6月9日に開催されたadidas会
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"アディダス=セール"からの脱却、アトモスが交流の場「adidas会」を開く理由

 「アトモス(atmos)」は、スニーカー小売の中でも一風変わった取り組みを行っている。その一つが、日本各地のショップや飲食店で「アディダス(adidas)」について語り合う、アトモス代表の本明秀文(ほんみょうひでふみ)氏が主催する「adidas会」だ。

アトモス 本明 買収

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 本明氏は、adidas会を始めた理由を語る際に昨今のスニーカー市場について言及。2010年代後半から「ナイキ(NIKE)」が牽引していたスニーカーブームだが、本明氏によるとナイキの勢いが落ち着いてきているという。「これまでは発売日に全て売り切れていたようなナイキのモデルも最近は95%程度の消化率になってきている。皆んな一辺倒な市場に飽き始めているのだと思う」と分析する。しかし、アトモスの2022年5月の売上は前年同月比20%増の約22億円で変わらず好調を維持。「ほとんどの人が"ナイキしか売れない"と思っているから市場全体が下火だと感じている人も多い。でもアメリカのオン(On)の店舗には行列ができるほど人がいるし、オールバーズ(Allbirds)を履いている人もよく見かける。クロックス(Crocs)とサレへ・ベンバリー(Selehe Bembury)のコラボレーションモデルもかなり売れているし、ニューバランス(New Balance)も勢いがある。しっかりと市場を見れば売上をあげることはできる」と話す。現にアトモスは、オン、クロックス、ニューバランスなどと別注モデルを展開。昔から仕込んできたブランドとの取り組みが今の成果に繋がっているといい、「adidas会」もその仕込みの一環だと説明する。

 「アディダスは3年間くらい本当に全然売れてなかった。仕入れた数を売り切るにはセールを絶対にしなければいけないような状態だったし、すぐに半額で売ったり、最終的には70%オフなんてこともざら。お客さんもすぐにセールになることを知っているから買う気が失くなるし、そういった声をよく聞いていた」。スニーカー愛好家の間で定着していた「アディダス=セール」というイメージを脱却するために、まずはファンを作ることに重きを置き、アディダスについて語り合うadidas会の開催を決めたという。

 adidas会はアトモスのショップをはじめ、現地のカフェ、広島のお好み焼き屋といったご当地飲食店など様々な場所で実施。軽食や飲み物を提供し、歴代のアディダススニーカーや新作モデルなどについて、来場者参加型で語り合う。今後予定している施策を参加者に相談することもあるそうだ。「実はアディダスマニアという人も結構多いが、友達と会話を合わせるために話題性のあるナイキを履いている人がいる。そういった人たちが思う存分アディダスについて話せて、友達が作れるような場所になってきているのではないか」と会の手応えを感じているという。実際、6月9日に原宿の「アトモス エーティーエーディー(atmos A.T.A.D)」で開催したadidas会には、約400人が応募するなど盛況だった。

 ただ最初から順風満帆というわけではなかったという。2021年に行った第1回となるアトモス千駄ヶ谷店での会には約40人しか集まらず、名古屋では参加者が10人程度だったそうだ。「参加人数も少なかったし、最初は40〜50代と高めの年齢層しか集まらなかった。でも、告知を増やしたり、会の様子をYouTubeで発信していたら、息子を連れて来てくれるお父さんがいたり、5回目くらいからは若い人も集まるようになった」と振り返る。

 会では、アトモスからの提案でアディダスを2年半かけて説得して復刻したというスニーカー「アディマティック(ADMATIC)」を展示。「アディダスからはアディマティックを持って行ったらダメだと言われていたが、僕らは無視して来場者に見てもらった。決まりを守ってこれまでの方法を続けていてもファンは作れない。会ではほとんどの人が『買う』と言ってくれたので自信に繋がった」といい、結果的にアディマティックのブラックとグリーンの2色の復刻モデルを発売した3月26日には1日で1万足以上を販売した。また、アディマティックに呼応して「ZX 8000」「キャンパス(CAMPUS)」といったモデルの売れ行きも好調だそうだ。

 本明氏は「僕らはメーカーの前でも忖度なく、ダメな箇所はダメと言う。お客さんを騙すのは至難の技だから、騙そうと思わず、真面目に問いかける方が良い。それの最たる例がadidas会だと思う。結局はお客さんの顔が見えないと小売は売れないから」と話し、今後も市場の流れを汲みながらスニーカーファンに寄り添った取り組みを行っていくという。

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