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賞金7400万円も 若手デザイナーが知っておきたい国内外のアワード&助成制度まとめ

菅原まい

LVMHプライズ2025セミファイナル期間の大月壮士デザイナー。アナ・ウィンターらにプレゼン中

Image by: SOSHIOTSUKI

LVMHプライズ2025セミファイナル期間の大月壮士デザイナー。アナ・ウィンターらにプレゼン中

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LVMHプライズ2025セミファイナル期間の大月壮士デザイナー。アナ・ウィンターらにプレゼン中

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 「自分の服をより多くの人に届けたい」「いつか自分のブランドを立ち上げたい」。そんな目標を持つ若手デザイナーにとって、製作資金や発表の場、業界とのつながりをどう得るかは大きな課題です。では、その最初のチャンスをどこでつかめばいいのでしょうか。その一つの突破口となるのが、ファッションアワードや助成制度です。

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 そこで今回は、学生からブランドを運営するデザイナーまで挑戦できる国内外のアワード、奨学金・助成制度を紹介。さらに、2025年にLVMHプライズを受賞した「ソウシオオツキ(SOSHIOTSUKI)」の大月壮士デザイナーに、受賞がブランドにもたらした変化や、賞金の活用について聞きました。

※記載内容は2026年8月時点の情報です。最新情報は各公式サイトをご確認ください

【国内アワード】学生でもチャンスあり、賞金から海外進出支援まで

 日本国内には、学生を対象としたコンテストから、すでにブランドを運営するデザイナーの海外進出を支援するアワードまで、さまざまな制度があります。

装苑賞

2023年に第97回装苑賞を受賞した上村英太郎による「EITARO」の2026年秋冬コレクション

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 1936年に誕生したファッション誌「装苑」の創刊20周年を記念して、1956年に創設されたファッションコンテスト。現時点で、商業ベースのブランドでデザイナーとして活動していない者が対象ですが、初コレクションから2年間は応募可能です。

主催:文化出版局「装苑」編集部
募集開始時期:9月
賞金・報酬:装苑賞(1名)賞状、トロフィー、賞金100万円、副賞として協賛各社からの賞品。佳作1位(1名)賞状、トロフィー、賞金30万円、副賞として協賛各社からの賞品。佳作2位(1名)賞状、トロフィー、賞金30万円、副賞として協賛各社からの賞品。
<過去の受賞者>
1967年:高田賢三(KENZO)
1969年:山本耀司(Yohji Yamamoto)
2009年度:高橋悠介(CFCL)
公式サイト

FASHION PRIZE OF TOKYO

FASHION PRIZE OF TOKYO 2026 受賞者と審査員 左から、ロンハーマン ウィメンズクリエイティブディレクター 根岸 由香里、クリエイティブディレクター 長尾 悦美、寺田典夫「ヨーク」デザイナー、ファッションディレクター 小木 “Poggy” 基史、ファッションディレクター髙島涼

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 東京都と一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が主催するファッションプライズ。すでに国内外で一定の知名度を持つ東京を拠点とするファッションデザイナーを毎年1組選出し、世界で活躍するインターナショナルブランドへの成長を支援します。受賞者には、秋冬・春夏の2シーズンにわたり、パリ・ファッション・ウィーク期間中のファッションショーやショールームの開催などをサポートします。

主催:東京都、一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)
募集開始時期:5月
賞金・報酬:パリ・ファッション・ウィーク期間中に2シーズンにわたってファッションショーおよびショールームを実施。国内外での宣伝・販促費、パリでのイベント運営費、サンプル輸送費、スタッフの渡航・宿泊費などを規定の範囲内で支援するほか、「Rakuten Fashion Week TOKYO」での凱旋イベントの開催もサポート。
<過去の受賞者>
2024年:後藤愼平(MASU)
2025年:浅川喜一朗(ssstein)
2026年:寺田典夫(YOKE)
公式サイト

