
Image by: FASHIONSNAP
地方出身の著名人たちが、上京当時を振り返る連載企画「あの人の東京1年目」。7人目は、初主演を務めた「ベイビーわるきゅーれ」シリーズで一躍脚光を浴び、7月4日公開の映画「夏の砂の上」への出演や、2025年度後期のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」のヒロイン役としても注目を集める俳優 髙石あかりさん。物心ついた頃から「俳優になりたい」という夢を抱き、中学生の頃には地元・宮崎と東京を行き来する生活をスタート。「楽しくてやっていたので、努力したという感覚はあまりない」と話す彼女は、新しい環境での苦悩や葛藤をどのように乗り越え、夢を現実のものとしてきたのか?夢追い人たちへ贈る、明日へのヒント。
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目次
秘密基地を探した幼少期、夢はずっと「俳優」
私が生まれ育った宮崎という場所は、人と人との距離がすごく近かった。近所の人と会ったら必ず挨拶するし、「秘密基地を探す!」と言って、友達と探検に出かけたりするような活発な幼少期を過ごしていました。屋根の上に登って、家から持ってきた布団や毛布をそこに敷いてみんなで寝たりとかして、よく怒られてました(笑)。
兄が1人いるんですが、昔から友達みたいな関係性で。2人で旅行に行ったり、よく電話したりするくらいすごく仲が良いです。

幼少期の髙石
Image by: 髙石あかり
将来の夢は、本当に物心ついたときから「俳優」でした。保育園の頃にテレビドラマ「花より男子」を観て、井上真央さんに憧れて。それからずっと、俳優になりたいと思い続けていました。
上京して過ごした思い出の街、高井戸とみずほ台
元々小学生のときに地元のダンススクールに通っていたのですが、そこに貼られていたポスターを見て、2014年に自分の意思でエイベックス主催のオーディションを受けて賞をいただいたことが、芸能活動の始まりでした。
芸能活動のために宮崎と東京を行ったり来たりする生活をスタートしたのは、中学生の頃。東京では高井戸に住んでいたので、当時は井の頭線によく乗っていた記憶があります。


その後、高校生になって本格的に一人暮らしを始めたとき、最初に住んだ街は埼玉のみずほ台。当時の私はよく電車に忘れ物をしてしまって、その度に毎回駅員さんのところに行っていたので、「ああ、また君か」みたいな感じでした(笑)。

好きだからやっていただけで、「努力をした」という感覚はない
「好きだからやる」「楽しいからやる」みたいな気持ちが強かったので、俳優になるために「努力をした」という感覚は、自分の中ではあまりなくて。例えば、上京した当時はいろいろな台本をネットで探して、ひたすら読んだり演じたりしていました。もしかしたら、それは他の人からすると大変なことなのかもしれないですが、私にとってはものすごく楽しかったんです。
ひとつひとつの役にはそれぞれの感情があるので、いくらレッスンしても、必ずしもそれが現場でできるわけじゃない。レッスンで身につく“技術”ももちろん大切ですが、最終的に必要なのは、役とどう向き合うかという“心”だと思っています。それは経験でしか養えないものなので、「とにかく経験を積むしかない」と途中で諦めがついた部分もありますし、それによって得られたものもたくさんありました。

2019年から本格的な俳優活動をスタートした髙石。「夢を叶えるために『苦労した』という感覚はないです」と笑いながら話す姿からは、謙虚さとともに、自分の進む道への迷いのなさが感じられた。
同じように、「もっと深みのある芝居がしたい」、他の俳優さんの演技を見て「あんな表情をしたい」と思っても、年齢を重ねなければできないことも多くて。でも、私は望みを捨てないし諦めないタイプなので、昔から「どうにか土俵に立ちたい」「早く大人になりたい」と思いながら、ずっとやってきました。
これまで、お芝居をする中で壁にぶつかることは何度もありました。でも、監督さんから演技に対して「違う」と言われたときには、どうしても自分だけでは解決できない部分もあるので、何が「違う」のかを直接聞いて、少しでも“正解”に近づけるようにしています。
一方で、自分との間にある壁については「仕方ない」と考えるしかないと思っていて。自分では「納得できない」と思っても、監督さんが「良い」と判断したのであれば、それが一つの答え。それで実際に作品を見てみると、意外とすごく良かったりすることもあるんです。だから、OKが出たお芝居に対して自分が納得できていないのであれば、悔しいという感情は大切にしながらも、「次、頑張ろう」と気持ちを切り替えています。

だけど、基本的に私は壁にぶつかることが好きなんです。だって、「できた」と思ってしまったら、もう面白くないじゃないですか。お芝居はわからないことだらけで“正解”も全然ないからこそ、すごく楽しくて。だから、俳優やお芝居の仕事は自分にすごく合ってるんだろうなと思います。
昔と今で変化した、“服”との向き合い方
学生時代は、黒いジャケットやオーバーサイズのロングコートを着たりと、結構大人びたファッションが好きでした。当時は、自分の気持ちを上げてくれる「ファッション」というものにすごく助けられていた部分があったし、正直今よりもお洒落だったと思います(笑)。日本の雑誌よりも海外のファッション雑誌に載っているようなスタイルが好きで、そういう服を扱っているセレクトショップで買い物をすることも多かったです。
今は、衣装として素敵な服を着せていただく機会が増えましたが、着るとやっぱりぐっと気持ちが上がります。そして、作品では役に入るために“服の力”がすごく大事なんです。衣装を通して「この人はこういうタイプだったんだ」と役を知る助けになることも多いですし、私自身も服を着ることで雰囲気が切り替わりやすいタイプで。だからこそ、今は衣装を着たときにそれが“スイッチ”になるように、普段は自分が素でいられる服を選ぶようにしています。

