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ファッション業界人52人が推す!注目の国内次世代ブランドを総まとめ

佐久友基

貴重な1票を集めたブランドを全紹介

 すでに多くのファンを獲得している人気ブランドから、デビュー直後の知る人ぞ知るルーキーブランドまで、多彩な回答が集まった今回のアンケート。選者ごとの視点も光る29ブランドを一挙に紹介します。

0117hoda

Image by: 0117hoda

 「0117ホダ(0117hoda)」は、独学で服作りを学んだというChieco Hodaが2021年に設立。タフティングで作ったラグを服に仕立てるなど、自由なアイデアを模索するなかでスタイルを確立した。完全な「0から1」に執着せず、時に既製品を素材として用いながら、既存の服の型やイメージを解体することをテーマに制作している。

  • 川﨑吉朗(LITMUS オーナー)

A MACHINE

 「エーマシーン(A MACHINE)」は、多摩美術大学テキスタイル専攻出身のデザイナー 金井慶介が2017年に設立。コンセプトは「You are not a machine but like a machine(あなたは機械ではないが、機械のようだ)」で、自身の過去のコレクションを細かな要素に分解してデータ化し、それらを組み合わせることでデザインをシステム化するなど、ファッションを制作手法から再考するようなデザインがユニークだ。

  • 相澤陽介(stactis studio 代表取締役)
    デザインへの審美眼と、ファッションに込めたアイロニー。その共存が「衣服とは何か」を根本から掘り下げていて、その姿勢に共感すると同時に、大きな可能性を感じる。商業性に囚われがちな業界の中で、アートの文脈を衣服へ転写するのではなく、あくまでファッションの内側から表現。そのムードが純粋にかっこいい。

Aeuden Sala

Image by: Aeuden Sala

 「オーデン サラ(Aeuden Sala)」は、エスモードジャポン出身のデザイナー 村上旭飛が2026年秋冬シーズンに始動。「タカヒロミヤシタザソロイスト. (TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.)」でパタンナーとして経験を積んだのち、独立した。「not future, ideal」をコンセプトに、児童文学やプログレッシブロック、アートから着想を得た服を製作。デビューコレクションでは、黒を基調とした端正なテーラリングのなかに、パラシュートジャケットや詰襟など個性的なディテールを潜ませた。

  • 長畑宏明(『STUDY』編集長)
    今っぽいミニマルな雰囲気だが、服を手に取ると細かな機能やデザインが詰まっており、着ることで自分自身がグッと持ち上げられるような感覚を久しぶりに味わった。学ラン風のセットアップは国外進出の武器になるだろう。

ANTHEM A

 「アンセム エー(ANTHEM A)」は、2021年秋冬シーズンに始動。東京で縫製工場を営む両親のもとで育ち、複数の国内ブランドで企画・生産を経験した鈴木麻莉子と、販売・企画・OEMなど長年幅広い経験を積んだ吉田尚が手掛ける。アートや自然物、ヴィンテージなど多彩なリファレンスを自在にまとめ、ジェンダーの垣根を越えるコレクションは高く評価され、2025年には「TOKYO FASHION AWARD」を受賞した。

  • 高木聡ニ(POETRY バイヤー)
    情熱的で美しい柄と色使い、艶やかなファブリック、細かな縫製で、現代ファッション史のさまざまな要素をミックスするデザインは圧巻。本格的な卸開始から2年目だが、当店では毎シーズン100%の消化率を誇っている。

Antwort

Image by: Antwort

 「アントワート(Antwort)」は、2021年設立でデザイナー非公開。「UNIFORMS」をコンセプトに、集団の中に生まれる装いのスタイルに着想を得たデザインで、自らのチームにおける“理想のユニフォーム”を追求している。モノトーンを基調としたミニマルな表現のなか、サイズバランスやさりげないディテールがアクセントに。