TOKYO FASHION AWARD

TOKYO FASHION AWARD 第11回受賞者 左から、吉田尚「アンセム エー」デザイナー、鈴木麻莉子「アンセム エー」デザイナー、森下公則「キミノリ モリシタ」デザイナー、「カカン」デザインチームの担当者、木村由佳「ムッシャン」デザイナー、大野陽平「ヨウヘイ オオノ」デザイナー、小林裕翔「ユウショウコバヤシ」デザイナー、横澤琴葉「コトハヨコザワ」デザイナー、松藤勉「マツフジ」デザイナー

Image by: FASHIONSNAP

 東京都と一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が、東京を拠点とするファッションデザイナーの海外進出を支援することを目的に2014年に創設したファッションアワード。世界で活躍する可能性を持つブランドを選出し、パリでのショールーム開設や海外バイヤーとのビジネスマッチングなどを通じて、国際的な認知度向上とビジネス拡大を支援します。

主催:東京都、一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)
募集開始時期:5月
賞金・報酬:パリ・ファッション・ウィーク期間中に2シーズンにわたってファッションショーおよびショールームを実施。ソウルでポップアップショップの実施や、「Rakuten Fashion Week TOKYO 2027 A/W」公式イベントへの参加権。
<過去の受賞者>
2024年:横澤琴葉(kotohayokozawa)、大野陽平(YOHEI OHNO)など
2025年:佐々木悟(SATORU SASAKI)、小濱伸彦/River Garam Jang(RIV NOBUHIKO)など
2026年:大野陽平(YOHEI OHNO)、木村由佳(mukcyen)、工藤花観(KAKAN)、小林裕翔(yushokobayashi)など
公式サイト

JFW NEXT BRAND AWARD

「JFW NEXT BRAND AWARD 2025」でグランプリを受賞した「テルマ」がブランド初となるランウェイショー形式で発表した2025年春夏コレクション

Image by: FASHIONSNAP(Koji Hirano)

 一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が、世界での活躍が期待される新しいブランドの支援を目的に、2022年に立ち上げたブランドサポートプログラム。ものづくりの技術に加え、ランウェイショーを通じてブランドの世界観やコンセプト、メッセージを発信でき、グローバル市場を視野に入れたビジネス展開が期待できるブランドを対象としています。

主催:一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)
募集開始時期:4月
賞金・報酬:グランプリに年間300万円(春夏・秋冬シーズン各150万円)を支給。2シーズンにわたり「Rakuten Fashion Week TOKYO」でのランウェイショー開催を支援し、参加登録料や公式会場使用料を免除するほか、ショーの記録映像・スチール撮影、海外招聘バイヤーとの商談機会、海外合同展への出展などをサポート。
<過去の受賞者>
2024年度:サカイカナコ(KANAKO SAKAI)
2025年度:中島輝道(TELMA)
2026年度:木村由佳(mukcyen)
公式サイト

Next Fashion Designer of Tokyo(NFDT)

NFDT受賞者と小池百合子都知事、審査員たち

Image by: 東京都産業労働局提供

 東京都が、世界で活躍する若手ファッションデザイナーの育成を目的に実施するコンクール。都内在住または在学中の学生・生徒を対象とし、自由な発想を競う「フリー部門」と、障がいの有無や年齢、性別などにかかわらず誰もが楽しめるファッションを提案する「インクルーシブデザイン部門」の2部門を設けています。一次審査通過者には作品製作費の一部を支援するほか、プロによる製作アドバイスやワークショップなどを実施します。

主催:東京都
募集開始時期:6月
賞金・報酬:東京都知事賞の大賞(各部門1名または1グループ)に賞金100万円、優秀賞(各部門2名または2グループ)に各50万円、特別選抜賞(各部門1名または1グループ)に50万円を贈呈。受賞作品を都内商業施設などで巡回展示するほか、ブランディング支援やパリ・ファッション・ウィーク期間中の作品発表の機会を提供。
<過去の受賞者>
2025年:二宮櫻壽(フリー部門 東京都知事賞・大賞)、黒田菜々子(インクルーシブデザイン部門 東京都知事賞・大賞)
2026年:大西洋太朗(フリー部門 東京都知事賞・大賞)、マックファーレン七海(インクルーシブデザイン部門 東京都知事賞・大賞)
公式サイト