日常的に気持ちが上がる服を着ると「自分の中に“別の人”が出てきてしまう」と話す髙石。

“自分”と“役”に集中するため、私服ではジーパンにTシャツといったシンプルなスタイルが多いという。
「他人にも自分にも“思いやり”を持っていたい」
上京してからこれまで、人との出会いにはすごく恵まれているなと感じています。今お仕事で日々関わっている皆さんも本当に良い方たちばかりですし、特に、家族以上に多くの時間を共にするマネージャーさんの存在は大きいです。今のマネージャーさんとは出会ってから5年以上が経ちますが、時には厳しく、時には優しく背中を押してくれる愛情深い方。俳優としても、一人の人間としても育てていただいたので、感謝しています。
私は結構誰とでも仲良くなれるタイプではあるのですが、「友人は無理して作らなくていい」と考えていて。「仲良くなる」というのは、必ずしもプライベートに踏み込む必要はなくて、リスペクトし合える関係性の中で「お仕事として仲良くなる」というのも素晴らしいことだと思うんです。私もプライベートの友人は少ない方ですが、自分にとっては今の状態がすごく心地よくて。だから、「友達を作らなきゃ」と無理している方がいるなら、「こういう人もいるよ」と伝えたいです。

よく「自分と似た人が集まる」と言ったりしますが、信頼できる良い友人や仲間に出会うためには、まずは自分自身が幸せにハッピーに生きることが大切なんじゃないかと思います。そうすれば、自然と良い人たちが近くに来てくれるような気がします。
そして、私は周りの目線を気にするのをやめたことで、「自分らしさ」を手にすることができたと感じていて。私にとっての自分らしさは「思いやり」。他人に対してはもちろん、自分に対しても思いやりを持っていたいと思っています。私も俳優のお仕事をしていく中で、正解がないことに悩んだり迷ったりすることもたくさんありますが、そんな自分のことも受け入れながら、日々少しずつ学び、進んでいるところです。

◾️あの人の東京1年目
第1話:歌手・タレント 研ナオコと原宿
第2話:お笑い芸人 ランジャタイと大井町(旧NSC)
第3話:「アンジュルム」佐々木莉佳子と赤羽橋
第4話:オカルトコレクター 田中俊行と清澄白河
第5話:お笑い芸人 エルフ荒川と神保町
第6話:俳優 佐藤二朗と登戸
第7話:俳優 髙石あかりと高井戸
第8話:エバース 佐々木隆史と上石神井
第9話:デザイナー 東佳苗と新宿(文化服装学院)
第10話:俳優 光石研と原宿・下北沢
ドレス 13万7500円/seya.、イヤリング 1万8700円/SAFON、ネックレス 1万6500円/YArKA、ブレスレット 1万8700円/four seven nine、リング 3万9600円/O-KI(ジュエリーは全てロードス)、その他スタイリスト私物
styling: Kenshi Kaneda, hair & makeup: Aya Sumimoto | photography: Hikaru Nagumo(FASHIONSNAP)
最終更新日:
■映画「夏の砂の上」
公開日:2025年7月4日(金)TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー
監督・脚本:玉田真也
原作:松田正隆(戯曲「夏の砂の上」)
出演:オダギリジョー、髙石あかり、松たか子、森山直太朗、高橋文哉、篠原ゆき子、満島ひかり、⻫藤陽一郎、浅井浩介、花瀬琴音、光石研
配給・宣伝:アスミック・エース
公式サイト/公式X/公式インスタグラム
<あらすじ>
雨が一滴も降らない、からからに乾いた夏の⻑崎。
幼い息子を亡くした喪失感から、幽霊のように坂の多い街を漂う小浦治(オダギリジョー)。
妻の恵子(松たか子)とは、別居中だ。この狭い町では、元同僚の陣野(森山直太朗)と恵子の関係に気づかないふりをするのも難しい。働いていた造船所が潰れてから、新しい職に就く気にもならずふらふらしている治の前に、妹・阿佐子(満島ひかり)が、17歳の娘・優子(髙石あかり)を連れて訪ねてくる。おいしい儲け話にのせられた阿佐子は、1人で博多の男の元へ行くためしばらく優子を預かってくれという。こうして突然、治と姪の優子との同居生活がはじまることに......。高校へ行かずアルバイトをはじめた優子は、そこで働く先輩の立山(高橋文哉)と親しくなる。懸命に父親代わりをつとめようとする治との二人の生活に馴染んできたある日、優子は、家を訪れた恵子が治と言い争いをする現場に鉢合わせてしまう......。
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