  • 尾花未来(103 PR)
    無機質なカラーパレットの機能的なウェアは、決して味気ないものではない。ミニマルな中にも、袖を通した瞬間の高揚感やシルエットの説得力がある。 実際に着ることで伝わる、ものづくりの温度に惹かれた。

BIBLIOTHERK

Image by: BIBLIOTHERK

 「ビブリオテーク(BIBLIOTHERK)」は、デザイナーの畑龍之介が2022年秋冬シーズンに始動したファッションレーベル。畑は、文化学園大学ファッション社会学科卒業後、デザイナーの坂部三樹郎が学長を務めるファッションスクール「me」で学んだ。高校時代に親しんだドイツの伝統的な服や、ワーク・ミリタリーウェアの要素を取り入れた、ミニマルながら作り込まれたコレクションに定評がある。

  • 井上透(「International Gallery BEAMS」バイヤー)
    コンフォータブルという要素がありふれた現代に、その先にある色気やモード性までをデザインの妙で表現できている。デザイナーが影響を公言するヘルムート・ラングのように、装飾ではなく素材やプロポーション、余白によって存在感を生み出しており、同氏のデザインを現代的に解釈したようなバランスが魅力。

cobble du

Image by: cobble du

 「コブルドゥ(cobble du)」は、ジュエリーデザイナーとして活躍した森りこが2024年秋冬シーズンに始動。ジュエリーデザインを応用したディテールやテクスチャー、アートなどに着想を得たユニークなフォルム、メッセージ性の強いコレクションが人気を博している。パンキッシュな制作姿勢とは裏腹な、着やすさに配慮したデザインもバイヤーを中心に評判だ。

  • toyota(GR8 バイヤー)
    建築やアート、コンテンポラリーダンス、映画、日常の風景や感情といった多様な着想源の中に、共通する一つの親和性を感じさせる。ネガティブにも映るムードリファレンスを、新しいかっこよさとして提示するパンクな姿勢が魅力。

concause

 「コンコース(concause)」は、福井県越前市の縫製工場「STAND.」が2024年秋冬シーズンに始動。「時間とともに育っていく服」を掲げ、経年変化を楽しめるデザインを追求している。ファクトリーブランドらしからぬ、洗練されたヴィジュアルも話題に。

  • 佐藤司乃(BEAUTY&YOUTH ウィメンズバイヤー)
    縫製工場ならではの本格的な加工技術や素材開発が魅力。国産ならではの高い品質と、いい意味で日本ブランド感のないモードなルックの掛け合わせもいい。

daisuke tanabe

 「ダイスケ タナベ(daisuke tanabe)」は、デザイナーの田邉大祐が2023年に設立。田邉は、京都大学在学中にパターン養成学校で服作りの基礎を学び、卒業後は西陣織の老舗企業 細尾で経験を積んだ。上質でオリジナリティのある素材開発、京染めなどの伝統的な技法の活用など、手の込んだ服作りが特徴。

  • 岸田昂大(阪急メンズ大阪 ガラージュ D.エディット バイヤー)
    唯一無二のバックボーンを持ち、会話を重ねるごとに惹かれるものがあるデザイナー。理知的な思考と職人技術から生み出される唯一無二のテキスタイルや、武骨ながら繊細さも併せ持つアイテムは、理屈抜きに「カッコいい」と思わせる凄みがある。

EITARO

Image by: EITARO

 「エイタロー(EITARO)」は、デザイナーの上村英太郎が2023年に設立。「第97回 装苑賞」と「NEW ENERGY 特別賞」をW受賞するなど、デビュー前から高い評価を集めてきた。感情の根底にある無意識を形にする「叙情服」を掲げ、テーラードジャケットやシャツなどのクラシックなアイテムを軸に、フェミニンでセンシュアルなスタイルを打ち出している。

  • 大澤武徳(MIDWEST 代表取締役社長)
    荒削りな部分はあるが、モード感のある強いデザインには今後ファンが付いてくると思う。2026年春夏コレクションから継続して東京でショーを行っており、ブランドが目指す方向性や世界観が明確に感じられる。