Sustainable Fashion Design Award(SFDA)

SFDA受賞者と小池百合子都知事、審査員たち

Image by: 東京都産業労働局提供

 東京都が、若手デザイナーの育成と日本の伝統文化の継承、サステナブルなファッションの発信を目的に実施するコンクール。着物の生地などを活用したデザインを募集し、「ウェア部門」と、バッグやアクセサリー、シューズなどを対象とする「ファッショングッズ部門」の2部門を設けています。都内在住または在学・在勤する学生・生徒、アマチュアデザイナーが対象です。

主催:東京都
募集開始時期:6月
賞金・報酬:東京都知事賞の大賞(各部門1名または1グループ)に賞金100万円、優秀賞(各部門2名または2グループ)に各50万円、特別選抜賞(各部門1名または1グループ)に50万円を贈呈。受賞作品は都内の商業施設などで巡回展示するほか、1年間の創業・ブランディング支援を行い、パリ・ファッション・ウィーク期間中の作品発表のサポート。
<過去の受賞者>
2026年:片柳由菜(ウェア部門 東京都知事賞・大賞)、八木香菜子(ファッショングッズ部門 東京都知事賞・大賞)
公式サイト

YKKファスニングアワード

 YKKが2001年から開催する、学生を対象とした日本最大級のファッションデザインコンテスト。ファスナーやバックル、スナップ&ボタンなどのファスニング商品を用い、その機能や特徴を生かした新たなデザインを募集しています。「アパレル部門」と、バッグや靴、帽子、アクセサリーなどを対象とする「ファッショングッズ部門」の2部門を設けており、国内の大学や短期大学、高等学校、専門学校などに在学する学生が対象です。

主催:YKK株式会社、YKKスナップファスナー株式会社
募集開始時期:5月
賞金・報酬:グランプリ(各部門1作品)に賞金100万円、優秀賞(各部門1作品)に20万円、特別賞(各部門2作品)に10万円を贈呈。全作品からサーキュラーデザインの視点で選出する「Circular Design 特別賞」(1作品)にも10万円を贈る。各賞にトロフィーを授与するほか、グランプリ、優秀賞、特別賞の受賞者には5万円相当のYKKファスニング商品無償オーダー権が与えられ、グランプリにはJUKI製ミシンを贈呈。
<過去の受賞者>
2024年:岩野蓮祐(アパレル部門 グランプリ)、LO HSIANG HUA(ファッショングッズ部門 グランプリ)
2025年:今野奏(アパレル部門 グランプリ・Circular Design特別賞)、鳥居遼太郎(ファッショングッズ部門 グランプリ)
公式サイト

ファッション・フロンティア・プログラム(FFP)

「FASHION FRONTIER PROGRAM 2025」最終審査風景

Image by: FASHIONSNAP

 デザイナーの中里唯馬と一般社団法人unistepsが2021年に設立。プログラムは「アワード」「インキュベーション」「スカウティング」「マッチング」「ラボ」の5つの要素で構成されており、ファイナリストには、自身のアイデアを具現化するためのさまざまなジャンルのサポーターやアドバイザーからの学びの機会や、技術サポート、作品発表の機会が提供します。応募条件には、「独自のアイデアにソーシャルレスポンシビリティの視点を交え、ファッションのフロンティアを開拓するような志を持っているか」を設定。学生やプロのデザイナーに限らず、他分野のクリエイターやアーティストなども応募でき、年齢や経験による応募条件は設けていません。

主催:株式会社YUIMA NAKAZATO LABORATORY
共催:一般社団法人unisteps、FASHION FRONTIER PROGRAM実行委員
募集開始時期:2月
賞金・報酬:国内外の展示会やイベントで作品を発表する機会の提供、希望に応じてFFPアーティストマネジメント(FFPが運営するマネージメント事務所)と契約することができ、マネジメントのサポートや、新たな製作の機会を得ることが可能。
<過去の受賞者>
2023年:川尻優(グランプリ)
2024年:須田美咲(グランプリ)
2025年:林ひかり(グランプリ)
公式サイト

