ミラノ編に続き、記事や画面越しでは伝えきれない会場の熱気や、取材の合間のこぼれ話をお届け。現地を駆け巡った編集部が、2027年春夏パリ・ウィメンズファッションウィークの裏側をエピソード形式で振り返ります。
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episode 1. セリーヌ・ディオン降臨&学生デモでパリ市内は大混雑
今回のパリコレ期間中、とにかく悩まされたのが大渋滞です。セリーヌ・ディオンのツアー日程とゲイパレード、さらにはフランス全土に広がった大規模な学生デモまで起こり、パリ市内の交通網は完全にパンク状態。パリコレには各会場をつなぐ便利な「協会オフィシャルバス」があるのですが、それに乗ってもショーに間に合わないという非常事態が発生しました。結局、メディア関係者たちはタクシー移動を早々に諦め、地下鉄に駆け込んでヒールで会場までダッシュする……という汗だくな日常が連日繰り広げられていました。

パリ市内で行われたデモの様子
episode 2. 噂される退任話、PPPにカリマ
華やかなショーが開催された裏側で、ジャーナリストたちの間で一気に駆け巡ったのが大物クリエイティブディレクターたちの退任説。「サンローラン(SAINT LAURENT)」のアンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vaccarello)については、ファッションウィーク終了直後にブランドから正式な退任発表が出されました。さらに、就任してまだ1年強の「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)、「クロエ(Chloé)」のシェミナ・カマリ(Chemena Kamali)の名前も挙がっています。この2人についての公式発表はまだありませんが、もしかすると近々世間を賑わすニュースが続くかもしれません。



©Launchmetrics Spotlight
episode 3. 次バッグはどこのを買う? ジョニー・コカ加入のサンローラン&マルコ加入のジバンシィ
レザーグッズ界隈もビッグニュースが満載です。ラグジュアリー界の“ITバッグ請負人”ことジョニー・コカ(Johnny Coca)が、サンローランのアクセサリー部門統括としていよいよ始動。「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」でキャリアをスタートし、「マルベリー(Mulberry)」や、フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)時代の「セリーヌ(CÉLINE)」では「トラペーズ」や「トリオ」バッグといったアイコニックなモデルを手掛けた業界のキーマン。そんな彼が打ち出したレザーコレクションが2027年夏ウィメンズコレクションで登場しました(ショーでは1型も登場していません)。ラフィアを使ったハンドバッグなどが披露される中、物珍しい「缶」の形をしたバッグも。「コカだけにコカ・コーラから?」と思わせる遊び心が最高です。(※商品の撮影はNGなため、写真がないことご了承ください)
一方、サラ・バートン(Sarah Burton)が手掛ける「ジバンシィ(GIVENCHY)」には、元「エトロ(ETRO)」のクリエイティブディレクター マルコ・デ・ヴィンチェンツォ(Marco De Vincenzo)がレザーグッズ担当として加入。課題としてあったレザーグッズのテコ入れを図っています。2027年春夏では、ジップ使いが効いた新作バッグ「バランストン」が登場。がま口バッグ「チェストナット」やジップがついた新作シューズも披露されました。価格はまだ決まっていませんが、来年の立ち上がりの時期にサンローランとジバンシィのお店をチェックしてみてはいかがでしょうか?



ジバンシィのレザーグッズ
episode 4. 黒河内真衣子、学生時代の制服着こなしのこだわり明かす
今季「制服」をテーマにしたコレクションを発表した「マメ クロゴウチ(Mame Kurogouchi)」の黒河内真衣子さんが明かした、学生時代の意外なエピソード。中学校の制服は「白シャツに紺のスカート、極細のリボンだけ」という、本人曰くかわいくないデザインだったのだとか。だからこそ、中学生の黒河内さんはその細いリボンを「どうアレンジするか」という一点に命を懸けていたそうです。現在のクリエイションに通じる細部への並々ならぬこだわりは、この頃から健在だったんですね。なお、高校は私服だったためより制服への憧れが強まり、その熱量が今回のコレクション制作にも通じているそうです。