ENCOMING

 「インカミング(ENCOMING)」は2021年春夏シーズンにデビュー。デザイナーの加藤大気は、ロンドンのキングストン大学でファッションデザインを学び、「ニコラス・ デイリー(NICHOLAS DALEY)」で2年間シニアデザイナーを務めた経歴をもつ。ワークやミリタリーといった男性服の基本型を土台に、素材使いやカッティング、ディテールの変化で生まれる「少しの違和感」を追求している。

  • 佐藤司乃(H BEAUTY&YOUTH バイヤー)
    本場で学んだ英国のムードが、程よい今っぽさと併せてカジュアルなウェアに落とし込まれている。当店のお客様からの支持率も高く、今後も注目したい。

EUCHRONIA

Image by: EUCHRONIA

 「ユークロニア(EUCHRONIA)」は、ともに文化服装学院を卒業した佐藤百華と宮崎風により2023年に始動。「記憶のレースをあしらった Ceremonial wear(祝福着)」をコンセプトに、レースが持つロマンティックで温かみのあるムードを、ハンドメイドと手に取りやすいマシンメイドの両軸で表現している。佐藤は、2024年に欧州最大級のファッションコンテスト「イッツ(ITS)」で大賞を受賞した。

  • Reina Ogawa Clarke(スタイリスト)
    今のファッション業界の生産システムを考えると、彼女たちが生み出すスローメイドなレースを主軸としたコレクションはとても稀有な存在。伝えたい世界観が明確である点も素晴らしい。

FORTHEM

Image by: FORTHEM

 「フォーゼム(FORTHEM)」は、ヨウジヤマモトで9年間勤務し、メンズウェア企画に携わった大野陽史が2026年秋冬シーズンに始動。ワークやミリタリーといった機能的なメンズウェアを、現代的な日常着へと再構築する。女性も着用できるようなサイズバランスに設計するなど、ユニセックスのコレクションとして提案している。

  • 川本純也(ESTNATION メンズバイヤー)
    「Beauty in Utility(用の美)」というコンセプトが明確。単なるヴィンテージの再現ではなく、そのパターンや経年変化をデザインの要素としてフラットに捉え、メンズウェアの機能美を現代的に再構築している。長年大切に着続けてきた一着のような安心感と、未体験の新鮮さが同居する不思議な服。

Horses

Image by: Horses

 「ホーシズ(Horses)」は、2026年秋冬コレクションでデビューした新ブランドで、デザイナーは非公開。年に2回、一つの素材に焦点を絞ったコレクションを発表するコンセプチュアルな取り組みが、耳の早いファッションフリークから既に注目を集めている。デビューシーズンはニットにフォーカスし、カシミヤ100%やシルクウール、カシミヤウールなどさまざまなバリエーションが登場した。

  • 溝口翼(fernweh オーナー兼バイヤー)
    コレクションごとに素材を絞り、数シーズンをかけてワードローブを完成させるというコンセプトが斬新で、次のアクションに期待してしまう。毎日着られるデイリーウェアには食傷気味だが、ホーシズのそれはちょっとしたアクセントが光り、「これが着たい!」と思わせる求心力がある。

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FASHION注目コレクション

LIBRIO MENDONÇA

 「リブリオ メンドンサ(LIBRIO MENDONÇA)」は、元「テンダーパーソン(TENDER PERSON)」デザイナーのメンドンサ ビアンカ サユリが2024年に設立。デザイナーが持つブラジルのルーツを思い起こさせる、ポップで遊び心のあるカラーや柄使いが目を引く一方で、国内生産を一貫するなど品質へのこだわりも見せる。

  • 片野亜耶(阪急うめだ本店 D-LAB バイヤー)
    デザイナーのルーツであるブラジルの要素を取り入れた、キャッチーでポップなデザインが売りだが、丁寧な作りで品質も申し分ない。雑貨類の提案も含め、ファッションを楽しむエネルギーに溢れている点が魅力だ。

