Image by: FASHIONSNAP

Image by: FASHIONSNAP
第9話からつづく——
ADVERTISING
2026年に「ジュンコ シマダ(JUNKO SHIMADA)」は45周年、そして島田順子は七夕の日に85歳を迎えた。自身のコレクションのみならず学校の制服から航空会社のユニフォームまで、日常に光を当てるデザインを幅広く手掛け、2012年にはフランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章。キャリアを重ねた今もなお、「まだプロになれたとは思っていない」と語る。一期一会を大切にしながら、瑞々しい感性が輝き続ける島田順子。まっすぐな彼女の生き方を紐解く最終話。——「ジュンコ シマダ」のデザイナー島田順子が半生を振り返る、連載「ふくびと」第10話
本当のエレガンスとは
私にとってエレガンスとは、見せびらかすものではありません。その人の内側からにじみ出てくるものだと思っています。それをファッションで表現することって、難しいのよ。
今でも祖母のことが心に焼き付いているのは、そこに理由があるのかもしれないわね。祖母の凛とした姿、丁寧な手仕事の積み重ねの中に、本当の豊かさや美しさがあったのだと思います。

コレクションヴィジュアル 撮影:アンドレ・ロウ Courtesy of Junko Shimada
自分が好きなもの、心地よいと思う生活は、昔から変わらないですね。インテリアは直感で選ぶ。素朴な庭の花を飾る。着る物は、シンプルなトラッドスタイルを少し崩すのがいいわね。お酒は好きだけど、そんなに強くないからシャンパンを少しだけ。タバコは一度もやめていません。
好きな車はポルシェ。この車を初めて見たのは10歳くらいの時なの。館山からフェリーに乗って、母の実家があった横須賀へ向かう途中、乗り場に停まっていた緑色の外国車に目を奪われて。1950年代の流線型のフォルムは特に美しかったわね。母に「あれはポルシェという車よ」と教えてもらったその時から、ずっと憧れの存在でした。

現在乗っている愛車のポルシェ
Image by: Koji Hirano
ジェームス・ディーンの映画「理由なき反抗」に影響されて、免許を取ったのが16歳。いつかポルシェが似合う大人になりたいという夢を叶え、今は3台目に乗っています。たぶん、この車が最後かな。
みんなが幸せになるために
今年3月に2026年秋冬コレクションを発表した時、パリのブティックで90回目のお祝いをしました。制作したヴィジュアルには、大好きな孫がモデルとして出てくれたんです。「今日を生きる、今が大事」という意味を込めて、私の娘の名前は”今日子(キョウコ)”、そして孫の名前は”今(イマ)”というの。私よりもお化粧が上手だから、びっくりね。フォトグラファーは、長く一緒に仕事をしてきた仲良しのアンドレ・ロウ(Andre Rau)。モンマルトルの私の家で撮ったのよ。

孫の今とともにヴィジュアルに出演
ジュンコ シマダ 2026年秋冬コレクション
「人」と「つながり」にフォーカスし、家族や友人、長年のミューズ、そして新たな仲間たちとともに創り上げたコレクション。個性が響き合うエネルギーと、自由で陽気なスピリット、まとう人それぞれの存在そのものを、スタイルとして表現している。
テーマは「コントラスト」。紫やマスタードオレンジのウールツイードによるパッチワークは「スウィンギング・ロンドン」の空気を想起させ、アーティスティックでポップなノスタルジアを表現。ブラックのフェイクレザーによるオーストリッチ風のロングコートとワイドパンツは、グラフィカルで堂々とした存在感を放つ。アニスカラーのモヘアセットは冬の装いに明るさと軽やかなセクシーさを添え、さび色やアニスグリーン、パールグレーのツイストニットは、自由にスタイリングを楽しめるワードローブに。人と過ごす時間、感情の交差、日常のひとときを彩る。

Courtesy of Junko Shimada
ファッションを生業にしている人は、砂利道の小石くらいいくらでもいるし、きっとデザイナーになりたい人もいっぱいいるでしょう。その中で残っているというのは、つくづくラッキーだったと思います。なり行きというか、その時に一生懸命やっていれば、なるようになる。そしてやっぱり人との巡り合いで、色々なことがつながって生まれていって、それで今があるのよ。
ブランドは45年。ここまで続けてこられたのは、私一人の力ではありません。家族、チーム、お客さま、そして友人たちと、たくさんの人に支えられてきました。だから私は、みんなが幸せになるために働いている。この気持ちは、昔も今も変わりませんね。





コレクションヴィジュアル 撮影:アンドレ・ロウ Courtesy of Junko Shimada
85歳になった今も仕事をしているなんて、自分でもびっくりしちゃう。よくフランスと日本を行ったり来たりする時に一人でタクシーに乗るけど、ドライバーに驚かれるわ。こんなに長くやってきたのに、不思議ともうやめたいとは思わないの。たぶん、まだまだ知らないことのほうが多いからでしょう。

JUNKO SHIMADA 2026年秋冬コレクション
今でも「プロになれた」とは思っていません。人間としても、まだ勉強の途中。新しいことに挑戦したいし、例えば楽器を弾けるようにもなりたいわね。だから明日もまた、新しいことを学びたいと思うのよ。

島田順子、東京にて
最終更新日:
【連載ふくびと】デザイナー 島田順子 全10話
第1話—糸を紡ぐ祖母と趣味人の父
第2話—学校よりもフランス映画に夢中
第3話—単身パリへ、ショックの連続
第4話—大切な友人、賢ちゃんと一生さん
第5話—学びは宝 「キャシャレル」へ
第6話—どん底から「ジュンコ シマダ」デビュー
第7話—必死で守りたかったもの
第8話—フランスに2つの家 結婚
第9話—愛される服を作りたい
第10話—「ジュンコ シマダ」45周年 みんなが幸せになるために
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【ふくびと】の過去記事
RELATED ARTICLE


















