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【インタビュー】「M A S U」など新進ブランドをセレクト ZOZOの25歳若手スタッフが仕掛ける24HOURS SHOPとは?

ZOZO EC事業本部 商品企画部 平岩瑞基氏 Image by FASHIONSNAP
ZOZO EC事業本部 商品企画部 平岩瑞基氏
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 「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」で“今推したい”ブランドとコラボレーションし、24時間ごとにアイテムを入れ替えて販売するZOZOの独自企画「24HOURS SHOP」。第3回の開催となる今回は「エムエーエスユー(M A S U)」をはじめとする業界でも注目度の高い新進メンズブランドが揃い、マス向けのイメージが強いゾゾタウンとしては異例のラインナップとなった。ディレクションを手掛けるのは、25歳の若手男性スタッフ 平岩瑞基氏。「服好きなら社内では誰にも負けない」――ZOZO随一の服好きという同氏がこの企画を通じて発信するファッション業界へのメッセージとは?

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■24HOURS SHOP 第3弾
販売期間:2021年11月26日(金)0:00〜11月28日(日)23:59
販売スケジュール:
11月26日(金)0:00〜23:59 コッキ(KHOKI)、シュガーヒル(SUGARHILL)
11月27日(土)0:00〜23:59 クードス(kudos)、シューオム/フェム(SYU.HOMME/FEMM)
11月28日(日)0:00〜23:59 エムエーエスユー(M A S U)、ケイスケヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)
特設ページ

あえて24時間限定で販売

―「24HOURS SHOP」の始動のきっかけを教えてください。

 24HOURS SHOPが立ち上がったのは2019年なのですが、ちょうどその頃は(ZOZO創業者の)前澤(友作)さんが代表を退任されて新体制がスタートした時期でした。企業としては大きくなったけれども、一方でマス化が進んでいると社員の間でも感じていたところがあり、創設当初のようにファッション感度の高いお客様にも買い物していただきたいという思いから始まりました。第1回は「ゾゾヴィラ(ZOZOVILLA)」を後に立ち上げた人間が発起人となり、第2回以降は僕が手掛けています。

―何名のチームで動いているんですか?

 最初は有志で集まったメンバーが手掛けていましたが、24HOURS SHOPを含むゾゾタウンにまつわる商品企画に特化したチームが昨年2月に発足してからは男性メンバー3人で運営してきました。今は女性メンバーも加わり4人体制になりましたが、24HOURS SHOPに関しては前回も今回も僕がメインでディレクションを組んでいます。

―平岩さんは現在25歳と若いですよね。ZOZOとしても抜擢だったのでは?

 うーん......そうなんですかね(笑)。運やタイミングがたまたま重なったのもありますが、自分のやりたいことを伝え続けてきたので、そこを汲み取っていただけたのはあると思います。

―新卒からZOZOに在籍しているんですか?

 実は前の会社を3ヶ月で辞めているんです。コンサルの会社だったのですが、もともとはファッションのコンサルをしたいと考えていて。やはりファッションを仕事にしたいと思い、ZOZOに転職しました。やりたいことを好きなようにやらせてもらえる環境に感謝しています。

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―24HOURS SHOPでは各アイテムを24時間限定販売するとのことですが、期間をより長く取った方が売り上げも伸びるのでは?

 おっしゃる通り、期間を長くすればその分売れるし、いつでも買えることが通信販売のメリットの1つですが、逆に時間的な制約を設けることでお客様の心理を煽れたらと。あとは店頭での買い物のようにライブ感を楽しんで欲しいという思いもあります。

―実際に、過去の販売では大きな反響があったそうですね。

 前回販売した「ユースルーザー(youth loser)」と「ディッキーズ(Dickies)」のコラボ商品はかなり多くの在庫を積みましたが、0時の販売開始から50秒で全アイテムが売り切れました。あともう一つ、「シンヤ(SHINYA)」という規模としては大きくないコアなブランドがあるのですが、シャツを販売した時も2万5000円程度と決して価格の安くはなかったのに10分程度で完売しました。販売開始の0時を迎えるタイミングを楽しみにしてくださっているお客様がいるというのはすごく嬉しかったですし、企画をやる上で自信になったポイントです。

―狙っていた顧客層にはリーチできたのでしょうか?