Nomàt

 「ノマット(Nomàt)」は、「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」で経験を積んだディレクターが2020年に設立。日本を中心に縫製や編み立て、紡績の工場を保有しており、生産工程の約80%を自社で完結するもの作りが特徴。遊牧民から原毛を直接仕入れるカシミヤやヤクなど、高品質な天然素材にこだわったコレクションが高い評価を集める。

  • 塚本知絵(ビームス MAAI ディレクター)
    静けさや余白を持つ服のたたずまい、美しいルック、生地や縫製などの細部に込められた想いに惹かれる。服作りへの圧倒的な熱量と、仕立ての良さを兼ね備えている。

pan

Image by: pan

 「パン(pan)」は、デザイナーの尾崎美佳により2022年秋冬シーズンに始動。尾崎は、大手アパレル企業で販売からプレス、バイヤー、新ブランド立ち上げまで幅広い経験を積み、服作りは独学で身につけた。「OLD NEW. FUN. FOR YOU.」をコンセプトに、少女のような遊び心と大人の優雅さが共存するワードローブを追求。職人仕事を随所に取り入れ、普遍的なアイテムを女性的かつフェティッシュに解釈する。

  • 小嶋智子(スタイリスト)
    実力、人間性ともに尊敬している。

PMNT

Image by: PMNT

 「ピーエムエヌティ(PMNT)」は、国内外の雑誌やアーティストの衣装デザイン、スタイリングを手掛けるディレクターを中心としたチームにより、2026年秋冬シーズンに始動。「タナカ ダイスケ(tanakadaisuke)」の運営会社 PATCHWORKS Inc.からデビューした。世界中で集めたヴィンテージの服や残布、副資材を用いて、現代の手仕事を掛け合わせたアイテムを製作する。

  • 軍地彩弓(gumi-gumi ファッションクリエイティブディレクター)
    蚤の市や産地に眠る残布を掘り出し、機能的に再構築し、刺繍やステッチなどの手仕事を加える。難解なコンセプトやデザインの複雑さでごまかさず、長く愛せる服をただ作る姿勢に感銘を受けた。サステナブルという文脈を抜きにしても、時代の記憶が残るマニアックな生地は純粋に面白い。「新しさ」以前に、「人間らしさ」を感じられる服。

PROLETA RE ART

Image by: PROLETA RE ART

 「プロレタ リ アート(PROLETA RE ART)」は、デザイナーのPROTが2021年に始動したヴィンテージオートクチュールブランド。徹底した手仕事による独自性の高いヴィンテージ加工で知られ、古着をカスタムした作品を主に制作する。エイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)やリアーナ(Rihanna)といったセレブリティに愛され、「ソウシオオツキ(SOSHIOTSUKI)」とコラボレーションするなど、国内外で注目を集めている。

  • 小石祐介(KLEINSTEIN 代表)
    AIを使って実力不相応な仕事ができてしまう時代に、モノづくりに近道無し、人生は骨が折れるものだと感じさせてくれる。そんな偏執的な作り込みとアイデアに目を奪われる。そのうえで、素直に欲しいと思える点が素晴らしい。

reink

Image by: reink

 「リインク(reink)」は、2024年秋冬シーズンにデビューしたウィメンズブランド。デザイナーのRei Kobayashiは杉野服飾大学卒業後に渡英し、セントラル・セント・マーチンズでファッションテキスタイルを学んだ。コレクションの核は学生時代から傾倒するニットで、手編みやホールガーメント機を駆使して繊細な柄や陰影を表現している。

  • 久保雅裕(ファッションジャーナリスト、東京ファッションデザイナー協議会 代表理事・議長)
    手編みが素晴らしいが、ローゲージの糸をハンドステッチでアクセントに使った機械編みのニットもユニーク。布帛では、シャツの前立てやパンツのサイドブレードを、同素材のテープで折り返して叩くなど、不思議なディテールが他に無い味を出している。

