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【トップに聞く 2023】ポーラ・オルビスHD 横手喜一氏社長 3年間のブランド磨きの結果が出る年に

ポーラ・オルビスHD 横手喜一氏社長

Video by: FASHIONSNAP

 FASHIONSNAPの新春恒例企画、経営展望を聞く「トップに聞く 2023」。本年は、アフターコロナにシフトする中で各企業に求められる「イノベーション」をテーマに送る。

 第16回は、2023年1月1日付けでポーラ・オルビスホールディングス代表取締役社長に就いた、横手喜一氏。今期は「3年間のブランド磨きの結果が出る」と語る横手氏に、これまでのイノベーションと、これからのイノベーションについて聞いた。

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 ■横手喜一(よこて・よしかず)
1967年9月10日生まれ、 東京都出身、一橋大学卒業。1990年4月ポーラ化粧品本舗(現ポーラ)入社。2006年8月フューチャーラボ 代表取締役社長、2011年7月宝麗(中国)美容有限公司(ポーラ瀋陽) 董事長兼総経理、2015年1月ポーラ 執行役員 商品企画部長、2016年1月同社代表取締役社長、2016年3月ポーラ・オルビスホールディングス取締役、2020年1月同 取締役 海外事業管理室長、2021年1月、POLA ORBIS Travel Retail Limited Director and CEO。2023年1月から現職。

ー2022年を振り返りいかがだったでしょうか?

 3年のコロナ禍を経て、大きく変化している中で、われわれグループのブランド群は、ブランド価値を磨き続け、他とは違う価値を追求してきました。今後、お客さまが戻ってきてくださると自負しています。

ーインバウンドも戻りつつあります。

 インバウンドはもちろん増えれば嬉しいですが、ただ目先のインバウンドの売上で喜んでいるだけではなく、ほかのブランドとの差別化が重要だと考えます。ブランド価値を高められているものが最終的に選ばれる。逆にそれしかないわけです。

2022年12月期連結決算
売上高:1663億700万円(前期比6.9%減)
営業利益:125億8100万円(同25.5%減)
経常利益:149億2800万円(同21.3%減)
親会社株主に帰属する当期純利益:114億4600万円(2.5%減)
海外売上高比率:17.4%(前期末比1.3ppt減)
国内EC売上高比率:26.9%(同1.1ppt増)

2023年12月期連結決算予想
売上高:1800億円(前期比8.2%増)
営業利益:151億円(同20.0%増)
経常利益:151億円(同1.2%増)
親会社株主に帰属する当期純利益:100億円(同12.6%減)

ポーラ:各チャネルをシームレスにつなぐ顧客一元管理を実現

ー具体的に、どうブランド“磨き”を行ってきたのでしょうか?

 基幹ブランドの「ポーラ(POLA)」は、百貨店やショップを中心にした対面販売で培ってきた強みをベースに、デジタルを絡めたDX(デジタルトランスフォーメーション)と、人と人とが触れ合う価値とをどう融合させられたかを3年間で磨いてきました。今後、その結果が出てくると思います。

 具体的には、OMO(Online Merges with Offline)を推進し国内の顧客情報の一元管理化を進め、各チャネルをシームレスにつなぐ新ビジネスモデルを構築し、今年から稼働します。お客さまが「いつ、どこのショップで、何を購入したか」という、1人のお客さまの購買行動が全て分かることで、チャネルの垣根を越えて、そのお客さまにふさわしい対応、最適な提案ができると考えています。たとえばですが、3年間店頭だけで購入されていたお客さまが、ECで初めて購入したとします。そのときに「初めまして」ではなく、「もう3年、お使いいただいていますね、いつもありがとうございます」といったコミュニケーションがECで取れるわけです。それを踏まえて、一番喜んでいただける提案をすることで、お客さまからも「そこまで知っていてくれた」と感動や驚きを感じてもらえ、満足度が高まるのではないでしょうか。これはブランドとお客さまとの関わり方として、あるべき姿であり、お客さまとの関係性が大きく変わってくると思います。

ー一元化により、ビューティーディレクター(委託販売契約を結んでいる個人事業主)の役割は変わるのでしょうか?

 役割そのものが変わることはないのですが、「提案力」という意味では格段に上がります。これまでの自店での購入履歴だけでなく、他店や他のチャネルでの購入履歴も分かるのですから、「このお客さまは、これまでポーラとここまでお付き合いしてくださっていた」と理解できれば、接客の仕方も変わると思います。お客さまのロイヤリティを高め、ビューティーディレクターとお客さまの関係性をより深いものにできると思っております。

ーこの一元化でロイヤル顧客を作るということですか?

