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【連載ふくびと】デザイナー島田順子 第9話——愛される服を作りたい

一井智香子編集小湊千恵美

Image by: Koji Hirano

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第8話からつづく——

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 自然体で飾らない、チャーミングな魅力。島田順子そのものが、女性たちの憧れの象徴となっていった。1991年、東京・代官山にオープンしたブティックでは、多くのスタッフが彼女のシグネチャーであるポンパドールヘアを真似ていたという。流行を追い求めるのではなく、自由に着こなせて、時を経ても色褪せないスタイル。まとう人それぞれの輝きを引き出す服が、ファンを増やしていった。——「ジュンコ シマダ」のデザイナー島田順子が半生を振り返る、連載「ふくびと」第9話

メンズのシャツ地をワンピースに

 正直に言うと、自分に才能があると思ったことはありません。娘を育て、生きていくためにデザイナーになって、がむしゃらに前に進むしかなかったから。

 そもそも、自分の名前をつけたブランドをやるなんて思ってもいなかったの。若い頃から憧れていたのは、むしろ「リーバイス(Levi’s®)」のような存在なんです。

1990年代前半、東京コレクション会場で Courtesy of Junko Shimada

 ジーンズは時代を超えて愛されているでしょう。たくさんの人が着て、たくさん作られて、ずっと価値を失われない。私にとって魅力的だったのは、そういう服でした。小さなブランドのデザイナーではなく、大きな会社で制服やワークウェアを作るような、企業デザイナーの方が興味があったんです。

 モードでも着飾るための服でもなく、ただ人に愛される服を作りたいと思っていたのよ。

1987年春夏コレクションのフィナーレ Courtesy of Junko Shimada

 昔から好きなのは、ワイシャツね。男女兼用で普段から着られて、丈夫で、ジーンズと同じように当たり前に生活の中にあるベーシックなアイテムでしょう。だからデビューコレクションでは、イタリア製のメンズシャツの生地を使いました。ストライプのシャツ地を、トレンチコートやワンピース、スーツに仕立てたんです。

 男性の服を女性がまとうと、不思議とセクシーに見えることがあるじゃない。セクシーというのは、ただ肌を露出することじゃないと思う。少し崩した気取らない着こなしが、その人の自然体の魅力と、チャーミングなセクシーさを引き出すんじゃないでしょうか。

過去は振り返らない

 「印象に残っているコレクションはありますか?」と聞かれても、答えられないのよ。思い出すのがあまり好きじゃないというか。毎シーズン「これが最高!」と思って作っているのだけど、アーカイヴを見返すと、後悔ばっかり出てきちゃう気がするんです。

ヒマワリやユリ、スズランなどの花があふれた1988年春夏コレクション Courtesy of Junko Shimada

 たくさんデザインをして、たくさんのコレクションを発表してきて、例えばヒマワリをあしらったドレスとか、何年も前のデザインを覚えてくれている方がたくさんいるの。それだけでありがたいですね。

若き日の女優ミラ・ジョボビッチが「JUNKO SHIMADA Part2」のカタログに登場したことも 撮影:Friedemann Hauss Courtesy of Junko Shimada

 普段から過去を振り返らない楽天家。だから、45年もブランドを続けられているのかもしれないわ。——第10話(最終話)へつづく

【毎日更新】最終話「ジュンコ シマダ45周年 みんなが幸せになるために」は、8月14日に公開します。

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