今年のお買い物を振り返る「2023年ベストバイ」。9人目はダンサー、アーティスト、振付師のRIEHATAさん。海外アーティストのバックダンサー、K-POPをはじめとしたアイドルの振り付け、自身の楽曲制作と多様なシーンで活躍。今年は日本と海外の2拠点生活をスタート。9月には日本国内最大のHIPHOPフェス「THE HOPE 2023」にアーティストとして出演し、約3万人の観客を前に圧巻のパフォーマンスを披露しました。秋には念願のダンススタジオ「SPACE LOV3」をオープンし話題に。「ファッションもダンスと一緒で空間芸術のひとつ」と話すRIEHATAさんに、2023年に買ってよかったモノ5点を聞きました。
目次
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古着 ウェスタンブーツ
FASHIONSNAP(以下、F):まずはこちらのブーツから。使用感がありますが、古着でしょうか?
RIEHATA:そうです。このウェスタンな形とオールド感に一目惚れして即決でした。
F:どちらで購入されたんですか?
RIEHATA:表参道の「フラミンゴ(flamingo)」です。タクシーで移動中にたまたまフラミンゴあるじゃんと思って立ち寄ったらこの子(ウェスタンブーツ)が目にとまって。こういう古着の靴ってサイズが合わなくて買わないこともよくあるんですが、これは履いたら“シンデレラフィット”。私のための靴じゃんと思って即決しました。お店に入ってから買うまで5分もかからなかったんじゃないかな。お店の人もびっくりしてました(笑)
F:5分は相当早いですね(笑)。
RIEHATA:でも普段から買い物は早い方だから、自分的には日常茶飯事かも(笑)。ありがたいことに今はたくさんのお仕事をいただいて、自分のプロジェクトもいろいろと抱えていて物理的に時間がないから、ビビッときたものを即決していかないと間に合わないんです。
F:ビビッとくる基準はあるんでしょうか。
RIEHATA:私の買い物って、ほぼ衣装というか仕事で着るものなんですよね。イケてるから日常でも着る、みたいな。だから特に服を買う時は、「あのステージでこんな服が必要だな」とか「こういう服を着て踊りたいな」とか、なんとなく欲しいもののイメージがあって頭の片隅に入れておくと、自然とぴったりなものが引き寄せられちゃうんですよね。
F:引き寄せられてしまう?
RIEHATA:このブーツを買った時もウエスタンとスポーツスタイルのMIXが可愛いなと思っていて、「私だったらこうやって履くな」ってスタイリングを想像しながらタクシーに乗っていたら古着屋さんが目に入って。寄ってみたらピッタリのものに出合えたっていう感じだったんですよね。
F:運命的でもありますが、欲しいものが明確だから、いざ見つけた時に即決できるんですね。
RIEHATA:そうですね。こういうスタイルがしたいからこれが欲しいって考えてるので、決断力と直感が鋭いです(笑)。
F:古着はよく購入するんですか?
RIEHATA:とても好きです。ある意味私のファッションのルーツなんです。元々服を買うのはヴィンテージショップとか古着屋がメインでしたし、LA時代はリサイクルショップとかフリーマーケットでディグって、そこから自分のスタイルを作り上げていくっていうのを10代20代の頃からずっとしていたので。今日のトップスもリメイクアイテムです。
F:ボトムスはどちらのですか?
RIEHATA:これは「ナイキ(NIKE)」のもので、「ジョーダン(JORDAN)」とトラヴィス・スコット(Travis Scott)のコラボアイテム。ハードに見えるレザーなんだけどレースアップでブーツカットの形のバランスが絶妙だし、ワンポイントでジョーダンのロゴが入っててスポーティなスタイリングにもいける。個性的でありながら、私の軸であるスポーティーなスタイルに女性らしさが足されていて、大活躍しそうなパンツだと思います。
F:今日のコーディネートはトップス、ボトムス、シューズとそれぞれ個性的なデザインですが、全体はまとまっていて素敵ですね。
RIEHATA:嬉しいです!靴は「イエロ(YELLO)」のもので、トップスのブロークンな感じとレザーのパンツで結構パンクな雰囲気になるので、そっちにいきすぎないようにデニムで少しヒップホップ感を出して、「RIEHATAスタイル」の完成です。アクセサリーはいつもはもっとつけたりするけど、やりすぎないように、今日はシンプルめにしました。チョーカーは本当は前後が逆なんだけど、首元すっきりさせたかったので反対につけました。
F:トータルのバランスを意識されているんですね。
RIEHATA:じゃないとせっかくかっこいいものでも、なんかダサく見えちゃったりするじゃないですか。もし何か一点を主役にするなら、他のアイテムを引き算することって必要。コーディネートではいつもバランスを考えてますね。17歳くらいの時にアパレル店員をしていたので、コーディネートを組むのも苦じゃないですし。一点ずつが尖ったアイテムで、たとえ自分ぽくないと感じるものでも、それをまとめ上げて“RIEHATAスタイル”にするのが面白いんです。
FLATLIST サングラス
F:続いてはサングラス。コペンハーゲン発の「フラットリスト」のものです。
RIEHATA:これはおしゃれな方から私に似合うとプレゼントしていただいたもので、「キス(Kith)」のセレクトみたいです。
F:サングラスはよくかけますか?