 将来的にはそうですね。ただロイヤル顧客というのはブランドに対してポジティブな気持ちをお持ちいただいていることを指すと思います。ですからやはり初めて購入いただく方への接客が、われわれのビジネスにとって非常に大きなテーマだと思います。

ーでは新客をとっていくための戦略はどうでしょう?

 ひとつは、われわれの武器である効果実感の高い商品について、デジタルを中心にコミュニケーションを強化していきます。

 2つ目は、企業として社会に対するメッセージを発信することで共感してもらい、そこから商品を知ってもらい購入に結びつけることです。具体的には、全国にあるサロン「ポーラ ザ ビューティー」のオーナーさんが、地元の小売店やレストランなどを巻き込み「マルシェ」を開催する取り組みを行なっています。物を売るためではなく、地域活性化を目的としたイベントで、“地域がつながる”をテーマに、ポーラがコーディネーターとなって推進しています。地域の活性化は、われわれのビジネスの基盤です。若者が大学などで都心に出たとしても、地元にも仕事があって、街に活気があれば戻って来ようと思いますよね。そういった可能性を生むのがマルシェの活動の意味だと思っています。この両面に注力することがこれからの時代、重要だと考えています。

<解説>
「ポーラ ザ ビューティー」:商品(スキンケア、メーク、健康食品など)の取り扱い、エステサービスを行うサロン型ショップ。美容のスペシャリスト、ビューティーディレクターが、お客一人ひとりの「美」をサポートする。47都道府県、約540店舗展開(2022年12⽉末現在)。

「マルシェ」は地域活性化を目的に開催する

Imaged by ポーラ・オルビスホールディングス

ー年間、どのくらいの地域でマルシェを開催する予定ですか?

 昨年は約30ヶ所で開催しましたが、今年はコロナの制限も大きく緩和されるのでもっと多くの地域で実施したいと思います。実はコロナ以前から地域密着型イベントは積極的に行なっていたのですが、以前は第1目的が「ポーラのPR」だったのが、マルシェとして取り組むにようになってから「地域を元気にしよう!」に変わってきていて、地域のみなさんにもより喜んでもらっています。さらに、幼少期に当たり前すぎて地元の魅力を発見する機会が少なかった若者に対して、農家や街のショップの方々とのネットワークを構築し、地元の職業を擬似体験できるプログラムを試験的に始めています。このプログラムを通して、ショップ側はPRにもなりますし、学生側からは「こんな仕事があるんだ」「こんな楽しい人たちがいるんだ」といった声が生まれていて、街への理解や可能性が広がっています。日本全国でビジネスをする以上、地域の活性化は不可欠で、今後もこういった活動を広げていきます。

2023年ポーラ全体の売上高計画:前年比約10%増(国内:約5%増強、海外:約30%増)を見込む

オルビス:アプリ内に新サービス「肌カ.ル.テ」をローンチ

ーもう一つの基幹ブランド、オルビスについて教えてください。

 オルビスはここ数年リブランディングを進めてきており、2023年はその成果をお伝えできると思います。前期は11月に、一人ひとりの肌悩みに寄り添った提案で美容習慣をサポートする新サービス「肌カ.ル.テ」をアプリ内にローンチし、アプリを核としたCRM戦略を加速させました。アプリを通じて単なる商品提案やお悩みの相談だけでなく、お客さまの気持ちに寄り添い、またお客さま同士の情報交換ができることも目指しています。これがこれまでのCRMと違うところですね。

新サービス「肌カ.ル.テ」でできること
・パーソナライズされたデジタル接客を 24時間365日対応のチャットボットを設置
・美容のプロであるビューティクリエイターが対応する有人カウンセリングチャットを設置
・顧客情報の分析を高度化、1to1のコミュニケーションでスキンケア+αの購買促進
※アプリダウンロード数:470万件(2022年12月時点)

ーオルビスはオンライン接客のスタートも早かった印象があります。コロナ禍を経て、現在では対面接客の方が良いという声もありますが、どう考えますか?

 対面接客が良いというのも、もちろんそうです。オルビスも店舗での丁寧なカウンセリングや、表参道の旗艦店「スキンケアラウンジ バイ オルビス」でのブランド体験などにも力を入れています。一方でオンライン接客の利点は、デジタル化がしやすいというところにあります。リアルでは掴み切れないお客さまの反応やその後の行動などを、オンラインでは蓄積することができ、今後の接客に役立てることができます。オルビスはこういった蓄積から、お客さまに最適な、あるいは期待以上の提案をすることが、生命線になってくるだろうと思います。

オルビスのその他の取り組み
・拡大する50代以上の市場でシェア拡大、2023年2月新シリーズ「オルビス アンバー」発売
・好調のメンズブランド「オルビス ミスター」を2023年3月リニューアル ※詳しく読む
2023年オルビス全体の売上高:前期比約4%増を見込む

