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本当に良い古着屋を求めて、かっこいい服とファッションの話。祐天寺 Gabber編

【連載】本当に良い古着屋を求めて 第1回

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本当に良い古着屋を求めて、かっこいい服とファッションの話。祐天寺 Gabber編

【連載】本当に良い古着屋を求めて 第1回

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 自分らしいファッションに出会うため、自身のスタイルを貫き通す話題の古着屋オーナー、名物スタッフたちに学ぶ新連載「本当に良い古着屋を求めて」。ファッション迷子たちよ、希望は古着屋にあるかもしれない。

 第1回目となる今回伺ったのは、祐天寺駅から徒歩3分程度に位置する「ガバー(Gabber)」。ガラス張りのドアと外壁の奥に広がるのは、寄木細工のように木片で埋め尽くされた壁と大きな木。壁も含め、店舗の内装は全て、オーナーのコーギーさんと友人のフラワースタイリスト2人掛かりで半年かけたDIYだとか。こだわりが詰まったお店作りやアイテム、服装の随所に見えてくるオーナーの「何より人を大切にする」姿勢から、穏やかな雰囲気の中に芯のあるスタイルが生まれる訳を探る。

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店舗外観

手前のラウンジスペースの奥にもお店が広がっている 

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Gabberとは?

 高円寺の古着屋「メチャ」出身のコーギーさんが独立し立ち上げたGabber。お客さん同士がお酒を飲んだりタバコを吸ったり、コミュニケーションの場だった昔ながらの古着屋さんが好きだというコーギーさんは、最近見かけなくなってしまったそのスタイルを自身のお店で実現すべく内装作りをスタート。Gabberに集う人たちのコミュニティスペースのような空間を目指して、お店の入り口の「ラウンジ」スペースにはハイテーブルを置き、常連さんと一緒に缶ビールを開ける。毎日夜11時まで営業するGabberは、大人たちが飲み歩く静かな夜の街としての祐天寺カルチャーを大切に、飲んだ帰りに覗きたくなるような、そんな古き良き古着屋像を体現する。

 店内を奥に進むと目を引くのは、実際の木の枝を打ち重ねて作られた大きな“木”。シンボルのように店の中央に聳えるこの木の先に進むと、シルバーで統一された什器と木片や伸びた木の枝、そして時々宇宙人。「スペースエイジ」をコンセプトに集められたインテリアに、木のネイチャー感が掛け合わされ神秘的な雰囲気を醸し出す。「ただ形だけ店を出すだけなら誰にでもできる。でも店舗がある意味って別にそこじゃないと思ってるんで」。来店した人が、服を買わなくても何かを得られる、場としての価値を大切に店舗づくりを徹底する。

店舗内装
店舗内装
店舗内装

「木」の先に進むとたくさんのラックが

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木の枝で作られたオブジェ

大きな木はハンガーも掛けられる

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 店の名前であるガバーは、音楽のジャンル名で、高速なBPMと破壊的な雰囲気を特徴とするハードコアテクノの一種。オランダ語のスラングで「友人」「仲間」「繋がり」などを意味する。オランダの若者を中心に支持されて広がった音楽文化で、ガバーミュージックの流れる店に集う客のスタイルは、男性はスキンヘッド、女性は三つ編みかポニーテールが基本だ。スキンヘッドがトレードマークで人を大事にするコーギーさんがそのスタイルに共鳴し店名に採用した。現地のクラブイベントでは、服装のニュアンスがガバースタイルでないと「あなたは仲間(Gabber)ではないから入れない」と入場を断られることがあるほど、ファッションが重要なのだ。

服のラック

店内BGMをガバーにしようと試みるが、みんな頭を振り出して服に集中できず。今ではレゲエが流れている。

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いい店=人がいい店

 メチャ以前からも長年高円寺を拠点に古着に関わってきたオーナーが、初めて持つ自身の店を祐天寺に開いた理由は、「東横線沿線に知り合いが1人もいない」から。新しいコミュニティや人との出会いを求めてやってきた祐天寺では、近隣に住むファッションデザイナーや顧客など新たなつながりが生まれている。「いくら商品が良くても店やスタッフがかっこよくなかったり、暗い雰囲気を感じたらもう行かない。たとえ値段が高くても、人がいい店から買いたい」というコーギーさんのスタンスの通り、Gabberのスタッフさんは皆さんとても話しやすく、和気藹々と積極的に提案をしてくれる。

