイナー小森啓二郎は文化服装学院卒業後、大手セレクトショップでデザイナーとして経験を積んだ後に独立し、2011年にコモリを設立。日本の気候と日本人の体型に合った、上質でシンプルな日常着を提案している。
<担当者コメント>
ミニマルでクリーンな印象のアイテムラインナップが、メンズ大阪の周辺ラグジュアリーブランドのお客様からも支持を獲得。シャツやデニムなど、ブランドのアイコンとなるアイテムは即完売に近いスピードで、他のブランドとのミックスコーディネートもしやすく、幅広い年代に好評。ワークスタイルの変化で程よく清潔感のある、ゆるく着られるセットアップなども、オフィスカジュアルニーズも相まって好調だった。(阪急メンズ大阪 ガラージュ D.エディット 坂東圭祐)
2023年注目のブランド:エムエーエスユー(M A S U)
Image by: ガラージュ D.エディット
「マスプロダクション」をコンセプトに掲げ、2017年春夏シーズンにデビュー。2018-19年秋冬コレクションからリブランディングに伴い、後藤愼平がデザイナーを務めている。型がある服の長所や短所を考察し、伝統を尊重しながら現代の空気をまとわせることで新しいスタイルを提案している。
<担当者コメント>
ヴィンテージからのインスピレーションを得たデザインにオリジナル生地を使用するなど、唯一無二のブランドとしてファッション大好き20代を中心に人気過熱。ボンバージャケットやトラックジャケットなどメンズを象徴するアイテムに、レーザーカットやレース使いといった少しフェミニンな加工を施すなど、ガラージュとしては女性にも是非おすすめをしていきたいブランド。(同上)
アディッション アデライデ
「アデライデ」の姉妹店で、2002年に東京・表参道にオープン。「希少価値の追求、アートとの融合、ユニセックスとユーティリティ」をキーワードに、新しいムーブメントを作る独創的なブランドを提案し続けている。今年でオープン20周年を迎えた。
2022年に売れたブランド:イーゴンラボ(EGONlab.)
パリを拠点に活動するイーゴンラボは、Kévin NompeixとFlorentin Glémarecのデザイナーデュオによって2019年に誕生。ブランドが得意とするテーラードにアーバンパンクのDNAを加えた、ジェンダー・体型・年齢を厭わないデザインが特徴。2021年にフランスの権威あるデザイナー賞として知られる「アンダム ファッション アワード(ANDAM fashion award)」でPierre Bergé賞を受賞し、2022年にはザ・ウールマーク・カンパニーが開催するデザインコンテスト「インターナショナル・ウールマーク・プライズ(International Woolmark Prize)」のファイナリストに選ばれている。
<担当者コメント>
特にテーラードは弊店で取り扱うどのメゾンブランドにも負けないデザインながら、手の届きやすい価格帯も魅力で毎シーズン完売が続いています。独自のスタイルを創造するイマジネーションを持ちつつ、トレンドにも沿ったコレクション内容は、当店ですでに固定のファンを築いています。(アディッション アデライデ マネージャー 沼本博史)
2023年注目のブランド:ピーター ドゥ(PETER DO)
デザイナーのピーター・ドゥ(Peter Do)は2014年にニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)を卒業後、LVMH Graduate Awardを受賞。「セリーヌ(CELINE)」で経験を積んだのち、自身の名を冠した「ピーター ドゥ」を立ち上げた。2023年春夏シーズンに初のメンズコレクションを発表。ニューヨークファッションウィークのショーではNCTのジェノ(JENO)らをモデルに起用した。
<担当者コメント>
2023年春夏シーズンではメンズウェアを初披露。当店ではジャケットやパンツ、シャツなどのアパレルから、バッグやブーツまで幅広く展開いたします。ピーター ドゥを代表するシグネチャーアイテム達も、今回ついにメンズ向けのサイジングで登場。ウィメンズウェアと合わせて、国内で最も豊富にラインナップをご用意します。(同上)
リステア
2000年設立。東京・六本木に位置するRESTIR BOUTIQUEは、ブラックの巨大なコンテナをイメージしたミステリアスな外観デザインが特徴で、3フロア構成の店内ではメンズからウィメンズ、コスメ、アートまでエッジの効いたコレクションを幅広くラインナップ。近年はライフスタイル領域にも力を入れている。
2022年に売れたブランド:ロエベ(LOEWE)
1846年にスペイン・マドリッドに皮革製品工房として誕生。1996年からLVMHグループに加入している。2013年にクリエイティブディレクターに就任したジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)によるコレクションは若い世代からも支持を集めている。
<担当者コメント>
今、全方位にアクセスできる稀有なラグジュリーブランドです。ジョナサンの世界観に魅了されたファッション感度の高い方から、レザーグッズやロゴアイテムをお求めの若年層、またコレクションアイテム以外にベーシックなアイテムも充実しており30代以上のクリーンなスタイルを求めるお客様にも人気。価格帯は高いですが、ユニークなデザインと老舗メゾンらしいフィニッシュの質感で常に需要の高いブランドです。2022年秋冬コレクションは50万〜100万円のレザーアイテムも即完売し、先日納品された2023年春夏コレクションの1stデリバリーも驚くほど早く売れています。(リステア メンズウェアバイヤー 浅野康行)
