「中目黒パンチ」
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ファッション業界をはじめ、さまざまなクリエティブな業界に携わる人々の"オフの瞬間"にフォーカスした新連載「業界人が本気で遊んだら」がスタート!仕事も趣味も全力で取り組む大人たちにスポットを当て、FASHIONSNAPのエディターがさまざまな部活・チームの活動現場へ潜入します。記念すべき連載第1回に登場して頂くのは「ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)」ジェネラルマネージャー柳川鉄平さんと、同ブランドのデザイナー柳川荒士さんによる草野球チーム「中目黒パンチ」。6月某日、早朝6時に世田谷公園で行われた試合にお邪魔しました。
■中目黒パンチ
2002年に結成し、今年で20周年を迎える。所属メンバーはデザイナーからショップオーナー、プレス、アーティスト、役者、モデルなど多岐にわたる。所属リーグは東京都世田谷区の「さざんかリーグ」「ソ・リーグ」。平日または週末の早朝(6:00〜8:00)に世田谷公園や羽根木公園などで試合を行っている。地域の人々の認知度は高く、近所のおじいちゃんなど熱心なファンもいるのだとか。
公式サイト/公式インスタグラム
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試合前のウォーミングアップの様子
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チーム結成の経緯と名前の由来
中目黒パンチが誕生したのは、リリー・フランキーさん率いる「ヤング・ジャイアンツ」やピエール瀧さん率いる「ピエール学園」など、役者やクリエイターが主催する草野球チームが多くあったという2000年初頭。20年という歴史ある"老舗"チームの中目黒パンチですが、結成のきっかけは飲みの場のノリと勢いだったそう。「ヤング・ジャイアンツやピエール学園の活動は耳にしていたので、『俺らもやってみようぜ』となって。勢いだけで決まっていった感じでしたね。多分ね、あの頃の僕たちは野球をやりたいというよりも、何か皆んなで楽しめるコミュニティを作りたかったんでしょうね」(柳川鉄平さん)。※以下、柳川さん
チーム名の由来は当時よく過ごしていたエリアである「中目黒」と、広島県出身の柳川兄弟の実家が営むお好み焼き店「パンチくん」を掛け合わせたとのこと。
※「パンチくん」・・・柳川荒士さんがデザイナーになる前、ボクサーとして活躍していたことに由来している。
メンバーの年齢は20代から40代と幅広く、上下関係は一切なし。チームメンバーに野球部出身者は多いものの、加入条件はスキルよりも人柄重視。「試合が早朝なので前提条件として朝起きられる人であること。野球が上手いに越したことはないですが、この人だったらうちのチームに溶け込めるなと感じた人に入ってもらっています。もちろん勝つために真剣に試合に向き合っていますが、勝ちに囚われるようなチーム作りはしたくない。勝ちにこだわりすぎても面白くないですからね」。
「中目黒パンチ」主な活動内容
試合の合間のこまめなコミュニケーションも欠かさない Image by: FASHIONSNAP
結成当初は神宮のグラウンドを拠点に、年間10〜15試合程度を実施していたという中目黒パンチ。年々、練習試合や他チームとの試合頻度を増やしていき、多い年には年間50試合以上行うこともあったそう。現在は「さざんかリーグ」「ソ・リーグ」に加入しており、年間約30〜40試合に参加しています。チームでの練習は一切無し。ぶっつけ本番で勝負に挑むのが中目黒パンチスタイル。メンバーの個人成績も記録しており、各自、バッティングセンターへ行くなど自主練をしながらコンディションを整えて試合に臨むそうです。
ジョン ローレンス サリバンといえば、パリやロンドンなど海外を発表の拠点にショーや展示会を行っていますが、気になるファッションウィーク期間中のチームの活動は...?「僕仕切りのチームなので、パリコレ含め海外出張がある時は、運営側に相談して一時的にリーグを抜けて、約1ヶ月間チームの活動を休止します。言ってしまえば"ファッションウィークブレイク"ですね。僕なしでチーム動かしたくなくて、わがまま聞いてもらってます(笑)」。(柳川さん)
野球愛が詰まったこだわりのユニフォーム
メインユニフォーム
生地選びからパターン、デザインまで一から作っているというユニフォーム。この日の試合で着用したメインユニフォームを含め、なんと全5種類のユニフォームがあるそう。メインユニフォームは、1977年〜1988年に使用されていた「広島東洋カープ」のユニフォームをオマージュ。白地のボディのチームロゴはプリントではなく刺繍を施したもので、首元と袖にレッドとネイビーのラインを配したノスタルジックなデザインです。「本当はボディをもっとこだわるつもりで。堅めの綿素材を使って当時の質感に近付けたかったんですよね。でもその素材が廃盤になって、代わりにメッシュにしたんです。80年代の雰囲気は多少薄れますが、機能的には通気性に優れたメッシュの方が圧倒的に良いんですけどね」。
各アイテムには様々なテイストのロゴデザインが使用され、ヘルメットにあしらった「P」のロゴは「ピエール・カルダン(Pierre Cardin)」風。また、多種多様なアイテムのデザインソースは、日本プロ野球界だけでなく、メジャーリーガーたちの試合中のファッションにまで及びます。メジャーリーグではホーム用のメインユニフォームは基本白がベース、アウェイ用のユニフォームはグレーを採用していることから、グレーのユニフォームも製作。ほかにも、フェイスガードやアームスリーブ、ヘッドバンドなど、昨今メジャー選手たちの間で広まっているアイテムもいち早く導入したそうです。
