Image by: 横堀良男
東南アジアの最新情報を綴るコラム「ジャラン ジャラン アジア」。1年間の3分の2以上を東南アジア諸国で過ごし、契約バイヤーのほか、ポップアップショップ、展示会出展、ファッションショーの代理店などを行う横堀良男氏が現地の情報をレポートします。
(文・横堀良男)
これまでにインドネシア、シンガポールのファッション事情を紹介したので、今回は別の国について書きたいと思います。
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仕事柄、東南アジア諸国を行き来しています。たまに日本で、友人に会うと「東南アジア、どう?」とよく聞かれます。
東南アジア全体について答えることは難しいので、そんな時はどこか一つの国で起きているエピソードを話したりします。友人たちの反応を見ていると、その国に行ったことがないのに各国のイメージになんとなく先入観があることに気付きました。
シンガポール:先進国っぽい。お金持ちが多そう。
インドネシア:勢いがありそう。バリ島?
タイ:なんか楽しそう。旅行で行きたい。
あれ?フィリピンは?
フィリピンのイメージを友人たちに聞いてみると、まず留学先として近年フィリピンの英語学校に行く人が多かったので、英語の留学先のイメージがあるようです。
他には、なんか治安が悪そうとか、前大統領が恐そうとか(彼はたしかにコワ面ですが!)。少しネガティブなイメージを持つ人が少なからずいます。確かに、日本で知られているフィリピン人の有名人が少ないのも一つの理由かもしれません。
知られている有名人といえば、
・ドゥテルテ前大統領
・マニー・パッキャオ(ボクシングの世界チャンピオンで国会議員)
偶然、二人とも超強い人間ですね(笑)。
なので!今日は、(勝手に)フィリピンのイメージアップのためにフィリピン最大の都市であり、首都でもあるマニラの場所・こと・ものを中心にファッション関連、おしゃれなポイントなどを紹介します。「次の海外旅行はフィリピンにしよう!」と思ってもらえるはずです。
1-サステナファッションが進んでる
日本でもサステナブルなコンセプトを掲げたブランドを最近よく見かけますよね。実は、フィリピンは東南アジアの中でも特にサステナブルな取り組みが多い、と以前から感じています。
フィリピンでは展示会やイベントなどに行っても、サステナブルなブランドを非常に多く見かけます。マニラにあるデザイン学校を訪れた時にその理由がわかりました。
そのデザイン学校では、建築とファッションの2つのデザインを学べます。ちょうど私がお邪魔した時に、ドイツから建築の大学教授が講義に来ていて、彼はフィリピンの建築デザインについて、このように話してくれました。
「フィリピンでは島が多く、船で何時間も乗らないと行けないような物流に困る島や、毎年台風で家が壊れてしまう島もたくさんあります。そんな島の出身の若者はたくさん勉強して、そういった自分の地元の社会問題を解決したい、と考えているんですよ。だからサステナブルな考え方が進んでいるというより、自分の地元に誇りを持ち、社会問題を解決したい、と心から願っています。そんな彼らの熱い気持ちに私は心を打たれました」
彼はそう言うと、講義で学生たちが作った建築模型を見せてくれました。なんと全ての企画が、再生素材、台風に強い、低コストで建てられる家など何かしらの社会問題を解決するためのプロジェクトでした。(彼は建築デザインの講師で、特別サステナブルを推しているわけではないそう)。
そんな背景があるので、ファッションや雑貨もサステナブルなコンセプトを掲げたブランドが増え続けています。
ここで、2つほど私が知っているブランドを紹介します。
アラナズ(ARANAZ)
ARANAZの直営店。
Image by: ARANAZ
フィリピンならではの手編みのカゴバッグですが、働きに行きづらいシングルマザーなどに作り方を教え、内職の形で生産をしています。フィリピン発のブランドでありながら、欧米や他国アジアでも販売されており、日本でも取り扱いがあります。日本だとアパルトモン(L'Appartement)などで購入できるそうです。
アラナズ:公式インスタグラム
ハロハロ(halohalo)
Image by: halohalo
フィリピンには、ヤシの葉を乾燥させて手で織り込んで作られる「バニグ」という伝統的な生地があります。そのバニグの製法で、ヤシの葉の代わりにリサイクルプラスチック素材を使ってバッグやランチョンマットを作っているブランドがハロハロです。再生素材を伝統的な手法を使って、現代的に仕上げている若手ブランドです。
ハロハロ:公式インスタグラム
2-ファストファッションが可愛い
フィリピン発のファッションブランドと言われてもピンとこないかもしれませんが、フィリピンに数百店舗を構えるブランド「ベンチ(BENCH)」についてはご存知の方も多いのではないでしょうか?