 新規のお客様に加えて、昔ゾゾタウンを使っていて近年商品を購入していなかったお客様も戻ってきてくれたので、手応えはありましたね。

ZOZOが“仲介役”に 別注商品の開発秘話

―ブランドは平岩さんの独断で選んでいるんですか?

 前回に関しては企画に参加したい社員が集まって、それぞれの社員の推したいブランドにお声がけしていました。ただ今回は性質が異なり、僕にすべて一任させてもらって、企画テーマに沿うブランドに参加していただきました。

―テーマには「next generation」を選んでいます。

 国内で勢いのある若手ブランドを集めたいという思いがありました。最近は若いブランドを中心に、独自のクリエイションをもつ面白いブランドが増えてきたと肌で感じていて。これからの日本のファッション業界を担っていく、いわゆる“ブレイク前夜”のデザイナーの方々をフォーカスするのは今回のタイミングしかないと思い、このコンセプトにしました。

―販売に向けていつ頃から準備を進めてきたのでしょうか?

 今年の2〜3月頃ですね。コロナの流行などが重なってファッションを楽しめない状況が続いていたので、こんな時代だからこそ、ブランドの皆さんにワクワクするようなクリエイションを提供していただくことで業界を盛り上げつつ、明るいニュースを届けたいと思っています。

Image by FASHIONSNAP
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―今回は6ブランドが参加しています。

 ゾゾタウンに出店いただいているセレクトショップを通じて商品が販売されたことがあるブランドが一部ありますが、ブランドとして公式に商品を出していただくのは全ブランド初めてになります。かなり個性があるブランドばかりで、ゾゾタウンが抱えている若年層のユーザーの心に響くラインナップにもなっていると思います。

―数ある若手ブランドの中でも、なぜこのラインナップになったのでしょうか?

 自分の主観だけで選んでしまうと、どうしてもブランドに偏りが出てしまうので、モード系のブランドからコッキのようにクラフト感の強いブランドまで、なるべく多くの方に楽しんでもらえるように幅広く選別することを意識しました。

―マスなイメージのゾゾタウンに対し、ブランド側は「敢えて出店しない」という選択肢もあったかと思います。どのように口説いたのでしょうか?

 すべてのブランドがこれまで取引がなかったので、まずアプローチにすごい時間がかかりました。ユーザー層やゾゾタウンの規模感を説明した上で、今回はファッションに特化した企画であること、そして販売の手法について賛同いただけたことでコラボの実現に至りました。本当はアタックしていたブランドがもう少しあったのですが、「企画が面白くない」という理由ではなくタイミングの問題でできなかったというお返事が多かったので、企画に対しては好意的な意見が多いように感じています。

12ブランドをラインナップした前回よりも規模は縮小しています。

 前回は社員の好きなブランドを集めていたので、ある種の“ワイワイ感”は演出できましたが、企画を通して伝えたいメッセージがあまり明確にはなかったように感じます。今回は1つのテーマを設けることで参加ブランドにご理解いただけたというのがメリットとしてありますし、ブランドラインナップにも一貫性が出たと思っています。

―エムエーエスユーはメンズブランドの中でも特に勢いがあり、業界でも注目度の高いブランドですよね。

 僕自身も、今回企画する上で絶対に外せないブランドと考えていました。最初にリストアップさせていただきましたし、お声がけのタイミングもかなり慎重に選びました。

リブランディング後の1stコレクションである2018年秋冬コレクションのダウンブルゾンを復刻していますが、提案は平岩さんから?

 実は最初、別の商品で進んでいたんですけど、諸事情があってそちらがストップになりまして。そのタイミングでブランド側から「ファーストコレクションで販売したダウンの復刻でどうか」と逆に提案をいただきました。ファンの方にとってはアツい話題になると思いますし、僕もこれは嬉しかったですね。

Image by FASHIONSNAP
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ファスナーのパーツなど一部デザインはアップデートされた Image by FASHIONSNAP
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Image by FASHIONSNAP
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―ブランド側も企画に積極的に参加されたんですね。他の5ブランドに関してどういった形で製品化が進んだのでしょうか?