 Gabber名物の一つでもあるのがインスタグラム。古着屋=寡黙なイメージを吹き飛ばすほど、名物店員ヒロナガさんが出演した動画のテンションの高さは話題で、切り抜かれてTikTokでバズるほど。商品については一切語らない、シンプルな投稿スタイルもメチャ譲りなこだわりのひとつだ。長文で語る古着屋の投稿は「読まないですよ。どうでもいいんで」とのこと。

 オンラインショップやインスタのDMで販売する古着屋が増えている昨今、実店舗営業にこだわる理由も「人」。来店者の雰囲気を見て、ひとりひとりに合ったものを提案するスタイルを大切にしている。元々一般企業で会社員をしていたというコーギーさんが古着屋を始めたきっかけも「人」だった。仕事を辞めた時にたまたま通っていた古着屋に誘われ、とりあえずで働いてみたのがきっかけになり古着業界へ。その後も人を魅力的に感じた店を転々とし、現在全くやるつもりがなかったという古着屋のオーナーをやっているのも人の縁だと語る。スタッフ選びも人柄。Gabberとコーギーさんの大ファンだった元顧客の2人が、現在は中心となってお店を回している。

  居酒屋の手書きのお品書きを再現したという商品表も珍しい。服を見ながらこっそり値札を取り出す瞬間に後めたさを感じるのはショッピングあるあるだが、Gabberでは店もお客さんもお互いちょっと嫌な気持ちになるのでやめることにした。気に入ったものだけ、ハンガーの番号と壁に貼られた手書きの価格表を照らし合わせて確認する。この仕組みが、店も客もただ楽しく服を見ることに没頭できる空間を作り上げる重要な要素の一つになっている。

服がかけられたラック

壁に値段が書かれた表が貼られている。ラックは年輪をイメージして発注したオリジナル。

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ハンガー

ハンガーに貼られた通し番号。価格も手頃、価格勝負はしていない。「ボスが言った値段でって感じで」

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古着の魅力は「難しいこと」

 コーギーさんの語る古着の魅力は、セレクトの服と違ってバリエーションやサイズを選ぶことができない一期一会な点。「サイズが合わなかった自分が悪い!」というおおらかな考え方ができるのも古着特有。一期一会のアイテムに自分が合わせていくことの方が難しいからこそ「古着の方がファッションを考えられると思います」と語る。

 インタビュー当日もGabberで唯一プロパーで扱っているブランド「ランディ(RANDY)」のパンツを着用していたコーギーさん。常に全身が古着なわけではないが、服を選ぶ基準は「古着に合うか」そして「古着にはないものか」と古着中心。

 Gabberでは、まだ年代は浅いが雰囲気のある所謂「レギュラー古着」を主に取り扱っている。「店にヴィンテージがあるのは言わずもがなですが、大切なのはレギュラーのレベルです」古着屋は、レギュラー古着の質で測れると思っている、と語る。「所謂グッドレギュラーと言われる物をどれくらい、どんなものを置いているか。年代的に価値のあるものの値段が高いのは当たり前。なので、そういったレア度での価値がついていないやつを売っていきたい」。アイテム単体の値段の価値やプレミアには興味がない、だからこそインスタグラムの投稿は基本的にスタイリングで掲載。スタッフが顔出しで登場し雰囲気が見えるSNSで、着方や雰囲気を顔や髪型含めたファッションを提案している。

服を探す人物

コーギーさん

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オーナー&スタッフが組む“Gabberな”3ルック

 コーギーさん、ヒロナガさん、YUさんに、今お店にあるアイテムで、“Gabberらしい1ルック”を組んでいただきました。

会話する男性2人

左:YUさん スキンヘッドはコーギーさんリスペクト 右:ヒロナガさん 顧客時代、中途半端な坊主をコーギーさんに指摘され即日スキンヘッドに

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コーギーさんの“いつもの僕”ルック
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コーギーさん

これはもう僕です!基本的にジャージのパンツにタンクトップ。基本、テーラードのインナーはタンクトップなんです。こだわりです。

立っている人物

モデルはYUさん

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服を選ぶ人物

テーラードにジャージとタンクトップは長年のマイスタイル。定番のおすすめ。

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ヒロナガさんのデル・ピエロシャツルック
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ヒロナガさん