こんなに大きいフラッグシップストア
ウィメンズ&メンズアパレル、雑貨、さらにアンダーウェア、香水ラインまであります。手ぶらでフィリピンに旅行に行って、ベンチでTシャツやパンツを買って、そのままアイランドホッピングに、なんて最高ですよね。
Twiceや梨泰院クラスのパク・ソジュンを広告に起用しています。すごい。
ベンチ:公式インスタグラム
3-素敵な場所がたくさんある
一推しはボニファシオ・グローバルシティ(通称:BGC)。マニラ市内にある、新開発エリアです。日本で言うと丸の内みたいな区画にたくさんのお店があります。マニラを「治安が悪そう」と思ってた人は、一見すれば考えを改めることになると思います。夜に「ナイキ(NIKE)」がナイトランをやっていたり、マーケットイベントをやっていたり。旅行でマニラに行くことがあれば、この区画に宿泊することをオススメします。上記のベンチのフラッグシップストアもここにありますよ。
BGCの街中。緑も多く、住みたい街です。
続いては、マニラ市内の(個人的な)オススメのレストランを紹介します。
ブラックバード(The blackbird)
マニラ市内、グリーンベルトすぐ近くにあるレストランです。内装がおしゃれ。インスタを見てみてください。夫婦・カップルにぜひ行ってみてほしいです。あとここのパフェは絶対に食べてください!
ブラックバード:公式インスタグラム
トマティート(Tomatito)
スペイン料理のレストラン。赤を基調とした店内で、明るく元気なスタッフが料理を運んでくれます。パエリアだけは調理に時間がかかるので、とりあえず最初に注文してください(笑)。
トマティート:公式インスタグラム
番外編として、マニラのウィークエンドマーケットは行っておいた方が良いです。オススメは、土曜日だけに行われる「マルシェ」「サルセド・サタデー・マーケット」。午前中しかやっていないのでブランチがてら出掛けて、お土産も買ってしまうと最高です。僕はここに行きたいがために、わざわざ土曜日がかぶるように出張スケジュールを組んだりします(笑)。「#salcedosaturdaymarket」でインスタを見て欲しいです。どれも美味しそう!
◇ ◇ ◇
今回は、マニラを中心に紹介しましたが、フィリピンには7500を超える島がたくさんあります。綺麗な海、美味しいシーフード、唄が好きな明るい国民性。次の旅行先、出張先はフィリピンで決まりかもしれません。ちなみに、格安航空会社でもOKなら、セブ パシフィックが安いですよ!これからはフィリピンのおしゃれ事情に注目してみてくださいね。
東京都江東区出身。高校在学中からアパレル業界で働き始め、 その後、アッシュ・ペー・フランス株式会社に入社。27歳で若手ブランドの営業代行業、showroom SIDEを設立、代表に就任。 32歳で海外進出、現在は1年間の3分の2以上を東南アジア諸国で過ごし、契約バイヤーとして活動。 日本からアジア・アジアから日本のポップアップショップ、展示会出展、ファッションショーの代理店も行う。
■コラム「ジャラン ジャラン アジア」バックナンバー
・vol.1:そうだ、東南アジアで生きていこう。借金抱えて自分探しの旅
・vol.2:高級モールは世代交代?ジャカルタのアシュタはなぜ成功したのか
・vol.3:なぜ東南アジアでは合同展示会が少ないのか
・vol.4:イスラム教徒のファッションは?人気の新興3ブランドも紹介
・vol.5:シンガポールのストリート事情、人気のブランド紹介
・vol.6:業界人はここに行くべき!シンガポールのおすすめスポット
【最新話はこちら】
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