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メイドインジャパンは強みじゃない|コラム-ジャラン ジャラン アジア

Image by: 横堀良男

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メイドインジャパンは強みじゃない|コラム-ジャラン ジャラン アジア

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東南アジアの最新情報を綴るコラム「ジャラン ジャラン アジア」。1年間の3分の2以上を東南アジア諸国で過ごし、契約バイヤーのほか、ポップアップショップ、展示会出展、ファッションショーの代理店などを行う横堀良男氏が現地の情報をレポートします。

(文・横堀良男)

 引き続き、シンガポールにいます。シンガポールの空港は出国審査が無人の全自動ゲートだったり、空港はウロウロしているだけで楽しかったりと最高です。本当は空港の中の様子を写真で紹介したいのですが、入国審査や荷物検査などでは写真撮影が禁じられていました。ぜひご自身でシンガポールに来て、空港の快適さを体験してみてください。

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◇ ◇ ◇

 いよいよ日本も10月11日から、海外観光客が自由に渡航できるようになるそうです。コロナ禍の日本の入国時はとても大変で、2022年の春頃までは日本の入国には毎回2〜3時間かかっていました......。

 シンガポール及びほとんどの東南アジア諸国では、今年の春頃に入国時のPCR検査証明を撤廃しました。この時期からシンガポールに出張や旅行に来る人が急増したようです。その影響からシンガポールのホテルでの宿泊代が凄く高くなっています。円安の影響も相まってコロナ前と比較すると2倍かそれ以上のホテルがほとんど。年内にはこのホテルの高騰も落ち着きますように!と願っております。

昔やたらと通ってたインド系のホーカー。よくお会計を間違えちゃう店員さんがいました(笑)。

昔やたらと通ってたインド系のホーカー。よくお会計を間違えちゃう店員さんがいました(笑)。

 ただ、海外出張や旅行が再開したことは嬉しいニュースでもありました。私も3年ぶりに会えた人たちがいて、直接会ってコーヒーでも飲みながら話をすると雑談の中から新しいアイデアが飛び出します。やはり人と会うのって最高に楽しいですね。

 また、出張が再開するようになったことで、いろんな人から相談もいただくようになりました。

 ・「東南アジアの販路を開拓したい!」

 ・「インドネシアで自社ブランドを売るにはどうしたら良いの?」

 ・「どうやって向こうに法人設立するの?」

 個人的なあるあるなのですが、日本の会社の人たちは海外展開について視点がズレているなと感じることがあります。例えばメイドインジャパンについて。たしかにメイドインジャパンの質は高いです。しかし、メイドインジャパンならなんでも売れるわけではありません。

 例えば、私たちがTシャツを買うときに最初から「どの国で作られたか」を気にしてTシャツを手に取ることは少ないですよね?プリントのデザインが良かったり、素材感が良ったりとファーストインプレッションが大事で、どこで作られたかは、そのTシャツを手に取って悩んでいるときに「メイドインジャパンなんです」と店員さんに言われて背中を押してくれる1つの理由に過ぎません。メイドインジャパンの商品は基本的にクオリティが高いのですが、そこを売りにするのではなくてその会社独自のストロングポイントを売りにするべきです。それはデザインかもしれないし、営業さんの対応力や、ショップスタッフの接客レベルの高さかもしれません。国内と海外では、少しポジションが変わってきますから、自社の強みを改めて見直す必要があります。

 そんな海外での商売を考える上で、一度訪れていただきたい名店がシンガポールにあります。アパレル業界の人なら知ってる人は多いでしょう。「COLONY CLOTHING」という日本人オーナー河村浩三さんのお店です。メンズを中心にビジネスからカジュアルビジネス、大人のリゾートスタイルを提案するセレクトショップです。こちらのお店は2014年にシンガポールにオープンしました。シンプルに言えば、こちらのショップは商品のセレクトも格好良いし、このお店に惚れ込むお客さん像もイメージできるほどスタイルや好みをしっかりと感じます。いわゆるオリジナルブランドも展開しています。いや、オリジナルブランドの領域を超えて、一つのデザイナーズブランドと言っても過言ではないクオリティです。

 まさに洋服に詳しい人たちがやっている、ド直球のセレクトショップです。30〜40代のアパレル業界人は「うわあ、良い店だ!」となること間違いありません。シンガポールに行く機会があればぜひ訪れていただきたいです。

 個人的に思うCOLONY CLOTHINGのストロングポイントはこちらです。

・日本ブランドだけでなく、オーナーとバイヤーのフィルターを通して色々な国から商品を仕入れている。

・ブランドで分けて置くのではなく、スタイリングやコンセプトに沿って並べた商品レイアウトとディスプレイ。

・決して人通りが多い立地ではないのに吸い込まれてくるセンスの良いお客さんたち。

シンガポールはディスプレイが上手な店が少ないので(苦笑)、よりディスプレイの上手さを実感します。

シンガポールはディスプレイが上手な店が少ないので(苦笑)、よりディスプレイの上手さを実感します。

 よく海外進出や海外販路開拓の話をすると、メイドインジャパンの日本ブランドについてだけだと考える人がいます。いや、このお店を見てください取り扱っているブランドは日本ブランドだけではないですし、このお店の良さは誰が見てもシンプルで良いと感じる、まさに洋服屋らしい強みばかりです。

 お客さんの生活を見つめた品揃えと1つ先の提案、接客レベルの高さ、店員さんの洋服の詳しさ。商売なので、もっと細かくて明確なこだわりや戦略もあると思いますが、ちょっと訪れただけでも感じ取れることがたくさんあります。

 私が個人的に「良い会社だなあ」と昔から思っている日本の某セレクトショップがあります。「なんで海外展開しないんですか?」と聞いたら「いや、ウチはセレクトショップですよ?」と言われました。たしかに、自社ブランドがないと「海外展開できない」とつい思ってしまうかもしれません。うちなんか無理でしょ?と思う社長にこそ、海外視察に行って欲しいです。特に東南アジア諸国。きっとあなたの会社がずっと大事に育ててきた接客やディスプレイ、仕入れ、顧客を思う気持ちなど、素晴らしいところに改めて気付くチャンスが東南アジアには転がっています。

 昔、日本の各都市にはCOLONY CLOTHINGのような「誰が見ても良い店」があり、そのエリアのおしゃれな人たちが集まってくる現象があったと思います。セレクトや接客、ディスプレイなどに自信があるお店ってまだまだ日本にありますよね?

 もちろんなんでも売れるわけではありません。例えばシンガポールではブランド志向が高く、有名ブランドじゃないと売れないといった傾向もあります。そもそも自国でブランディングが確立できていない企業が売れることはほとんどありません。しかし日本で多くのファンを持つブランドや、長年営業してきたショップには、とても良いチャレンジの新天地になるかもしれません。他国の市場を見ることは、自社の強みを再認識したり、自社全体を海外から見たときの新しい視点を発見する良いきっかけになるはずです。アパレル業界の人は(もちろんそうでなくても)、ぜひ東南アジアへ視察にいらしてください。

最終更新日:

横堀良男

Yokobori Yoshio

東京都江東区出身。高校在学中からアパレル業界で働き始め、 その後、アッシュ・ペー・フランス株式会社に入社。27歳で若手ブランドの営業代行業、showroom SIDEを設立、代表に就任。 32歳で海外進出、現在は1年間の3分の2以上を東南アジア諸国で過ごし、契約バイヤーとして活動。 日本からアジア・アジアから日本のポップアップショップ、展示会出展、ファッションショーの代理店も行う。

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