RIEHATA:体の一部ってくらいほぼ毎日かけてます。ファッションをコーディネートして、家出る時に何かしらサングラスをかけてRIEHATAの完成、みたいな(笑)。でも持っているデザインとしては極端で、これみたいに90's感のある細身のモデルか、逆にゴーグルみたいにゴツくて遊び心のあるモデルが多いです。
F:その中でもこれをベストバイに選んだ理由は?
RIEHATA:今年一番出番が多かったからです。私が持っているサングラスの中でもかなりシンプルで汎用性が高くて、結局これかけてる、みたいな(笑)。カラーレンズだから視界が暗くならなくて、夜もつけっぱなしでいける。2023年サングラス部門ベストバイにしたいですね。
F:キスといえば、RIEHATAさんはKithのFriends & Familyとして、「キス トリーツ(Kith TREATS)」でコラボアイスを出していますよね?
RIEHATA:元々キスはニューヨークのお店によく行っていて大好きなので、日本に店舗ができると聞いた時はとても嬉しかったです!コラボアイスのお話をいただいた時はびっくりしたけどとても嬉しかったですね。去年の私の誕生日から、通常メニューとして私が考えたレシピの「The Royal」を置いていただいています。
F:キスではこれまでどんなものを買いましたか?
RIEHATA:キスでの買い物ではちょっと変わっているかもしれないんですが、シンプルなものが欲しい時にキスに行くんです(笑)。私、クローゼットに派手なものが多いですから(笑)。
F:確かに、シンプルなものが欲しい時にキスに行くのは玄人ですね...。
RIEHATA:1点の個性が際立ったアイテムを買うことも多いんですが、全体のバランスを考えるとシンプルなものが欲しくなる。そういうときにキスに行くと、シンプルでありながらどこかディテールが凝っていたり、ストリートだけど洗練された雰囲気の、「これだ!」ってものを絶対に見つけられるんです。キスであえてシンプルなものをディグる楽しさをぜひ共有したいです(笑)。
RIEHATA × atmos pink スウェット
F:こちらは「アトモス ピンク(atmos pink)」とのコラボ第2弾で登場したスウェットですね。
RIEHATA:はい!リアルに大好きな、自信作のアイテムなんです!!
F:最近ではコラボやプロデュースも増えていますが、大切にしていることは?
RIEHATA:私が欲しいかどうかですね。それでいて、HATAFAM(RIEHATAさんのファン)の皆さんに欲しいと思ってもらえる、日常でも使えるものを考えます。コラボとかって私の名前を出してもらうものでもあるから、そこで自分がダサいと思うことは一切したくないんです。持っていて、幸せな気持ちになるものを作りたいです!
F:なるほど。このスウェットでこだわったポイントは?
RIEHATA:こういうセットアップでダンサーの必需品って感じでよくあるんですけど、クールで踊りに映える、さらに日常で着てもかっこよく決まるデザインを目指しました。ウォッシュっぽいカラーでラフな雰囲気にして、スタイルアップできるように絶妙なボリューム感も出しました。ウォッシュ加工の具合からリブの幅、太さにいたるまで調整しましたね。私がガチ使いしたかったから、これを着て子どもを抱っこしたり遊びまわった時に紐の金具が当たらないように、紐の先にパーツをつけなかったり、チャームのフォントと刺しゅうのフォントを変えたり、ジッパーの色のヴィンテージ感の程度も相談したりして。こだわりが強すぎて、実現してくださって本当に感謝です。
F:RIEHATAさんのこれまでのコラボアイテムやダンス動画、11月にオープンしたスタジオ「SPACE LOV3」などから、前々からフォントに強いこだわりがあると感じていたのですが...。
RIEHATA:気がついてくれて嬉しいです。単純にディテールオタクなんだと思います。スタジオのロゴは、最初はもうちょっとシャープでスペシフィックな感じだったんですが、このスタジオは老若男女に来て楽しんでもらいたいから、もっと読みやすくてインパクトがある今のデザインに辿り着きました。このスウェットで言うと、ジッパーのチャームはワンポイントでおしゃれな感じがいいけど、胸のロゴは強すぎると全体のバランスを崩してしまうから、刺しゅうと相性がいいフォントを探したんです。
F:ディテールへの意識は、ダンスや振り付けにも通じますよね。
RIEHATA:まさにそうで、私はダンスって空間設計だと思うんです。振り付けをする時は、フォーメーションの中でどこを際立たせるか、そのために他のポジションをどう動かすか、さらに一曲全体で考えた時に強弱をどこでつけるかとか、その空間をどう演出するかってことなので。ディテールを積み上げて何かひとつを作り上げるのが好きなんですよね。ファッションも、パーツを組み合わせてひとつのコーディネートにするっていう意味では、ダンスを考えるときとやってることは同じなのかなって。
Nocta × Nike スニーカー
F:お次はスニーカー。ドレイク(Drake)とナイキのコラボコレクション「ノクタ(NOCTA)」のスニーカーです。
RIEHATA:スニーカーはナイキのアンバサダーをさせていただいていることもあって、かなりの数を持っています。スニーカーだけで軽く一部屋埋まります(笑)。
F:すごいですね(笑)。こちらをベストバイに選んだ理由は?