黒河内さんの制服リサーチノート
episode 5. マルジェラのショーの花はラフ・シモンズ時代のディオールから
ショーの演出面でハッとさせられたのは「メゾン マルジェラ(Maison Margiela)」です。会場を彩ったのは、かつてラフ・シモンズ(Raf Simons)が「ディオール(Dior)」のデビューショー(2012年秋冬オートクチュール)で披露した、数十万本の生花によるあの伝説のフラワールームから着想を得た空間。しかし、グレン・マーティンス(Glenn Martens)がそれをそのまま再現するはずがありません。ラフのように満開に咲き誇らせるのではなく、ラッピングされた枯れた花々を飾る手法は、なんともマルジェラらしいポエティックでシニカルな表現でした。

展示会場でも花を展示。床にはすでに枯れ落ちた花々が。
episode 6. パリの推し活はここまで、ラッピングバスがヨウジヤマモト会場前に
パリでも加速する「推し活」。「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」のショー会場となったパリ市庁舎(Hôtel de Ville)の前には、なんとアイドルの巨大なラッピングバスが堂々と横付けされていました! 日本でもファンがお金を出し合って推しを応援する韓国由来の「センイル広告(応援広告)」をよく見るようになりましたが、まさにその“パリコレ版”といったところでしょうか。ちなみに、ずっと停車していると後ろの車からクラクションを鳴らされてしまうため、時折あたりをぐるっと一周してはまた定位置に戻ってくる……という健気な動きをしていました。数年前からディオールのようなメゾンのショーでは、ファンが手配したアイドルのラッピングバスがお馴染みの光景になっていますが、日本のブランドの会場で見かけたのはおそらく今回が初めてかと思います。

episode 7. デュオリンゴがパリコレ巻き込む天才プロモーション!
今季のパリでひときわ目を引いたのが、語学アプリ「デュオリンゴ(Duolingo)」によるプロモーションです。「ジバンシィ(GIVENCHY)」のショー会場前に巨大なラッピングバスが横付けされたかと思えば、キャラクターのDuoがルーフの上でノリノリのダンスを披露。モニターにはGIVENCHYの発音指南として「zhee-vahn-shee」の文字が流れるなど、ウィットに富んだアプローチが光っていました。これには日本の編集者たちも「この企画を考えた人天才!」と太鼓判を押すほどでした。
episode 8. リック・オウエンスの後継者? パリ10区にあるレピュブリック広場初のショー
今季話題をさらったのが、ハナ・ローズ・ダルトン(Hannah Rose Dalton)とスティーブン・ラージ・バスカラン(Steven Raj Bhaskaran)による「マチエール・フェカル(MATIÈRES FÉCALES)」のショーです。舞台は、自由と革命の象徴マリアンヌ像がそびえるレピュブリック広場。これまでこの場所でファッションショーが開催されたことはなかったそうで、行政当局からは当初「初めてでやるならラグジュアリーメゾンがいい」と難色を示されたものの、「デモの出発点としてよく使われるレピュブリック広場はそういう場所じゃない」と説得し、異例の広場開催にこぎつけたそうです。
また、ショー会場にはリック・オウエンス(Rick Owens)の姿も。どうやら彼らはリックにビジネスなどの相談をしており、リックが彼らの良きメンターのような存在になっているのだとか。「リック・オウエンスの後継者」として、今後もパリでど迫力のショーを見せてくれそうです。

ショーに登場したリアル人形は展示会場にも
episode 9. ガリアーノ × ZARAの展示が力入り過ぎてた件
「ザラ(ZARA)」が、デザイナー ジョン・ガリアーノ(John Galliano)とのクリエイティブ・パートナーシップによるコレクション「Re{form}」の第1弾「Vol. 1 09/2026」を10月1日に発売。それを記念したイベントがパリで開かれました。会場にはコンシェルジュがいて、お化け屋敷のような真っ暗な部屋があったり、鏡張りの部屋があったり、電車が通過する映像が急に流されたりと、さながらテーマパークのよう。興奮冷めやらぬまま辿り着く最後の販売スペースでは、爆買いする来場者を多数発見。それもそのはずで、ザラのアーカイヴをガリアーノの視点で再解釈したジェンダーレスなワードローブは、オートクチュールの技法が詰まりながらも1万990〜9万9990円という価格帯に収まっています。公式オンラインストアではまだ販売されているようなので、気になる方はぜひ早めにチェックしてみてください!

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