ユニフォームの他にも、スタジャンやパーカ、Tシャツ、ルームシューズ、ニューエラのキャップ、スポーツサンダル、マスク、ショルダーバッグなど様々な選手用アイテムを製作していて、今後もラインナップは増やしていく計画なのだとか。某プロ野球チームの某マスコットを彷彿とさせる、可愛らしいキャラクターのステッカーやキーホルダーまで作ってしまう遊び心も。ウェアやグッズはもちろん非売品なので入団しているメンバーしか入手できません。
「ヴィジュアルは徹底してこだわっています。やっぱりダサいものは作りたくないですし。キャップひとつとっても、着こなしにこだわってるメンバーは多くて。メンバーが被っているキャップをよく見ると、実はシルエットがそれぞれ少しずつ違うんですよ。フラットキャップが好きな人もいれば、ロングビルキャップが好きな人もいるので、希望を聞いた上で好みのボディを探し出して、作ることもあります」
本日の試合を振り返って
〜本日の流れ〜
5:50〜 メンバーの皆さんが順次、現地に集まり出す。
6:00〜6:15 各自準備・ウォーミングアップ
6:15〜 試合スタート。
〜7:40
試合終了
7:50〜
球場のグラウンド整備。準備を終えたメンバーから各自帰路へ。
取材当日、試合に登板したメンバーはこちら。このほかにも、某セレクトショップのバイヤーアシスタントやスタイリストなど、幅広い業種に携わる選手たちが所属しています。試合には、しばしば加入希望者が見学に訪れることもあるそう。この日はお笑い芸人の方が試合の見学に来ていました。
13:セン (モデル・俳優)
15:G.G.佐藤(投資家)
17:米野賢道(ミュージシャン・俳優)
42:山添巧廊(ジョンローレンスサリバン ストアマネージャー)
10:出戸一摩(DEES ディレクター)
27:高橋一憲(ボディビルダー)
1:柳川鉄平(ジョンローレンスサリバン ジェネラルマネージャー)
88:馬場隆臣(セレクトショップ VA-VA オーナー)
11:村田裕平(ワコマリア プレス)
61:池田魁人(ワコマリア 販売スタッフ)
20:ラビット関根(化粧品原料メーカー勤務)
この日の試合は13対5で「中目黒パンチ」が見事勝利!試合後、チームのInstagramで活動報告を欠かさず更新。この日の試合の振り返りが小気味良いテンポの文章で綴られています。
試合後のグラウンド整備を済ませると、メンバーの皆さんはスピーディーに荷物をまとめて帰路へ。「各々で集まって朝ご飯を食べに行くことは時々あると思いますけど、この後すぐに仕事のメンバーもいるので、試合後に全員で集まるということはあまりしないですね」(柳川さん)。
「コロナ前はしょっちゅう仲間内で飲みに行ってました。それぐらい仲が良いと思います。仕事以外にこういう場所があるのは貴重ですし、大人になってこんなに気の合う仲間たちに出会えたのは、本当に良かったなと。良い試合ができた日は、その後の仕事も捗りますし。中目黒パンチは大きな存在ですね。いつか広島に凱旋して、遠征とか合宿とか新しいこともやってみたいですね。
試合後に即出勤!?「中目黒パンチ」こぼれ話
FASHIONSNAP編集部
試合お疲れ様でした!圧勝でしたね。
「ジョン ローレンス サリバン」ジェネラルマネージャー/「中目黒パンチ」選手会長 柳川鉄平さん
取材を意識してか、いつも以上にみんな気合入りまくりでしたよ(笑)。結果的に程よい緊張感の中で良い試合が出来て良かったです。
平日早朝に試合をされることが多いそうですが、皆さんこの後はお仕事ですよね。実際のところ、お仕事に支障はないのでしょうか...?
8時に球場を出て、一度帰宅してシャワー浴びて準備を終えたら、10時〜11時には出勤しているメンバーは多いですね。正直、昼頃には多少眠くなりますが、このルーティンで長年生活しているので流石に慣れました(笑)。
公式サイト上に書かれているキャッチフレーズは「甲子園に涙した中目黒の酒乱達が、勢いだけで無責任に発生させたチーム、それが中目黒パンチ」。なかなか刺激的なチーム紹介です。
今はコロナ禍ですから出来ていませんが、以前はよくチームの飲み会を開いていて。今となっては言える昔の話ですが、飲み過ぎた翌日に二日酔いのままマウンドに立つこともありました...(笑)。今は絶対しないですが若い頃は無茶してたなあ。。前日どんなに遅くまで仕事や飲み会があっても、みんなちゃんと試合に来てくれますね。
とはいえ、やはり寝坊してしまう選手の方もいますよね?(笑)。
まあ、時々いますね。試合当日の朝、グループLINEで点呼を取るんですけど、しばらく既読にならず音沙汰が無いと「あ〜、こりゃ寝坊だな」と。ちょうど前回の試合に寝坊して出れなかったメンバーが、全力で悔しがっていましたね。
チームの活動において大切にしていることは?
寝坊しない!無断欠席しない!楽しく試合!(笑)。
ずばり草野球の醍醐味を一言で表すと?
「甲子園を思い出させてくれる場所」ですね。
柳川さん、中目黒パンチの選手の皆さん、ご協力ありがとうございました。この後のお仕事も頑張ってください!
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(企画・編集:長岡 史織)
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