2023年注目のブランド:マリーン・セル(MARINE SERRE)
デザイナーのマリーン・セル(Marine Serre)は、ベルギーの美術学校ラ・カンブルの在学中に「アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)」や「メゾンマルジェラ(Maison Margiela)」などでインターンを経験。同校を首席で卒業し、2017年に自身のブランドを立ち上げた。三日月柄のプリントを用いたコレクションで知られる。同年に第4回「LVMH Young Fashion Designers Prize」でグランプリを受賞。2020年の「アンダム ファッション アワード(ANDAM fashion award)」では「ワイ・プロジェクト(Y/PROJECT)」と並んでグランプリに輝いた。
<担当者コメント>
ウィメンズではブランド設立当初より取り扱いがあるマリーン・セルですが、満を持してメンズでも取り扱いを開始します。ジェンダーや世代を超えたアプローチが魅力のブランドですが、特に2023年初夏シーズンはスポーティな仕上がりでデニムやシャツ、スニーカーなど取り入れやすいアイテムが充実していたことが決め手となりました。また、円安の影響で国内他社のインポートブランドの買付額が減っているシーズンですが、リステアでは高単価でもシーンを牽引するデザイナー達の唯一無二のクリエーションをお客様にお届けしたいという観点から、敢えてインポートブランドの新規取り扱いを増やしています。(同上)
ミッドウエスト
1976年創業。東京、名古屋、大阪の3つのエリアに店舗を出店し、世界的コレクションブランドからデザイナーズブランドまで幅広くラインナップしている。
2022年に売れたブランド:リック・オウエンス(Rick Owens)
アメリカ・カリフォルニア出身のリック・オウエンス(Rick Owens)が立ち上げたブランド。ミニマリズムや建築、グラフィックアートを彷彿とさせる独自の美学を落とし込んだ、アヴァンギャルドなコレクションを提案している。洗練されたエレガンスとグランジなどのアンダーグラウンドの2面性を持つ、しなやかで力強いデザインが特徴。顧客はマドンナやケイト・モス、コートニー・ラブといった海外セレブも多く、全身「リック・オウエンス」でコーディネートする熱狂的なファンも抱える。ジャージー素材のアイテムで構成された「リック・オウエンス・リリーズ(RICK OWENS LILIES)」や家具のライン、デニムを中心とする低価格帯のディフュージョンライン「リック・オウエンス・ダークシャドウ(RICK OWENS DRKSHDW)」も手掛けている。
<担当者コメント>
これまでアヴァンギャルドなデザインが先行して着こなすのが難しい印象から、タウンユースで使える商品のバリエーション増加により人気を集めています。既存のリックファンは強いコレクションピースが、新規層には“TE”や“BA”素材の定番パンツ、トップス、スニーカーなどが刺さっています。またコロナ禍で、値段問わず良いものを長く着たい層が増えたことも人気の要因です。(MIDWEST PRESS 大澤錬)
2023年注目のブランド:エムエーエスユー(M A S U)
デザイナーは後藤愼平。ブランド名のMASUは「ます」という丁寧語にも由来しており、日常で多用されながらも価値を無くさない「ます」という言葉のように、価値が損なわれないアイテムやスタイルの提案を目指している。阪急メンズ大阪の「ガラージュ D.エディット」に続いて「2023年注目のブランド」に選出。
<担当者コメント>
今ドメスティックブランドで世界で勝負できる数少ないブランドだと思います。2023年春夏コレクションで圧巻だったショーの作り込みからブランドの世界観まで、ファッション好きを熱狂の渦に巻き込んでくれます。またデザイナーのセンスや洗練された感性が感度の高い若者を虜にしており、今後は次世代の日本を代表するブランドとして活躍されるはずです。(同上)
スーパー エー マーケット
トゥモローランドが運営するセレクトショップ。独自の価値観と美意識、時代感をもって、デザインや品質にこだわった商品を世界中から幅広く選定し提案している。2011年2月に1号店としてオープンした青山店のほか、ニュウマン新宿にも店舗を出店。
2022年に売れたブランド:ボーディ(BODE)
メンズウェア市場では未だ珍しい女性デザイナーで、パーソンズ美術大学でメンズファッションデザインと哲学を学んだエミリー・アダムス・ボーディ(Emily Adams Bode)によるニューヨーク発のブランド。2016年にデビューし、翌2017年にはメンズウェアの女性デザイナーとして初めてニューヨークファッションウィークに参加した。ヴィンテージ素材を活用したクリエイションを得意とする。スーパー エー マーケットではウィメンズとともに「2022年に売れたブランド」にリストアップされた。
<担当者コメント>
