ZOZO 澤田宏太郎社長
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前澤友作氏からトップ交代1年半で最高益更新 新生ZOZO澤田社長が睨む次の一手

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 コロナ禍も数々の取り組みで話題を集め、2021年3月期に過去最大の商品取扱高と営業利益を記録したZOZO。創業者の前澤友作氏から社長の座を引き継ぎ、わずか1年半で成果を残した現社長の澤田宏太郎氏は、今期(2022年3月期)から長年の懸念事項であった"ゾゾタウン一本足打法"から脱却し、ビジネス領域の拡大に本格着手する。好決算の裏側、そして新生ZOZOへの道筋を澤田社長へのオンライン取材から探った。

社長交代時の会見レポート
「主役は社員」前澤友作氏なきZOZOが"第二創業期"突入、新社長の澤田宏太郎氏が会見で挨拶

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話題を集めたゾゾコスメ、ゾゾタウン超えのPayPayモール店

「本来であれば昨年末までに立ち上げたかったのですが、よりいいものを作りたいという思いから時間をかけました。結果として年度内にオープンできましたし、準備期間を十分に確保したことでプロモーションにも力を入れることができましたから、最後にしっかりまとまったなというのが感想です」(澤田社長)

 コスメ専門モール「ゾゾコスメ(ZOZOCOSME)」とラグジュアリー&デザイナーズゾーン「ゾゾヴィラ(ZOZOVILLA)」を立ち上げたことで注目を集めたゾゾ。ローンチに合わせて開発した肌色測定ツール「ゾゾグラス(ZOZOGLASS)」が90万件の注文を受けるなど話題性も相まって、ゾゾコスメのサービス開始初日のコスメの売上は前年比20倍に跳ね上がった。売れているのはゾゾグラス対応商品のファンデーションではなくカラーコスメ。外出時のマスク着用がマナーとなった今、アイシャドウが想定よりも動いているという。

 ゾゾグラスに関しては、パーソナルカラー診断の精度について疑問視する声がSNSで複数上がっていたが、ゾゾグラスの開発担当者によると「日本人はブルベ夏が多く、日本人の半分以上とも言われている。診断結果のタイプは均等に分かれるわけではないので、偏ってしまうのは仕方ないという部分もある」という。今後はゾゾコスメのブランドラインナップを拡充しながらゾゾグラス対応商品を増やしていく方針で、肌色だけではなく顔タイプ診断といったコンテンツにも応用していく。将来的なコスメの取扱高は「3ケタ億円」を目指す。

ゾゾコスメのイメージとゾゾグラス

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 また、2021年3月期通期の商品取扱高は前期比21.5%増の4194億3000万円、営業利益は58.3%増の441億円と大幅に増加した大きな要因の一つとなったのは、Zホールディングスの連結子会社となったことによる相乗効果。2019年12月に出店を開始したPayPayモールでの商品取扱高は280億円を突破した。3月28日に関しては本店の売り上げを超えたという。2022年3月期の目標商品取扱高は4728億円、そのうちPayPayモールでの商品取扱高は330億円を掲げる。

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「商品取扱高に頼らない」

 ゾゾタウンはファッションECでは他の追随を許さない圧倒的規模に成長したが、Zホールディングスとしては競合のアマゾンや楽天と差にまだ開きがある。しかしゾゾタウン上のさらなる商材拡張を進めるのではなく、商品取扱高に頼らない利益構造を追求することを狙うという。

「ゾゾタウン一本足打法だったのが長年の課題でした。今期以降はゾゾタウン以外のビジネスを増やしていきます。ゾゾタウンの中で商材を引き続き広げていくというのもありえなくはないですが、ゾゾタウンはあくまでもファッションを軸に、ファッションの領域でのカテゴリーキラーを目指す。おしゃれ家具のような領域はPayPayモールやヤフーショッピングの方が総合モールですから品揃えも豊富ですし、送客して収益化したいと考えています」(澤田社長)

 今後の戦略は、以下の3本柱を掲げる。

  1. 独自のテクノロジーとビッグデータを活用したコト体験の充実化とプロダクトの開発
  2. 生産支援
  3. 技術ライセンスの販売

 コト体験の充実化では、骨格診断やカラー診断などのパーソナライズドコンテンツや、販売スタッフがゾゾタウン上でオンライン接客ができるサービス「FAANs(Fashion Advisors Are Neighbors)」(仮)などの開発を進めており、オリジナルコンテンツで他社ECと差異化を図るとともにトラフィック拡大を目指す。

 生産支援では「売るためのプラットフォーム」から「作るためのプラットフォーム」に発展させるため、需要分析と生産基盤を強みに、企画から生産、在庫、販売までのすべてのフェーズを同社がサポートする。受注生産方式を取ることでサステナビリティへの貢献にもつなげたい考えだ。

 技術ライセンスの販売では計測ツールのテクノロジーを外部に提供。グローバル展開も視野に入れる。これまで開発した計測ツールは以下の3つに加え、指のサイズを測れる「ZOZOMAT for hands」(仮)も提供開始に向けて大詰めを迎えているという。

  • ZOZOSUIT2 - 採寸用ボディースーツ「ゾゾスーツ」の進化版。ゾゾタウンで取り扱うアパレル商品を中心に対応している。
  • ZOZOMAT - 足の3Dサイズの計測が可能。靴の専門モール「ゾゾシューズ(ZOZOSHOES)」取扱商品に対応している。
  • ZOZOGLASS - フェイスカラー計測ツール。コスメ専門モール「ゾゾコスメ(ZOZOCOSME)」取扱商品に対応している。

 「ZOZOMAT for hands」(仮)は上記の3つのツールとは異なり、ゾゾタウンユーザーへの無料配布は行わずに技術のオープン化から取り掛かることで収益を上げることを目指す。

「ユーザーが増えれば増えるほどデータの精度も向上するので、まずは他社への開放を優先することに決めました。ゾゾタウンでのジュエリーの取り扱いは少ないですし、新しいカテゴリーの開設準備を進めると1年かかる。ジュエリー専用ページの開設については検討段階ですが、少なくとも今年度中に立ち上げることはありません」(澤田社長)

ファッションECからファッションインフラのZOZOへ

 新戦略の先に見据えるのは「ファッション業界のインフラを目指す」という新たなヴィジョン。ZOZOとしてのあるべき姿について議論を重ねてきた中で決定されたもので、赤字となり失敗に終わったPB事業での経験は「マルチサイズ」やD2C事業の取り組みでも役に立っているという。

「PBは赤字の状況にはなったが、モノを作るというのはやってみないとわからないことがたくさんあったので、今では非常に糧になっています。今後は自分たちでブランドを作る経営方針を変えて支援する範囲を大きく広げ、ブランドにどれだけうまくZOZOのサービスを使ってもらえるかという方向に転換します」(澤田社長)

 ファッションECからファッションインフラのZOZOへ。「2021年3月期の好決算を超える」という点でも成果が求められ、さらに大きなプレッシャーがかかってくる。前社長の前澤が肝いりで始めたPBは「在庫は昨年のうちにほぼ消化し、今期中に在庫分を売り切り完全廃止する予定」といい、コロナ禍を経て澤田体制での本番がこれから始まる。

■2022年3月期通期連結業績予想 ※()は前期比
商品取扱高:4728億円(12.7%増)
売上高:1626億円(10.3%増)
営業利益:478億円(8.3%増)
当期純利益:333億円(7.7%増)

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