高校生ファッションデザイン画コンテスト

 文化服装学院が2022年にスタートした、高校生を対象としたファッションデザイン画のコンテスト。服のデザイン性を重視し、ファッション業界で活躍するデザイナーやスタイリスト、メディア関係者らが審査を行います。日本国内の高等学校、高等専門学校(1〜3年次)、高等専修学校の在籍者が対象です。

主催:学校法人文化学園 文化服装学院
募集開始時期:8月
賞金・報酬:デザイン画大賞(1点)にQUOカード5万円分と作品製作奨励金30万円、優秀賞(2点)にQUOカード3万円分と作品製作奨励金30万円、審査員賞(5点)にQUOカード1万円分と作品製作奨励金15万円を贈呈。なお作品製作奨励金は、高校などの卒業後1年以内に文化服装学院へ入学する場合に贈られる。このほか、受賞者を文化祭ファッションショーへ招待し、入賞作品は「装苑ONLINE」へ掲載する。
<過去の受賞者>
中村寧(京都市立美術工芸高等学校 2年、デザイン画大賞)
公式サイト

【海外アワード】最高賞金はなんと約7400万円!

 世界に目を向けると、高額な賞金に加え、メンターシップや海外での発表機会など、その後のキャリアを大きく後押しするアワードも。日本を拠点とするクリエイターが応募できる主要な国際アワードを紹介します。

仏・LVMH Prize for Young Fashion Designers

LVMHプライズ2025セミファイナル期間の様子

Image by: SOSHIOTSUKI

 LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトンが、若手ファッションデザイナーの育成・支援を目的に2013年にスタート。18〜40歳で、ウィメンズ、メンズまたはジェンダーレスのプレタポルテコレクションを2回以上発表しているデザイナーが対象。世界各国から応募を受け付け、ファッション業界の専門家によるセミファイナル審査を経て、LVMH傘下メゾンのデザイナーらで構成する審査員が受賞者を決定します。

主催:LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン
開催国:フランス
募集開始時期:11月
賞金・報酬:LVMHプライズ受賞者に40万ユーロ(約7400万円)と、LVMHの専門家による1年間のメンターシップを提供。「カール・ラガーフェルド プライズ」と、クラフツマンシップや技術革新、サステナビリティを評価する「サヴォアフェール プライズ」の受賞者には、それぞれ20万ユーロ(約3700万円)と1年間のメンターシップを提供する。このほか、ファッションスクールの卒業生を対象とした賞も設けている。
<過去の受賞者>
2023年:桑田悟史(SETCHU)
2024年:エレン・ホダコヴァ・ラーソン(HODAKOVA)
2025年:大月壮士(SOSHIOTSUKI)
公式サイト

仏・ANDAM fashion award

アンダムの創設者兼マネージングディレクターのナタリー・デュフォー(Nathalie Dufour)

Image by: FASHIONSNAP

 フランス国立モード芸術開発協会(ANDAM)が、若手ファッションデザイナーの育成とフランスのファッション産業の発展を目的に1989年に創設したファッションアワードです。フランス国内外のデザイナーを対象とし、受賞者には賞金に加えて、ファッション業界の経営者やデザイナーによるメンターシップを提供。グランプリのほか、スペシャルプライズ、ピエール・ベルジェ プライズ、アクセサリー プライズ、イノベーション プライズを設けています。

主催:ANDAM(Association Nationale pour le Développement des Arts de la Mode)
開催国:フランス
募集開始時期:1月下旬
賞金・報酬:グランプリに30万ユーロ(約5500万円)、スペシャルプライズに10万ユーロ(約1800万円)を贈呈し、両受賞者には1年間のメンターシップを提供。ピエール・ベルジェ プライズにも10万ユーロと1年間のメンターシップを提供する。
<過去の受賞者>
2024年:クリストファー・エスバー(Christopher Esber)
2025年:メリル・ロッゲ(Meryll Rogge)
2026年:マリー・アダム=リーナエルト(MARIE ADAM-LEENAERDT)
公式サイト