RYO HOSHIDA

Image by: RYO HOSHIDA

 上田安子服飾専門学校出身のパタンナー 星田龍太が2024年秋冬シーズンに始動。服を通して自分と向き合い、自分自身の型を生み出す「Fighting Couture」をテーマに掲げる。波打つような彫刻的なパターンのパンツや、エッジが食い破られたように欠けたジャケットなど、アバンギャルドなフォルムが特徴だ。

  • TEPPEI(ファッションディレクター、スタイリスト)
    「今の時代らしさとは何か」をファッションデザインで体現してくれる。独特な世界観とその主人公という設定、そこに紐づくディテール、テキスタイル、パターンが秀逸。久しぶりに「リースしたい!」という衝動に駆られた、自分的とっておき。

SALLE303

Image by: SALLE303

 「サレ303(SALLE303)」は、大阪モード学園高度専門士コース卒業のデザイナー 貝間亮太が2025年に設立。貝間は、個人で衣装制作を行いながら、複数のドメスティックブランドで経験を積んだのち、独立した。「気丈な反骨とエレガンス」をコンセプトに、レディース特有のディテールや服の型を、テーラードを軸としたメンズウェアに落とし込む。

  • 山中健(エディター、ビジネスコンサルタント)
    普遍的なドレスの概念を更新しながら、社会的・文化的な思想へのアンチテーゼを提示する強固なアイデンティティ。テーラード技術と、フリンジや独特の生地使いがもたらす重厚な美しさが魅力だ。素材や加工に精通しており、華やかさがある。リアルクローズが支配的な東京のメンズシーンでは貴重な存在。

SOL soonerorlater

Image by: SOL soonerorlater

 「ソル スーナーオアレイター(SOL soonerorlater)」は、東京を拠点にDJ・スタイリストとして活動するSOTAが2022年にスタート。アウトドアやスポーツ、ミリタリーといった要素を横断しながら、それらを直感的にまとめ上げるストリート由来のスタイルが特徴だ。太陽をモチーフにした「GuruGuru」は、ブランド初期からのアイコン。

  • 伊藤信子(スタイリスト)
    シンプルなアイテムだけど、どこか懐かしいムードに惹かれる。インスタなどで打ち出すヴィジュアルの世界観が、しっかりと作り込まれているのも良い。

Synanthrope

Image by: Synanthrope

 「シナントロープ(Synanthrope)」は、デザイナーの山口彩音が大阪文化服装学院卒業後の2026年にスタート。服作りをきっかけに引きこもりを解消した経験から、着る人と社会の小さな接点となるようなブランドを目指している。生地の繊維を一本ずつ針ですくって抜く、人力で0.4mm角の格子状にステッチを施すなど、「誰にでもできる」手作業の執拗な反復から生まれる「誰にも作れない」テキスタイルに注目。

  • 関口究(『QUOTATION』エディター)
    他者に対する現代人らしい寄り添い方、ファッションの「人を肯定する力」を感じる。水溶性シートの間にデニム糸を挟んで縦横0.2mm幅で叩き、水を溶かしてデニム糸に独特な風合いを残した素材など、テキスタイルがユニーク。現在は留学準備中のようだが、私塾の受講など既存のコミュニティーに甘えず、実験的にでもブランドの製品を身近な人たちへ届ける行動も現代的だ。

TAISEI ICHIYOSHI

Image by: TAISEI ICHIYOSHI

 「タイセイ イチヨシ(TAISEI ICHIYOSHI)」は、マロニエファッションデザイン専門学校と「ここのがっこう」で学んだ市吉泰晴が2024年に設立。学生時代には「ボロ(襤褸)」をクチュールの仕立てやフォルムに落とし込んだ作品で注目を集めた。現在は故郷の淡路島を拠点に、オートクチュール方式でブランドを運営。「原始性と洗練の共存」を掲げて故郷の文化保全を追求しつつ、染めムラや歪みを取り入れた退廃的な世界観がユニークだ。

