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ジュンヤ ワタナベの奇抜な着るジュエリー ディスコの熱狂からマイケルのバラードへ

文・大杉真心

Image by: FASHIONSNAP(Koji Hirano)

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 見慣れたアイテムが、思いがけない姿へと変わる。「ジュンヤワタナベ(JUNYA WATANABE)」は、「FUNKY」と題した2027年春夏ウィメンズコレクションをパリのパレ・ド・トーキョーで発表した。二部構成のショーは、80年代のディスコを思わせる高揚感に満ちた前半から、マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)のバラードが流れる後半へとムードが一変。妊娠中の歌手シアラ(Ciara)もランウェイに登場し、会場を沸かせた。

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シアラがまとう「コウタ オクダ」コラボ

 今季、渡辺淳弥が探求したのは、「アクセサリーを体や服に付けるだけでなく、それ自体でライダースジャケットやトレンチコートのような見慣れたアイテムを作れないか」というアイデアだ。

 序盤には、クリスタルが輝く”着るジュエリー”が登場。ジュエリーブランド「コウタ オクダ(KOTA OKUDA)」のデザイナー奥田浩太との協業で、6月に発表されたメンズに続き、ウィメンズでも初コラボが実現した。2ルック目に登場したシアラは、ヘッドピースからシャンデリアのようにジュエリーが流れ落ちるショーピースをまとい、リズムに乗ってランウェイを歩いた。

 チェーンやパール、スタッズをあしらったキャップは、ジュンヤ ワタナベとコウタ オクダ、キャップブランド「フォーティーセブン('47)」によるトリプルコラボレーションアイテム。ボストン・レッドソックスやサンディエゴ・パドレス、ニューヨーク・ヤンキースなど、MLB球団のキャップをベースに、ジュエリーの要素を加えて再構築した。

ありふれたものをファンキーに

 これまでも日用品を素材に取り入れてきたジュンヤ ワタナベだが、今季もパソコンのマウスやコード、機材を分解したようなパーツやパイプを連ね、ドレスに仕立てている。遠目には装飾に見えても、近づけばルーペやヘッドホン、自転車の反射板といった意外な部品が姿を現す。

 見慣れたアイテムの再解釈は続く。ワードローブの定番であるトレンチコートを解体してアシンメトリーなシルエットにしたり、ライダースジャケットの原型を崩してジップやチェーンを垂らしたり、クラシカルなカーディガンジャケットに大粒のパールを螺旋状に連ねたハーネスを重ねたりと、大胆なひねりを効かせた。

ベースにはワコール「CW-X」との協業ウェア

 トゲが突き出たブラや、アーマーのように肩を覆うアクセサリーなど、“着るジュエリー”の土台となったのは、ワコールのハイパフォーマンス・スポーツウェアブランド「シーダブリュー・エックス(CW-X)」との協業によるトップスとレギンスだ。オレンジにブラックのラインを走らせたり、ピンクとグレーを組み合わせたりと、コントラストを効かせている。スポーティーで機能的なベースが、80年代のエアロビクスやディスコの空気を漂わせた。

 昨シーズンに引き続き、ウォーキングの演出もドラマチックだった。ジョン・ガリアーノ(John Galliano)時代の「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」や、デムナ(Demna)による「グッチ(GUCCI)」などでモデルの動きを手掛けるパット・ボグスロースキー(Pat Boguslawski)が、ムーブメント・ディレクターとして参加。モデルたちは音楽に乗り、腰に手を当てたり、髪に触れたり、ステップを踏んだりとポーズを決めながらランウェイを進む。その姿は、80年代のスーパーモデルを彷彿とさせる。

後半によぎるマイケル・ジャクソンの影

 後半、会場の空気はがらりと変わる。流れたのは、マイケル・ジャクソンが1987年にサイーダ・ギャレット(Siedah Garrett)とデュエットしたバラード「I Just Can't Stop Loving You」だ。2026年6月には伝記映画「Michael」が日本でも公開され、マイケルが改めて注目される中での選曲でもある。同曲は、最後のコンサートに向けたリハーサルを収めた映画「THIS IS IT」でも使われ、マイケルとバッキング・ボーカルのジュディス・ヒル(Judith Hill)が情感豊かに歌い交わす場面が印象に残る。

 しっとりとしたメロディーに合わせて登場したのは、モノトーンを基調とした立体的なハーネスや、クリノリンを思わせるスカート、チュールドレスなど。シーダブリュー・エックスのトップスやレギンスをそのまま生かし、ハーネスやチュールを重ねることで、スポーティーとドレッシーの相反する要素を掛け合わせたバランスが新鮮だ。クリスタルをあしらったグローブは、マイケルのステージ衣装を連想させる。躍動感溢れる前半から、ロマンチックでエモーショナルな後半へムードが移ろった。

反骨精神が生む、奇抜なエレガンス

 最高峰のドレスや宝飾が集まるパリで、あえて日用品や意外なパーツを持ち込み、挑発的なシルエットからエレガントな装いまでを構成する。本来ラグジュアリーとは結びつかない素材を扱うところにも、ジュンヤ ワタナベらしい反骨精神が感じられる。

 同時に印象に残ったのは、着飾ることの楽しさだ。スポーツウェアをベースにしながらも、ハーネスやジュエリーを重ねることで、スタイリングは一気にドラマチックな表情へと変わる。型破りな発想の先にあったのは、自由に装う喜びだった。観客も音楽に体を揺らし、会場は熱気と大きな拍手に包まれた。最後まで、ポジティブなエネルギーと遊び心が溢れるショーだった。

JUNYA WATANABE 2027年春夏コレクション

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JUNYA WATANABE 2027年春夏ウィメンズコレクション

2027 SPRING SUMMERファッションショー

最終更新日:

文・大杉真心

Mami Osugi

ファッションジャーナリスト

文化女子大学(現文化学園大学)でファッションジャーナリズムを専攻、ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)でファッションデザインを学ぶ。「WWD JAPAN」記者として海外コレクション、デザイナーズブランド、バッグ&シューズの取材を担当。2019年、フェムテック分野を開拓し、ブランドや起業家を取材。2021年8月に独立後、ファッションとフェムテックを軸に執筆、編集、企画に携わる。2022年から文化学園大学と文化服装学院の非常勤講師を務める。

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