 各ブランドにとって今回の企画が多くのお客様との初めての接点になる可能性が非常に高いと思ったので、ブランドの色が出るアイテムにしてほしいとリクエストしました。

 例えば、ケイスケヨシダではブランドの定番商品であるトレンチコートを入れてもらいつつ、スペシャルエディションとして学生服を作っている日本毛織の生地を使用してアレンジしました。ケイスケヨシダは「学生」という大きなブランドテーマがあるので、そこにフォーカスした形です。ローファーに関しても、学生時代に多くの人が履いたことがあるであろう靴のメーカー「ハルタ(HARUTA)」とコラボしたり。ケイスケヨシダはハルタとは直接のつながりがなかったので僕らがブランドのハブ役となって紹介することで今回のスペシャル商品が実現しました。

 クードスと吉田カバン(新レーベル)、シュガーヒルと「マックレガー(McGREGOR )」など、別のコラボ商品に関してもZOZOが仲介役として間に入っています。ブランド単体では実現できなかったコラボが今回の企画だからこそ実現するのもメリットの一つで、各ブランドのデザイナーさんにも喜んでもらえたので、ZOZOの存在意義を改めて感じることができましたね。

 コッキなど一部アイテムは数量限定にはなりますがうちで買い取り、在庫を抱えます。ゾゾタウンの規模が大きいからこそロットをクリアできて商品化が実現したものもありますし、作れる枚数も売れる枚数も多くできるのが今回の企画の良いところだと思っています。

―製造のフローでZOZOの生産拠点を提供するといった取り組みは?

 基本的にはブランド側が持つ独自のサプライチェーンを活用して生産していただいています。なので製造の部分までは深く入っていないですが、デザインに関しては必ずチェックさせていただき、リクエストも積極的に出しました。

25歳の目に映る今のファッション業界

―今回は平岩さんお一人に決定権がほぼ委ねられたとのことですが、プレッシャーは?

 プレッシャーはすごく感じています(笑)。けれど、ありがたいことに自分のファッションに対する熱量を会社から大事にしてもらっているなと実感できました。これを強みとして生かしつつ、責任をもって「ZOZOのファッションって面白いよね」「僕がやっている企画なら間違いないよね」と言われるようにはなりたいですね。

―年1回販売のペースで24HOURS SHOPを展開していますが、今後もその方針ですか?

 そうですね。まずは企画が続かないとやっていることがユーザーに伝わりづらいですし、ゾゾタウンを代表する看板企画にしたいという思いもあります。コラボしたいショップやブランドはたくさんありますし、今までメンズしかやっていなかったのでウィメンズの展開に向けても話を進めているところです。アートの企画もやりたいですね。

Image by FASHIONSNAP
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―今回の企画を通じて業界を盛り上げたいというお話がありましたが、平岩さんの視点で現在のファッション業界をどのように捉えていますか?

 昔は雑誌などの紙媒体でしか情報が得られなかったと思うんですけど、今はデジタルが発展して誰でも情報を得られるようになり、その分ファッションと触れ合える機会が増えたと思います。ただ、その発信されている情報はどちらかと言うと自分たちの若い世代からではなく、ノウハウを蓄積してきた経験のある方からの情報が多く、影響力も強いと個人的に感じるところがあります。経験という部分では絶対に敵いませんが、若い世代にしかわからないこともたくさんある。だからこそ、同年代のデザイナーが手掛けるブランドにもっと光を当てないと業界的に良くないのではないかと感じますね。ただそれは「若者のファッションは面白いだろう」と押し付けたいわけではなく、業界の先輩たちと向き合いながら独自の提案をしていくことで、新しいクリエイションや概念がどんどん生まれたらいいなと。個人的にはZOZOという“大きな器”を使ってこういった企画をどんどん増やしていって、微力ではありますがそういったところに貢献できればと思っています。

―ZOZOは近年ラグジュアリーやデザイナーズブランドの取り扱いにすごく力を入れていますよね。

 経営戦略の軸の一つに「MORE FASHION」を掲げていて、まさに今ファッションに力を入れているところです。ブランド側から「ZOZOと企画をやりたい」とお声がかかる状況になるのが一番いいですよね。そういったプラットフォーマーを目指していきたいです。

(聞き手:伊藤真帆)

yutori 片石貴展

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新流通大陸 ZOZOTOWN―週刊東洋経済eビジネス新書No.238
編集: 週刊東洋経済編集部
ブランド: TOYKN
メーカー: 東洋経済新報社
発売日: 2018/05/01
価格: ¥660(2021/11/25現在)

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