  • 栗野宏文(ユナイテッドアローズ 上級顧問)
    近年、特にパリにおけるプロモーション・マーケティングの偏重に疑問を抱いており、次世代には従来とは異なるブランド戦略を勧めている。その観点で、注文服としてブランドを運営する市吉さんの姿勢には正当性を感じる。淡路島に拠点とすることへの疑問や不安もあったようだが、脱中央の意義は必ずある。

TELMA

Image by: TELMA

 「テルマ(TELMA)」は、アントワープ王立芸術アカデミー出身の中島輝道が2022年春夏シーズンにスタート。同校の卒業コレクションでは2つの賞を同時受賞し注目を集め、「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」と「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」で経験を積んだ。欧州で学んだ立体的な造形と日本的な和装文化を融合したパターン、全国の産地と共創するオリジナルファブリックが人気を集めている。

  • 後藤洋平(朝日新聞 編集委員)
    日本の産地と共同開発した素材力と、ドリス・ヴァン・ノッテンやイッセイ ミヤケで培った国際的な感性が強み。今年ユナイテッドアローズの傘下となったことで、資金力や販路、海外展開の支援を得て、デザイナーが創作に専念できる環境が整った。今後は海外市場での定着とブランドの国際化が期待される。

TSTS

 「ティーエスティーエス(TSTS)」は、デザイナー佐々木拓也とパタンナーの井指友里惠が2023秋冬シーズンにスタート。ギンガムチェックやボーダーを組み合わせたポップな色使いがシグネチャーで、チャット画面のグラフィックを取り入れたコレクションなどシニカルでユーモアのあるデザインが持ち味だ。SNSでファンと積極的にコミュニケーションを取るなど、次世代らしいコミュニティ形成にも注目。

  • 芳之内史也(『FASHIONSNAP』ディレクター)
    服のデザインだけでなく、ヴィジュアルをはじめとしたデジタル上での取り組みが独創的。デビュー数年でギンガムチェックというブランドアイコンを確立できている点も大きい。

UNDERTHEDESK

Image by: UNDERTHEDESK

 デザイナー水谷和章が手掛ける「アンダーザデスク(UNDERTHEDESK)」は、2025年に本格始動。水谷は、服飾専門学校を転々としながら、「ここのがっこう」と「me」でデザインを学んだ。コンセプトは「協調性と自意識の間で揺れる精神の、新たな落としどころを作る」。ドレスシャツに取り付けたプラスチックのDカンなど、ベーシックなメンズウェアの型とプロポーションに潜む、違和感のあるディテールが目を引く。

  • 西脇篤史(VISITFOR オーナー)
    仕事を掛け持ちしながら、周囲の環境をよく読み服作りをしている。3シーズンほど見ているが、素材の質、デザインがどんどん良くなっていると思う。

Vesture

Image by: Vesture

 「べスチュアー(Vesture)」は、文化服装学院出身のデザイナー 馬場日和子が、国内のデザイナーズブランドなど数社で経験を積んだのち、2023年に始動。「何か新しいものに出会った時にしか得ることができないような強い感情を探求する」ことをコンセプトに掲げる。大胆なオープンバックやスリットといったセンシュアルな要素と、リボンやハートマークなどのガーリーなモチーフをミックスしたスタイルを打ち出す。

  • 金山木子(Esmeralda Serviced Department ディレクター)
    1990年代の「ミュウミュウ(MIU MIU)」や「ヘルムート・ラング(HELMUT LANG)」を彷彿とさせる、構築的ながらガーリーさも共存したデザインに注目している。

最終更新日:

文・佐久友基

FASHIONSNAP 編集記者

神奈川県出身。慶應義塾大学法学部を卒業後、製薬会社に入社し着道楽を謳歌するも、次第に"買うだけ"では満足できなくなりビスポークテーラー「SHEETS」に弟子入り。4年間の修行の末「縫うより書く方が向いている」という話になり、レコオーランドに入社。シズニでワンドアなK-POPファン。伊勢丹新宿店で好きなお菓子はイーズのアマゾンカカオシュー。

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