パンツはシャイニーな水色で、ちょっと70sテイストのフレア細身パンツ。テロっとした素材感が似ているデル・ピエロの転写シャツを合わせました。無地よりプリントが好きです。

立っている人物

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服を持つ手

締めのジャケットは、ワーク・ミリタリーテイストのテーラードカラージャケットで遊ぶ。

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ヒロナガさん

アイテムの年代はバラバラでも、着たらかっこいい。を提案させてもらいました。基本的には色をどこかに入れて遊ぶのを大切にしてます。

YUさんの「THE Gabber」ルック
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YUさん

ガバーの音楽やダンスの動画を見ると、ナイロン系のアウターに、タートルやシャツ合わせたり、白のテーパードパンツに革靴やスニーカーとか、ちょっと気の利いた着方してる人が多くて、そのイメージです。

立っている人物

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服を触る人物

ちょうど昨日動画を見たというタイムリーなスタイル。「日頃は着ない雰囲気ですが、これからもいろんなジャンルに挑戦していきたいです」

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初心者が古着を選ぶときのポイントを教えてください

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コーギーさん

その人を見ないと正直わからない。髪型とか体格とかその人を見ておすすめします。それか、どのスタッフのスタイルが好きか聞いて選びます。

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ヒロナガさん

人によるんですけど、サイジングだと思いますね。最初は、ビタビタサイズは攻めないで、ゆるい感じのサイズがおすすめです。でも、困ったら聞いてください。一緒に選ぼうぜ!

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YUさん

とにかく着てもらえると嬉しいんで、自分も「見たいな〜!」ってものをご提案します。ひたすら気になるもの着てもらって、何か気に入ってもらえたら嬉しいです。

Fスナスタッフが変身

 古着大好きなFスナスタッフSをヒロナガさんにスタイリングしてもらいました。

服を選ぶ店員と客

スタッフSが取材中ずっと気になっていたシルクシャツを中心にアイテム選び開始

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ヒロナガさん

シャツが綺麗な感じで結構大きいので、野暮ったい太めのストライプのバギーのショーツを。夏なので、ここでフルレングスだとちょっとやりすぎになるかも…

服を着た人物

シャツ、ショーツ:Gabber  ブーツ:S私物

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ヒロナガさん

ショーツとブーツを合わせると足のラインが面白くできました。シャツの袖をちょっと捲ると夏っぽい。他のシューズも合わせましたが、ご自身の着てるものを活かすのがバランスが良いかもですね。

レングス変えるだけでだいぶ印象変わりますね。控え目だけどちょうど良くて新鮮です。第一ボタン開けるのが好きなので、開けてネックレス見せてもいいかも。

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スタッフS

人の足元

パンツはアメリカ製のいわゆる「グッドレギュラー」と呼ばれるようなアイテム

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@fashionsnap 【本当に良い古着屋を求めて】「ガバー(Gabber)」@祐天寺 自分らしいファッションに出会うため、自身のスタイルを貫き通す話題の古着屋オーナー、名物スタッフたちに学ぶ新連載「本当に良い古着屋を求めて」✨ 第1回目となる今回伺ったのは、祐天寺駅から徒歩3分程度に位置する「ガバー(Gabber)」! Gabberでは、まだ年代は浅いが雰囲気のある所謂「レギュラー古着」を主に取り扱っています👕 個性あふれるお店とオーナー&スタッフが組んだ本気スタイリングをご紹介!👀 ■Gabber 所在地:東京都目黒区祐天寺1-23-25 営業時間:平日 16:00-23:00/日曜 15:00-21:00 #Gabber #ガバー #古着 #古着屋 #ヴィンテージ #祐天寺 #古着コーデ #fashion #ファッション #古着屋巡り #古着紹介 ♬ Originalton - nice sounds🤝🏼
店舗看板

陽が落ちてからの店の雰囲気がおすすめだとか。

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■Gabber
所在地:東京都目黒区祐天寺1-23-25
営業時間:平日 16:00-23:00/日曜 15:00-21:00
Instagram

【連載:本当に良い古着屋を求めて】
第2回:下北沢 「ムー」
第3回:学芸大学 「ISSUE」
第4回:渋谷 「DESPERATE LIVING」

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