スーパー エー マーケットでは2017年からお取り組みがあり、今では欠かせないブランドです。Emily氏の哲学やクリエイションはブランド初期から変わることなく、お客さまからの期待はシーズンを追うごとに高まっています。まるでヴィンテージショップの名店に来たような、そんな高揚感を感じでもらえるコレクションです。(スーパー エー マーケット メンズバイヤー 田辺雄一郎)
2023年注目のブランド:ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)
デザイナーのラフ・シモンズ(Raf Simons)が1995年にメンズブランドとして設立。音楽やサブカルチャーなどユースカルチャーを背景に、メッセージ性の強いコレクションを発表してきた。パリからロンドンへ発表の場を変えた2023年春夏コレクションが、ブランド最後のシーズンとなり、ラフのデザイナー業は共同クリエイティブ・ディレクターを務める「プラダ(PRADA)」のみとなる。
<担当者コメント>
スーパー エー マーケットでは10周年の企画をお願いしたり、お店にも来て頂いたりと、とてもご縁の深いブランド/デザイナーです。2023年春夏はSimons氏にとってのラストコレクション。27年分の感謝とFarewellを伝えていきます。(同上)
エイチ ビューティ&ユース
ユナイテッドアローズが展開する「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ(BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS)」のコンセプトストアで、2016年4月に南青山にオープン。コンセプトは「City Man and Woman」。「東京大人のクールな服」をテーマに掲げ、ハイエンドなスポーツ・カジュアルを軸にアイテムを提案している。
2022年に売れたブランド:ブラームス(blurhms)
「ブラームス」2022年秋冬コレクションより
2012年にデビュー。デザイナーは村上圭吾。ブランド名は「blur」と「hmm…」を組み合わせた造語で、不透明な状態から考え抜くことで良い物事が造られることを意味している。「ロング・ライフ・プロダクト」を追求し、上質な生地やシルエットから生まれる着心地の良さやミニマルなデザインが支持を得ている。
<担当者コメント>
年々盛り上がりをみせるブランドで、今期は特にアイテムに偏ることなくブランド全体としてお客様からの支持があり、完売続出でした。今後、更に盛り上がりそう。(ビューティ&ユース メンズファッションディレクター 藤橋享平)
2023年注目のブランド:アンスクリア(INSCRIRE)
セレクトショップでデザイナーやMD、バイヤーなどの経験を積んだ岡ゆみかが立ち上げたブランド。2017-18年秋冬シーズンに欧州ブランドの輸入販売をメインに手掛けるアマンからデビューした。普遍的でありながら遊び心のあるスタイルで、ファッション感度の高い男女から支持されている。
<担当者コメント>
ウィメンズで高い人気のブランドですが、メンズの人気も上々。ビューティ&ユースでは別注企画を展開するなど、2023年春夏は今まで以上に期待のシーズンとなっています。(同上)
インターナショナル ギャラリー ビームス
1981年に「ビームス(BEAMS)」からデビュー。好奇心を持ち続けるすべての大人に向けて、インターナショナルな感覚でよりトレンドを意識したインポート商品を中心にセレクトしている。
2022年に売れたブランド:セッチュウ(SETCHU)
ミラノ発のブランドとして2021年春夏シーズンにデビュー。「ジバンシィ(GIVENCHY)」や「ガレス・ピュー(Gareth Pugh)」、サヴィル・ロウの老舗テーラー「ハンツマン(Huntsman)」を渡り歩いたほか、Ye(カニエ・ウエスト)のもとで仕事をしてきた経験を持つ日本人デザイナーの桑田サトシが手掛けている。ブランド名は、主に建築における和と洋の融合を表す日本語の「和洋折衷」に由来。文字通り「折衷」を信条とし、2つの文化をミックスすることにより新たなクリエイションを生み出している。
<担当者コメント>
取り扱って初めてのシーズンでしたが、著名スタイリストにご予約頂いたり、国内の気鋭デザイナーの方にも一目惚れで購入して頂きました。今のところ、日本よりもイタリアを始めとした海外での評価が高く、今後の動向に注目しています。(インターナショナル ギャラリー ビームス メンズディレクター 服部隆)
2023年注目のブランド:トゥー・スーン・トゥ・ノウ(TOO SOON TO KNOW)
インターナショナルギャラリー ビームスから2022年秋冬シーズンにデビューした新ブランド。デザイナーは「クラス(CLASS)」の堀切道之。「クラスの延長線上にあるブランド」をコンセプトに展開し、ビジネスシーンを対象としたテーラードではなく、UKムードを表現したファッションとしてのテーラードアイテムを提案している。ブランド名は、堀切が好きなアーティストのロイ・オービソン(Roy Orbison)の曲名に由来。
<担当者コメント>
クラスのデザイナー堀切さんとタッグを組み、2022年秋冬シーズンからスタートしましたが、大好評でして、2023年春夏シーズンも新型を加えて展開します。「クラスの延長線上にあるブランド」という位置付けで、堀切さんが拘り抜いて作り上げています。(同上)
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