そのほか事業の商品戦略について
<ジュリーク(jurlique)>
・フェイシャルスキンケア強化、スター商品軸に顧客獲得、エンゲージメント強化
・スパトリートメントによるブランド体験強化
育成ブランド
<スリー(THREE)>
2023年2月に基幹スキンケアシリーズリニューアル
・中国ローカル市場での展開本格化
<ディセンシア(DECENCIA)>
・プレステージブランドとしてのブランドエクイティ構築
・スタープロダクトを育成しブランド認知拡大
<フジミ(FUJIMI)>
2023年3月に新ブランドメッセージ発信、新商材としてスキンケアシリーズを発売し成長加速

海外事業:グローバル展開加速に向け、体制を再編

ー海外戦略の現状とイノベーションについて教えてください。

 海外は今後、グローバル展開加速に向けて、事業体制のあり方を大きく変えていきます。オーストラリア発のジュリークは本部を海外に置いていますが、それ以外のブランドの本部は全て日本にあり、現地は子会社となっています。それではやはり“親子”の関係性で、スピード感を持って事業を進められないのが現状でした。ブランドごとに独立した事業運営体制から、地域区切りの運営に変更し、現地への権限移譲で意思決定を迅速化、現地リソースの最大活用とオペレーション最適化をはかります。これは大きな組織改変になりますので、1年掛けて準備し、2024年から本格的にスタートしたいと思います。

ー大きな事業変革でフォーカスする国はありますか?

 やはり中国は非常に重要な国です。人々の美意識が高く、スキンケアやビューティに対する感度が高い。中国で認めてもらうことはとても重要だと感じています。

 もちろんネクスト中国の探索は必要だと感じていますが、中国における、われわれグループはまだこれからだと思います。中国を中心にしながら、東南アジア、ASEANにも力を入れたいですね。同じ観点で言えば、アメリカももう少し考えていかなければと思っています。

サステナビリティ:資生堂の循環型プロジェクトに参画

ーサステナビリティ活動について教えてください。

 ポーラで言えば、先ほどお伝えしたマルシェが、ビジネスを継続するという意味でサステナビリティではないでしょうか。一方で環境問題ももちろん重要ですし、難しい問題ですよね。環境に関わる活動はどうしても1社だけでは限界があると思います。そこで資生堂さまからお声がけいただき、資生堂さまが立ち上げたプラスチック製化粧品容器の新たな循環型プロジェクトに、まずはポーラブランドが参画し実証試験を行います。収集した使用済みプラスチック製化粧品容器を再生資源としてリサイクル処理し、新たなプラスチック製容器に再生する試みで、今回の実証試験の結果をもとに、地域や店舗、チャネルの拡大と持続可能性を検証していきたいと思います。

そのほかのサステナビリティ・ESGsの取り組み
・ダイバーシティ推進委員会設置し、及川美紀 上席執行役員 グループダイバーシティ担当 ポーラ代表取締役社長がトップとなり、強力に推進。
・気候変動目標などの環境KPIは役員報酬に連動させ実効性向上
・100%再生可能エネルギーに由来するCO2フリー電力へ順次切り替え
ジュリークで2024年全商品の容器・包材の再生可能な素材への切り替えに向けたパッケージ変更に着手

研究生産一体型施設「TDC」を建設

ーでは最後に今期の戦略について教えてください。

 冒頭でもお伝えしましたが、これまで磨いてきたことの結果が出る年だと思っています。繰り返しになりますが、ブランドの違いをどこまで磨いて進化させていけるのかに尽きます。

 磨き方、違いを生み出す領域はブランドごとに違いますが、化粧品の作り方そのものを進化させることも非常に重要だと思っており、2024年の稼働を視野に新しく研究生産一体型施設を稼働させるため、戦略的に準備しているところです。

ーそれは新工場ということでしょうか?

 いわゆる化粧品を生産するための工場ではなく、新しい価値の創出を目指し化粧品の研究・開発・生産を連動した、全く新しい形の施設になります。「テクニカルディベロップメントセンター(Technical Development Center)」と名付けた、そのセンターは横浜市戸塚の研究所内に建設中ですが、完成すると今後の差別化を生み出す重要なポイントになってくると思います。2024年の稼働を前に、2023年はこれまでの3年間のブランド磨きの結果を出し弾みをつけたいと思います。

今後の研究開発
■新価値創造に向けた独自の研究戦略
• シンガポール研究拠点へ研究員派遣、ミラースキン研究を皮切りに新価値創出のインフラ構築
• スタートアップへの出資・アライアンスで外部連携強化、研究開発、実用化のスピードアップ etc.
■連結売上高の2%以上を研究開発へ投資

(聞き手:福崎明子、平原麻菜実)

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