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「クロエよ、永遠に」シェミナ・カマリの愛と執着が込められた2027年サマー

文・小湊千恵美

Image by: ©Launchmetrics Spotlight

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 「このコレクションに注ぎ込んだ愛が、永遠に続くことを願って」──クリエイティブディレクターのシェミナ・カマリ(Chemena Kamali)が「クロエ(Chloé)」に寄せる言葉が、コレクションノートの冒頭に記されていた。2023年10月の就任から、今回で7シーズン目となる2027年サマーコレクション。タイトルの「オブセッション(=執着、執念)」が示す、メゾンへの愛や創作への執着、欲望といった本能的な感覚の奥に、彼女は何を見つめたのだろうか。

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本能が導く愛着と執着

 今季の出発点となったのは、直感的な愛着だ。好きなものに立ち返り、それらが呼び起こす感情に耳を澄ませる。タイトルの「オブセッション」は、創作を導く言葉であると同時に、クロエの魂を表しているとも言える。創設者のギャビー・アギョン(Gaby Aghion)が、「私の唯一の望みは、 クロエが人々を幸せにするために、幸せな気持ちを持つことでした」という言葉を残している通り、単に服のデザインにとどまらず、創る人と着る人の心に届くものづくりが背景にある。そういった歴史に目を向けながらカマリが目指したのは、女性像を型にはめるのではなく、その美しさに宿る細やかなニュアンスを新たに見出すことだった。

シェミナ・カマリ

Image by: ©Launchmetrics Spotlight

アーカイヴを記憶と技法から読み直す

 まず参照したのは、メゾン初期の「ローブ・ド・ジュンヌ・フィーユ」。1952年にギャビー・アギョン(Gaby Aghion)がクロエを創業した頃に発表したロマンティックなスタイルで、当時のドレスに用いられたイングリッシュ・エンブロイダリーを手掛かりに復活させた。1960年代の立体的な花の刺繍にはクチュールの技術を取り入れ、豊かな質感と奥行きを加えている。

 さらに、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が手掛けていた1972年の「ノエル」スーツが着想源に。アーカイヴの形をなぞるのではなく、そこにある記憶や感情を今季の服へと移し替えた。

PVCのケープとレースのハーネス

 クロエは1970年代、ケープを繰り返し発表し、象徴的なスタイルを形作っていた。自由な動きを体現するケープは今季、そのシルエットを復活させるとともに、PVCを重ねるなどグラフィカルな輪郭を与えた。漁師の装いを想起させる共地のサウウエスター帽も、フォルムを決定付けるアクセントとなっている。

 女性の肌を装飾するランジェリーを、ハーネスに再構成。メンズスーツと合わせることで、柔らかさとシャープさを併せ持つ現代的な女性像が立ち上がる。

クロエよ、永遠に

 「オブセッション、創造的なこだわり、欲望と魅力。今シーズン、私はクロエへの愛に導かれました。このコレクションが、メゾンの心と魂を表現するものであればと願っています」とカマリ。コレクションノートは「Forever Chloé.」の一言で締めくくられていた。退任の噂がささやかれるなか、その言葉はカマリが手掛けるクロエの最後を想起させる。メゾンのDNAをたどりながら、自由な精神で新たな世界へと羽ばたかせてきたカマリ。その執念とも言える魂が、ロマンティックで軽やかなコレクションに、確かに息づいていた。

Chloé 2027年春夏

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Chloé 2027年サマーコレクション

2027 SPRING SUMMERファッションショー

最終更新日:

文・小湊千恵美

Chiemi Kominato

FASHIONSNAP ファッションディレクター

山梨県出身。文化服装学院卒業後、アパレルデザイン会社で企画、生産、デザイナーのアシスタントを経験。出産を経て、育児中にウェブデザインを学びFASHIONSNAPに参加。レコオーランドの社員1人目となる。編集記者、編集長を経て、2018年よりラグジュアリー領域/海外コレクションを統括するファッションディレクターに就任。年間60日以上が出張で海外を飛び回る日々だが、気力と体力には自信あり。

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