Image by: 横堀良男
東南アジアの最新情報を綴るコラム「ジャラン ジャラン アジア」。1年間の3分の2以上を東南アジア諸国で過ごし、契約バイヤーのほか、ポップアップショップ、展示会出展、ファッションショーの代理店などを行う横堀良男氏が現地の情報をレポートします。
(文・横堀良男)
先週、ジャカルタで大きなイベントが終わったばかりですが、すぐにシンガポールに飛びました。夕方から少し時間が空いたので、シンガポール一番の目抜き通りであるオーチャード通りをぶらぶらしました。
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高島屋の隣にあるショッピングモール「ウィスマ・アトリア(Wisma Atria)」の中に、1990年代をコンセプトにしたCDショップがオープンしていました。CDってまだ最近のものだと思っていましたが、CDショップをこんなに懐かしい気持ちで見ることになるとは。しかもシンガポールで。時の流れの速さに驚きます。このショップを見て、ふとウェイヴ(WAVE)を思い出しました(ウェイヴを知らない人も多そうですが私の青春です)!
まさに1990年代ってこんなCDショップがどこにでもありましたよね!
高島屋にも行きました。以前に“なかなか買えない人気ブランド”と紹介した「ビヨンドザバインズ(Beyond The vines)」の売れ筋バッグ「Dumpling bag」が追加で納品されているところに偶然遭遇。このバッグ、本当に“買えないバッグ”なので、在庫があったらマストバイです!
インドネシアの友人から「今シンガポールにいるの?」と連絡がありました。彼女はインドネシアのジャカルタにあるセレクトショップのジェネラルマネジャーとして働いています。彼女が働くショップのオーナーはシンガポールで「Actually」というショップも展開しています。Actuallyはシンガポールでは珍しい雑貨を主力に扱うショップ。オーナーのポール(Paul)はアパレルや雑貨の小売に関わっている人なら誰でも知っている有名な業界人です。
ポールはアウトドア好きで、近年シンガポールで「アウトサイド(Outside)」というアウトドア系ブランドを集めたセレクトショップをスタートしました。アウトサイドはジャカルタに2号店もオープン。そして、先週にはアウトサイドのシンガポール2号店をオープンさせました。ちょうど連絡をもらったので、工事の仮囲いがあるような開店準備中のお店に入れてもらいました。
本格的なアウトドアブランドの「スノーピーク(Snow Peak)」や「ロゴス(LOGOS)」、スポーツ系シューズの「キーン(KEEN)」、「チャムス(CHUMS)」など日本でも馴染みがあるブランドも力を入れてディスプレイされていました。アウトドア好きなオーナーの意向を反映させた真面目なセレクトはもちろん、ファッションとしても楽しめるようにカラフルなアイテムも多く並んでいました。
これからビジネスを拡大していくと思うので、今後が楽しみです。彼はディストリビューター(卸事業者)としても有名で、東南アジア中に卸先を抱えています。業界に広いコネクションを持つ彼のことですから、すでに次に進出する国も決めているかもしれません。
コロナ禍で日本でもキャンプが流行りました。キャンプとまではいかなくても外でバーベキューやハイキングを楽しむようになった人も多いと思います。
今まで東南アジアではアウトドア文化をほとんど見ることがありませんでした。しかし、コロナ禍で日本と同じように突然のアウトドアブームが到来。おそらくコロナがきっかけで、レストランで食事を楽しめない富裕層が、自宅の庭でBBQを楽しむようになったのではないかと予想しています。
かつての香港や台湾のアウトドアファッションのブームでもそうだったんですが、お客さんは欧米のタフなアウトドアのイメージよりも、日本企画のデザインで、カラフルだったり、デザインが効いている物の方が東南アジアでは好まれやすい印象です。
なぜか日本のアパレル業界人からは「東南アジアってまだファッションとか遅れてるんでしょ?」と思われがちです。たしかに東南アジア諸国全体を見れば、韓国や中国などの東アジア諸国から比べるとまだ発展途上の部分もあり、シンガポール以外はまだ平均商品単価も平均客単価も日本に比べると低いです。しかし、世帯収入に大きな幅がある東南アジアでは、一定のファン層を掴むことで日本より高い消費を望むこともできます。各国都市部のお金持ちエリアに限って見れば、東京と同じくらいのポテンシャルがある国もあります。今後、それらの都市が東京の経済規模に追い付く可能性は十分にあると思います。
私の肌感ですが、自宅の庭でBBQを楽しむ人は日に日に増えていますし、投資家たちがキャンプ場やBBQ場を作っているという話をよく耳にします。これからシンガポールやインドネシアでもどんどんアウトドアブームが広がっていくのでしょう。日本のアウトドアブランドは、東南アジア進出を考えるなら今が絶好のタイミングだと思います。
東京都江東区出身。高校在学中からアパレル業界で働き始め、 その後、アッシュ・ペー・フランス株式会社に入社。27歳で若手ブランドの営業代行業、showroom SIDEを設立、代表に就任。 32歳で海外進出、現在は1年間の3分の2以上を東南アジア諸国で過ごし、契約バイヤーとして活動。 日本からアジア・アジアから日本のポップアップショップ、展示会出展、ファッションショーの代理店も行う。
■コラム「ジャラン ジャラン アジア」バックナンバー
・vol.1:そうだ、東南アジアで生きていこう。借金抱えて自分探しの旅
・vol.2:高級モールは世代交代?ジャカルタのアシュタはなぜ成功したのか
・vol.3:なぜ東南アジアでは合同展示会が少ないのか
・vol.4:イスラム教徒のファッションは?人気の新興3ブランドも紹介
・vol.5:シンガポールのストリート事情、人気のブランド紹介
・vol.6:業界人はここに行くべき!シンガポールのおすすめスポット
・vol.7:実は進んでる?フィリピン マニラのファッション事情
・vol.8:夏休みに東南アジアに行く方法
・vol.9:インドネシアの三越?最も歴史のある百貨店がリニューアルしたので行ってみた
・vol.10:海外進出のヒント?インドネシアで寿司を食べてみた
・vol.11:ECで稼ぐならインドネシア?
・vol.12:インドネシアのECを後押ししたスーパーアプリとは?
・vol.13:4日間で8万人が来場、インドネシアのポップアップショップについて
・vol.14:ジャカルタは全盛期の裏原宿?主催者なしのファッションウィーク
・vol.15:3年ぶりのシンガポール、コロナと円安で感じた変化
・vol.16:メイドインジャパンは強みじゃない
・vol.17:お酒やDJも 行政法人主催のイベントに参加してみた
・vol.18:インドネシアのユーズド市場、レコード人気はシティポップからシブヤ系に
・vol.19:ジャカルタで珍しいオシャレ古着のお店「フトラマ」に行ってきた
・vol.20:シンガポールは東南アジアのメディア?サステナブルについて調べてみた
・vol.21:ここで売れなきゃ成功しない?ジャカルタの大規模イベントを紹介
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