仏・International Festival of Fashion, Photography and Fashion Accessories in Hyères

 フランス南部イエールのヴィラ・ノアイユを舞台に開催される、若手クリエイターを対象とした国際コンペティションで、通称“イエール国際フェスティバル”。ファッション、写真、アクセサリーの3部門を設けています。ファッション部門は18歳以上であれば国籍を問わず応募でき、自身のブランドを運営している必要はありません。審査を経て10組のファイナリストを選出し、フェスティバル期間中にコレクションをランウェイショー形式で発表するほか、審査員や業界関係者、来場者に向けたプレゼンテーションを行います。

主催: Association villa Noailles
開催国:フランス
 募集開始時期: 11月
 賞金・報酬: ファッション部門の「Grand Prix du Jury Mode」受賞者に、「シャネル(CHANEL)」が2万ユーロ(約370万円)を提供し、シャネルが設立した複合施設「le19M」に所属するメゾンダールとの協業プロジェクトを実施。欧州リネン・ヘンプ連盟による素材提供などの支援も行う。このほか、「L’Atelier des Matières Prize」では1万ユーロ(約180万円)相当のデッドストック・再生素材、「Supima Prize」では次回コレクションへの生地提供とニューヨークで開催される「Supima Design Lab」への渡航を支援する。受賞者はパリ・ファッション・ウィーク期間中にPremière Classeで作品を発表する機会も得る。
<過去の受賞者>
2024年:ドレヴ・エルロン(Dolev Elron)
2025年:ルーカス・エミリオ・ブルンナー(Lucas Emilio Brunner)
公式サイト

伊・International Talent Support(ITS)

2022年に「アートワーク部門グランプリ(ITS Artwork Award powered by Swatch Art Peace Hotel)」を受賞した田中優大と田中杏奈によるユニット「ビオトープ」

Image by: ビオトープ

 イタリア・トリエステで2002年に創設された、若手クリエイターを対象とする国際ファッションコンテストで、通称“イッツ”。世界各国の新進ファッション、アクセサリー、ジュエリーデザイナーを対象に、作品発表や業界関係者とのネットワーク構築、メンターシップなどを通じてキャリアを支援します。過去には田中優大と田中杏奈によるユニット「ビオトープ(BIOTOPE)」や、佐藤百華と宮崎が手掛ける「ユークロニア(EUCHRONIA)」などの日本人デザイナーによるブランドも受賞しています。

主催:Fondazione ITS
開催国:イタリア
募集開始時期:8月
賞金・報酬:10人を「I:C 10x10x10 Award」に選出し、それぞれに1万ユーロ(約180万円)を贈呈。受賞者はイタリア・トリエステで10日間のクリエイティブ・レジデンシーに参加できるほか、ITS Arcademyで10ヶ月間にわたり作品を展示できる。このほか、審査員や協賛企業・団体による特別賞も設ける。
<過去の受賞者>
2025年度:ジュエン・ツァイ (Zhuen Cai)、ミヨダ・ダジョミ (Mijoda Dajomi)、ナヤ・エル・アーダブ (Naya El Ahdab)、メイシー・グリムショウ (Macy Grimshaw)、シンディ・ジャオハン・リー (Cindy Zhaohan Li)、チアンハン・リウ (Qianhan Liu)、マキシミリアン・レイナー (Maximilian Raynor)、ガブリエル・スワルセンバーグ (Gabrielle Szwarcenberg)、パトリック・テイラー (Patrick Taylor)、イーファン・ユー (Yifan Yu)
公式サイト

伊・Mittelmoda International Lab Fashion Award

 イタリアで開催される、若手ファッションデザイナーを対象とした国際コンテスト。世界各国のファッションスクールなどで学ぶ学生や卒業生を対象に、次世代のデザイナーの発掘・支援を目的としています。審査を通過したファイナリストは、最終イベントで自身のコレクションをランウェイ形式で発表。2026年度は22〜30歳で、ファッションデザインなどの対象課程を2025/26年度に修了した人、または2026/27年度に修了予定の学生などが応募できます。