RIEHATA:ゴツゴツしたソールの近未来感が私っぽい。一見派手に見えると思うんですが、モノトーンなので基本的になんでも似合うんです。ジャージでもいいし、さっきのスウェットのセットアップにも合うし、私的にはワンピースのはずしに使うスタイルも好きですね。
F:RIEHATAさんはダンサーということもあって、スニーカーのイメージが強いのですが。プライベートではどうですか?
RIEHATA:イメージ通りで、断然スニーカー派です。そのほかは身長を盛れる厚底のデザインが多いです。トータルのコーディネートで考えた時に、私は身長そこまで高くないので厚底でバランスをとったほうがしっくりくるんですよね。
F:ダンスパフォーマンスやメディアへの出演時も、ご自身でスタイリングするんですか?
RIEHATA:ほとんどそうですね。スタイリストさんにお願いすることもありますが、その場合もテーマや方向性、どんなファッションだったらステージが盛り上がるか一緒に考えます。Rht.(RIEHATAさんのダンスチーム)のメンバーの衣装も私が考えるので、それもあって普段からスタイリング視点で服を買うんです。
RIEHATAさんとRht.のメンバー。9月に開催された日本国内最大HIPHOP FES 「THE HOPE 2023」より
F:パフォーマンス時のスタイリングではどんなことを意識しているんでしょうか。
RIEHATA:これもディテールの積み重ね。曲のテーマや雰囲気にリンクするか、どんなステージにするかに合わせるのは大前提で、その上でこういう動きがあるから、映えるように生地がふわっと動くものがいいなとか、反対に動きをしっかり見せたいからボディラインが分かりやすい方がいいなとか。メンバーの衣装も考えるときは、それぞれの体格とかキャラクターの魅力を引き出せるようにするし、全体の配色も気にします。パフォーマンスの衣装で難しいのは、踊るのが前提なので動きやすくないといけないっていうのがあって。スタイリストさんに依頼する時はそこが難しかったりするから、私もアイデアを出しながら、最高のステージに必要なものを考えていきます。
F:Rht.の皆さんとのパフォーマンスは圧巻ですよね。「THE HOPE 2023」で着られていたグリーンのトップスとジャケットも素敵でした。
RIEHATA:ありがとうございます!あれはスタイリストさんが探してきてくださったんです。「マリーン・セル(MARINE SERRE)」のもので、インナーのバンドゥトップスとジャケットのバランス、色柄が最高ですよね。客席からは分からないと思うんですが、パイル生地なのもテンション上がるポイントでした!暑いですけどね(笑)。
NIKE スニーカー
F:最後もスニーカー。こちらは何ていうモデルでしょうか。
RIEHATA:「V2K ラン」っていうんですけど、ナイキにしてはダッド感とY2Kっぽいレトロな雰囲気が珍しくないですか?2000年代にあったボメロ5っていうランニングシューズがあったみたいで、これは現代風にリバイバルしたモデルだそうです。
F:お気に入りのポイントは?
RIEHATA:実はいつもはこういうつま先のボリュームがないものってあまり履かないんです。でもこのスニーカーはその分ソール側にボリュームとインパクトがあって絶妙なバランスになってる。メッシュ生地とプラスチックのパーツ、ヴィンテージ風のソールカラー、全部がハマっててビビッときたんですよね。
F:普段のスタイルではスニーカーが多いとのことですが、中でも好きなタイプはありますか?
