Image by: FASHIONSNAP

Image by: FASHIONSNAP
日中の屋外をはじめとした、過酷な状況下で働くワーカー達。危険と隣り合わせの環境で作業に従事するワーカーを支えるのが、ワークウェアメーカーだ。2025年6月に改正労働安全衛生規則が施行され、職場での熱中症についての管理責任がより厳格に問われるようになったが、近年の夏の暑さは「薄手の服」や「水分補給」だけでは防げないレベルになっている。ワーカーの安全を守るため、ワークウェアメーカーは今年、どういった最新アイテムを打ち出すのか。ワークマンとアイトスの大手2社に取材した。
ADVERTISING
ワークマンは東レと共同開発、マイナス10度の涼しさを実現
「日本の夏は災害の域に達している」と、ワークマン 土屋哲雄専務は猛暑対策製品発表会の壇上で言い切った。2025年8月に国内観測史上最高気温となる41.8度をマークしたのは、奇しくもワークマンの創業の地である群馬県伊勢崎市だった。土屋専務が入社した2012年頃のワークマンの売上比率は夏が35%、冬が65%だったが、現在は逆転して夏が65%、冬が35%となっており、「冬に防寒着で稼ぐ会社だったが、夏に稼ぐビジネスに完全にシフトした」(土屋専務)という。
「猛暑こそビジネスチャンス」(土屋専務)と意気込むワークマンが、2026年に主力商品として打ち出すのが「エックスシェルター(XShelter)」だ。エックスシェルターは、高い遮熱効果を発揮する新素材を用い、外部環境を無効化する“無感覚ウェア”として2024年秋冬に登場。防寒アウターは完売が相次ぐなど、大きくヒットした。
昨年販売したエックスシェルターの猛暑対策商品はワーカー向けのアウターが中心だったが、今年から一般客向けアイテムの販売も本格化する。その核となるのがTシャツだ。アウトドア・スポーツシーンでの着用を想定し、カラーバリエーションを豊富に揃えるほか、遮熱と気化冷却による暑熱軽減効果に加え、UPF50+のUVカットや、接触冷感、消臭などの機能を備え、半袖は1500円、長袖は1900円で販売する。

エックスシェルターTシャツ
2025年に発売した夏向けのエックスシェルターアイテムは10点にも満たなかったが、今年はビジネスシーンでの着用を想定したテーラードジャケット(3900円)とスラックス(2900円)のセットアップや、ウィメンズ向けのグッズ(980〜2300円)など50点以上を用意し、278万点63億円の販売を見込む。



さらに今年はエックスシェルターの最上位モデルとして、東レと共同開発した「暑熱Ω(オメガ)」を発売する。東レは2006年から「ユニクロ(UNIQLO)」と戦略的パートナーシップを組んでおり、夏ウェアを代表する存在となった「エアリズム」や高機能速乾の「ドライEX」など、カジュアルウェアに機能を付与することで多くのヒットアイテムを生み出してきたことでもお馴染みだ。
ワークマンと開発した暑熱オメガは、「気温45度にも対応できる最高レベルの暑熱軽減ウェア」と銘打ち、糸の中にセラミック粒子を高濃度で練り込んだ。同程度の厚さの生地と比較して約10度涼しいという高い遮熱性を備えたことに加え、遮熱性と相反する機能である通気性も高いレベルで実現したという。今年はブルゾンやパンツなどのワークウェア(3900〜4900円)のみだが、来年以降は一般客向けのアイテムも発売する予定だ。


1600億円市場攻略の鍵は“女性客”
ワークマンは、電流を流すことで冷却・発熱する電子部品であるペルチェ素子を組み込んだウェアの販売も強化する。2025年度は夏が本格化する前の6月に品薄状態となって最終的に完売したために、今年は約1.5倍の数量を用意。昨年はフラッグシップモデルとして5個のペルチェ素子を搭載したモデル(1万9800円)を発売したが、今年は7個のペルチェ素子を搭載した「スペシャルエディション」(2万9800円)を新発売する。バッテリーの発熱が気にならないようにポケット部分にエックスシェルター素材を用いるなど、各所に改良を施した。

さらに、カジュアルアイテムを品揃えの中心に据える「ワークマン カラーズ」店の拡大により増加した女性客を念頭に置き、これまで販売していた黒に加えて、カジュアルファッションとの相性を重視した白のベストも今年から投入する。

防暑ウェアの代名詞的存在となったファン付きウェアでも、ファッション性を重視した新製品を増やして女性客の需要増を目指す。ワークマンが取り扱いを始めた2016年のファン付きウェアの販売数は1万2000点だったが、その後人気が急拡大し、2025年には114万点を売り上げるまでに成長した。ワークマンは、2026年のファン付きウェアとペルチェベストの国内市場規模を、ワーカーが600億円、一般客が1000億円の合計1600億円程度と推定しており、その中で前者に向けて150億円(165万点)、後者に向けて53億円(57万点)の販売を目指している。


ファッション性を意識したファン付きウェア
アイトスは高コスパの保冷剤ベストで企業需要拡大を狙う
猛暑対策ワークウェア市場は、最新素材や電子技術を取り入れた取り入れたアイテムの独壇場という訳ではない。2025年度は221億円を売り上げた1917年創業の総合ワークウェアメーカー アイトスは、3つのポケットに保冷剤をセットする「アイスベスト」で猛暑商戦に挑む。ベストの素材には身体へのフィット感を高めるためにパワーネットを採用しており、動きが多い現場作業でも快適だという。保冷剤は気温40度の環境で5〜10度帯が約4時間持続する。

アイトス「865948 アイスベスト」
Image by: アイトス

保冷剤
Image by: アイトス
同社は、シンプルな仕組みである保冷剤ベストが支持される理由として、コストメリットを挙げる。保冷剤4点が付属するアイスベストは、実勢価格が3500円前後。ワークマンのペルチェベストのエントリーモデルが1万9800円であることに比べるとかなり安価で気軽に導入できることが多くの企業から支持されている。また、粉塵が多い作業現場など、ファン付きウェアの使用が難しい場所でも導入できることも、アイスベストの大きな強みだという。
アイトスは来年以降の展望として、ファン付きウェアと併用できるアイテムの拡大を挙げる。同社担当者は「気温35度の環境下でのファン付きウェアの使用は熱風を取り込み、逆に熱中症になる恐れがある」と指摘しており、アイスベストのように直接身体を冷却するアイテムとの組み合わせを推奨する。
最終更新日:
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【猛暑、どうする?】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング

ASICS×FASHIONSNAP Special Contents