主催: Mittelmoda International Lab
開催国:イタリア
募集開始時期:3月
賞金・報酬:最高賞にあたる「Innovation Main Award」に1万ユーロ(約180万円)、「Creativity Main Award」に5000ユーロ(約90万円)を贈呈。メンズ&ウィメンズウェア、テキスタイル&マテリアル、イタリアンレザー、アイウェア、シューズ、サステナビリティなど各分野に2000ユーロ(約37万円)の賞を設ける。
<過去の受賞者>
2025年:インバル・ヘファー(Inbal Heffer、Innovation)、アーサ・ブリエット・ブラッタベルグ(Ása Bríet Brattaberg、Creativity)
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豪・International Woolmark Prize

2025年受賞者「デュラン ランティンク」の2025年秋冬コレクション

Image by: ©Launchmetrics Spotlight

 オーストラリア産メリノウールの可能性を発信するとともに、世界の新進ファッションデザイナーを発掘・支援する国際的なファッションアワード。1950年代に始まり、過去にはイヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)やカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)ら名だたるデザイナーが受賞しています。ファイナリストはメリノウールを用いたカプセルコレクションを製作し、サプライチェーンや製造など各分野の専門家によるメンターシップを受けることができます。

主催:The Woolmark Company
開催国:オーストラリア
募集開始時期:開催年によって異なる
賞金・報酬:International Woolmark Prize受賞者に30万豪ドル(約3400万円)を贈呈。ファイナリストにも事業やカプセルコレクションの開発に向けた資金を提供するほか、専門家によるメンターシップや、世界の主要小売店でコレクションを展開する機会などを提供する。
<過去の受賞者>
2022年:ソール・ナッシュ(Saul Nash)
2023年:ラゴス・スペース・プログラム(LAGOS SPACE PROGRAMME)
2025年:デュラン・ランティンク(DURAN LANTINK)
公式サイト

【奨学金・助成制度】返済不要の奨学金から最大3000万円の助成も

 コンテストで賞を競う以外にも、若手の活動を支える選択肢はさまざま。製作や学び、ブランド運営を資金面から後押しする奨学金・助成制度を取り上げます。

JFLF AWARD

2024年受賞者に選出された髙木洋二郎が手掛ける「オポーズ デュアリティ」

Image by: オポーズ デュアリティー

 公益財団法人日本服飾文化振興財団が、若手服飾デザイナーのデザイン活動を奨励することを目的に開設した助成制度。服飾デザインに関わる活動を行う若手デザイナーを対象に、活動費の助成を行います。選考委員には、デザイナーの相澤陽介氏や、日本服飾文化振興財団代表理事でユナイテッドアローズ名誉会長の重松理氏らが名を連ねます。

主催:公益財団法人日本服飾文化振興財団
募集開始時期:10月
助成金・支援:1人あたり30万〜100万円を助成。年間の助成総額は300万円を上限とする。
<過去の対象者>
2023年度:KYOU(KYOU)、藤本凌太(FUJI)
2024年度:髙木洋二郎(OPPOSE DUALITY)
2025年度:近藤 晃裕(MIDTHINGS)
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日本デザイン振興会 デザイン助成プログラム

 公益財団法人日本デザイン振興会が、デザイン分野の研究をリードする人材や、デザインを活用した取り組みを広げる人材の育成を目的に2025年度から実施する助成プログラム。「デザイン研究」と「デザイン振興」の2分野を設け、前者ではデザインと企業などの経営に関する研究、後者ではデザインを通じた地域づくり・まちおこしや子どもの教育に関する活動を支援します。

主催: 公益財団法人日本デザイン振興会
募集開始時期: 11月
助成金・支援:「デザイン研究」「デザイン振興」ともに1件につき50万円を助成し、各2件程度を採択。助成期間は1年間。デザイン研究は日本の大学、高等専門学校、研究機関、企業に所属する研究者、デザイン振興は日本国内に活動拠点を置く団体または個人が対象となる。
<過去の対象者>
2025年度:井登友一、吉岡(小林)徹(デザイン研究)、満森美香、阿部浩之(デザイン振興)
公式サイト