RIEHATA:私の中でスニーカーのトップオブトップは「エア フォース 1」の白。これはもう何足持ってるか覚えてないレベルですね。靴に関しては白がダントツで多いです。私の場合、スニーカーで黒を履くと全体的な重心が下にいっちゃってバランスが悪くなるんですよね。ほかには、アースカラー系は多いかな。スエードのキャメルとか、ソールが茶色いガムソールのもの、カーキのデザインとか。でも主役!って感じの靴もありますよ。今年出たナイキと「アンブッシュ®︎(AMBUSH®︎)」のコラボモデルも可愛くてお気に入りです。こういうのを履くときは、服は思い切って引き算でシンプルなものにします。
今年を振り返って
F:今年は新曲のリリースやフェスの出演、スタジオのオープンなど多岐にわたって活躍されてきましたが、お買い物のほうはいかがでしたか?
RIEHATA:私の職業柄、パフォーマンスやrht.の子たちの衣装でもあるから、プライベートでの買い物っていう意味ではほとんどしていないのかもな、と。今年から海外と日本の2拠点生活になって、海外で生活するときはビーチサンダルにリラックスできる薄着なので、以前よりも減ったんじゃないかな。
F:お買い物をするのは主に日本ですか?
RIEHATA:9割そうですね。たまにLAや韓国とかでたまたま見つけて買うこともありますが、東京にいる間にバーっと買うことがほとんどです。でも、忙しくて全く買わない時もありますが(笑)。海外で拠点にしているところでは買い物はそんなにしなくて、リセットする時間というか。身軽に過ごしています。
F:かなり多忙だと思いますが、買い物に関してリサーチなどはするんでしょうか?
RIEHATA:見る時間もないくらいなので、あまりしないですね(笑)。偶然見かけて可愛いなって思うことはあるんですけど。でもピンタレストは昔から使っていて、アイデアソースとして活用してます。周りの人からは、ピンタレストを見るスピードが早すぎてエグいって言われるんですけど(笑)。
F:11月には念願のスタジオをオープンしました。
RIEHATA:ずっと、いつかはと思っていたのでひとつ大きな目標を達成できて興奮しっぱなしです。今年の初めに「セブンルール」に出させていただいて、そこで海外との2拠点と発表したら、ファンの方々から「リエさん海外行っちゃうの」ってお声をいただいて。当時スタジオの準備を水面下でしていたので、早く伝えたい気持ちを抑えながら、そうやって寂しがってくださってる皆さまに「日本でスタジオオープンしちゃうよ」って発表できたら、サプライズになるんじゃないかなってワクワクしてたんですよ。
F:サプライズがお好きなんですね(笑)。
RIEAHATA:大好きです(笑)。私って昔から、できないって言われたことを裏切って、サプライズを起こすのが好きだし、そうやって不可能を可能にしていきたいんです。子どもの頃は田舎から東京なんて行けないって言われたけど上京して奮闘して、東京では日本人は海外で活躍できないって言われたけど渡米してビッグスターの方々とお仕事をさせていただいた。「こうでしょ?」って人に決めつけられたくないんですよね。ファッションもそうで、「〇〇っぽいスタイル」にはめ込みたくないんです。
F:今後は、どんなサプライズを控えてるんでしょうか。
RIEHATA:言ったらサプライズじゃなくなっちゃう(笑)!いつ何が発表されるか分からないけど、楽しみにしていてください。でも、まずはこのスタジオに来れば何か新しい、楽しいことがあるって思っていただけるように、色々とコンテンツを考えています。グッズも今はオーソドックスなものが多いけど、これからもっと幅を広げたいし、カフェもあるから面白いことができると思う。ここができたことで、私がやってみたいことに挑戦しやすい環境でもあるんです。私自身が楽しみでしかないので、それを皆さんにもお届けできるように、全力で挑みます。挑戦するときは、誰もが不安になることがあると思いますが、ワクワクを増やしましょう!
■RIEHATA
1990年生まれ。中学卒業後、単身LAへ行き、ダンス修業を続ける。19~20歳の間は世界20ヶ国以上の都市でダンスレッスンを行う。BTS、TWICEなどのK-POPアイドルや クリス・ブラウン、King & Princeなど有名アーティストの数々の振り付けを手掛けるほか、現在はアーティストしてもAIやSALUなどとのコラボ楽曲をリリースし、活動の幅を広げる。長年指導してきたダンスパフォーマンスチーム「RIEHATATOKYO」は、2021年に発足した日本発のプロダンスリーグ D.LEAGUE に「avexROYALBRATS」として出場し、初代チャンピオンの座を勝ち取った。今年は2週連続楽曲リリースや、音楽フェス「THE HOPE 2023」や「D.U.N.K. Showcase in KOCERA DOME OSAKA」にも出演。
インスタグラム:@riehata
■2023年ベストバイ
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