クマ財団 クリエイター奨学金

 公益財団法人クマ財団が、次世代を担う若手クリエイターの育成を目的に実施する給付型奨学金。毎年4月1日時点で25歳以下の学生を対象とし、ファッションやテキスタイルをはじめ、アート、テクノロジー、音楽、建築、映画などジャンルを問わず募集する。学力による選考は行わず、自身の作品を提出できることなどを応募条件としています。

主催: 公益財団法人クマ財団
募集開始時期: 秋頃
奨学金・支援: 奨学生に月額10万円、年間120万円を1年間給付。返済義務はなく、生活費や製作場所の賃料、資材購入費など用途の制限も設けていない。資金面に加えて、奨学生同士の交流会や合宿、中間発表などの年間カリキュラムを提供し、成果発表展「KUMA EXHIBITION」で作品を発表する機会も設ける。
<過去の対象者>
2026年度:50人(第10期生)。ファッション分野では加藤海凪、島田響、永田莉紗が採択されている。
公式サイト

Buy TOKYO 推進活動支援事業

2025年度の採択企業に採択されたマラミュートが手掛ける「オダカ」2026年秋冬コレクション

Image by: FASHIONSNAP

 東京都と公益財団法人東京都中小企業振興公社が、東京の地域資源を活用した製品・サービスや、都市・地域課題の解決につながる製品・サービスの開発、改良、販路開拓を支援する助成事業。東京都が実施してきた地域資源の活用や東京産品の販路開拓に関する支援事業を再編し、2026年度から実施しています。「開発・改良フェーズ」と「販路開拓フェーズ」を設け、都内の中小企業や個人事業者、創業予定者などを対象に支援します。

主催: 東京都、公益財団法人東京都中小企業振興公社
募集開始時期: フェーズによって異なる
助成金・支援:開発・改良フェーズ、販路開拓フェーズともに助成限度額1500万円、助成率は対象経費の3分の2以内。両フェーズを併用する場合は最大3000万円を助成する。販路開拓フェーズでは、資金面に加えてコーディネーターや専門家によるハンズオン支援、PR支援なども行う。
<過去の対象企業>
令和7年度:「オダカ(ODAKHA)」を展開するマラミュート、「タナカダイスケ(tanakadaisuke)」を手掛けるパッチワークス、「ホウガ(HOUGA)」を運営するHOUGAなど
公式サイト

LVMHグランプリ受賞後、ブランドはどう変わった? 「SOSHIOTSUKI」大月壮士に聞く

 ここまで紹介してきたアワードや支援制度は、若手デザイナーに資金や発表の場、メンターシップなど、さまざまな機会を提供しています。では、実際に受賞することで、ブランドにはどのような変化が起こるのでしょうか。

 2025年、「LVMH Prize for Young Fashion Designers(LVMHプライズ)」のグランプリを日本人として3人目に受賞した「ソウシオオツキ(SOSHIOTSUKI)」の大月壮士デザイナーに、受賞後の変化や賞金の使い道、メンターシップの内容、これからアワードを目指す若手デザイナーへのアドバイスを聞きました。

大月壮士

SOSHIOTSUKIデザイナー

1990年千葉県生まれ。2011年文化服装学院アパレルデザイン科メンズデザインコース卒。卒業後、プライベートスクール「ここのがっこう」に通い、山縣良和と坂部三樹郎に師事。2015年AWよりメンズウェアレーベル「ソウシオオツキ(SOSHIOTSUKI)」を立ち上げる。LVMHプライズ2016のショートリストに日本人最年少でノミネート。2019年度 Tokyo新人デザイナーファッション大賞プロ部門入賞。2025年、9月「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」を受賞。

⎯⎯LVMHプライズ受賞後、ブランド運営において最も大きく変わったことは何でしたか?

 最も大きく変わったのは、やはりブランドへの注目度だと思います。特に、イタリア・フィレンツェで開かれるメンズの総合見本市「ピッティ・イマージネ・ウオモ(Pitti Immagine Uomo)」で2026年6月にショーを行えたことで、かなり注目度が上がったと感じています。

 LVMHプライズを受賞した際、一部ではソウシオオツキの服はほかのファイナリストと比べて「シンプルすぎる」という意見もありました。ただ、受賞直後に海外でこれだけ大きな舞台を用意していただいたことで、服を単体で見せるだけでは伝えきれない、ブランドが持つダイナミックな部分まで世界に見せることができたのではないかと思っています。

 そうした実績もあってか、翌シーズンには初めてのパリでのショーでありながら、メンズファッションウィークの公式カレンダーでランウェイショーを行う機会をいただきました。本来であれば、さまざまな経験や実績を積み重ねた先に立つような舞台に、ある意味では“飛び級”のような形で立たせてもらえた。そのきっかけをつくってくれたのは、間違いなくLVMHプライズだったと思っています。

⎯⎯40万ユーロ(約7400万円)の賞金はどのように活用しましたか?

 それまで自宅兼アトリエだった仕事場から新しいオフィスへ移り、スタッフも新たに迎えることができました。また、ピッティに参加したことで2026年秋冬シーズンには受注が大きく伸びたため、賞金の大部分はそのオーダーを実際に生産するための資金として活用しました。

 金銭的な支援はもちろん大きかったですが、受賞によってブランドへの注目が一気に高まったことで、「それに見合う体制を整えなければいけない」と自分自身の意識が変わったことも、ブランドの成長につながった大きな要素だと思います。

LVMHセミファイナル会場に設営されたソウシオオツキのブース

Image by: SOSHIOTSUKI

審査員を務める「ディオール」のクリエイティブ ディレクタージョナサン・アンダーソンにプレゼンする大月

Image by: SOSHIOTSUKI

⎯⎯受賞後は、「ロエベ(LOEWE)」のCEOであるパスカル・ルポワヴル(Pascale Lepoivre)氏によるメンターシップを受けています。特に印象に残っているアドバイスや学びを教えてください。

 クリエイションについては、細かく何かを変えるように言われることはほとんどなく、「今のままでいい」という言葉をいただきました。それが自分にとって意外と大きなことで、初めて海外でランウェイショーを行う際にも、「今までやってきたことをそのまま信じていいんだよ」と背中を押していただきました。

 一方、ブランド運営については非常に実践的なことを学んでいます。たとえば、世界のラグジュアリービジネスでは年間を通してどの時期にどのようなイベントや需要があるのか、地域ごとの気候を考えると、どのタイミングでどのアイテムを売れるようにしておくべきなのか、といった販売の年間サイクルや商品戦略です。服を作ることとは別に、世界の市場を見ながらブランドをどう運営していくのか。その視点を具体的に学べたことが、ブランドの成長につながっていると思います。

⎯⎯これからLVMHプライズをはじめとする国際的なアワードに挑戦する若手デザイナーに、アドバイスをお願いします。

 僕自身、2025年春夏シーズンに、それまで続けてきたスタイルを一度捨てるような感覚でブランドをリブランディングしました。それが結果的に、2016年以来、再びLVMHプライズにノミネートされるきっかけになり、受賞へとつながりました。

 そこから感じるのは、アワードのために何か特別なことをするというよりも、常に今の自分がやっていることを一度疑い、必要であれば否定して、時代とともに次へ進んでいけるかどうが重要だということ。それはアワードへの応募に限らず、長くクリエイションを続けていくうえで、とても大切な姿勢だと思っています。

最終更新日:

文・菅原まい

Mai Sugawara

FASHIONSNAP 編集記者

2002年、東京都生まれ。青山学院大学総合文化政策学部卒業後、2025年に新卒でレコオーランドに入社。中学生の頃から編集者を志し、大学生時代は複数の編集部でインターンとして経験を積む。特技は空手。趣味は世界中の美味しそうなお店をGoogleマップに保存すること。圧倒的猫派で、狸サイズの茶トラと茶白を飼っている。

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