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ノーズショップが新会社コーグで「日本にローカライズした香水」を作るワケ

BEAUTYインタビュー・対談

 ニッチフレグランス専門のセレクトショップ「ノーズショップ(NOSE SHOP)」を手掛けて4年半。ノーズショップ社が新会社として、オリジナルブランド「コーグ(KO-GU)」展開する、KO-GUを立ち上げた。唯一無二の世界観を持つニッチフレグランスと向き合ってきた同社が新たに取り組むのは、日本人の繊細な嗅覚に寄り添う「ローカルな香り」づくりだ。“香水砂漠”と呼ばれる日本の香水市場で、拡大は難しいと言われたニッチフレグランスを広めてきた中森友喜社長は、なぜ今オリジナルフレグランスを別会社で立ち上げたのか。ニッチとは真逆の「分かりやすい香り」を展開する理由とは。

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■中森友喜(ノーズショップ代表取締役社長/コーグ代表取締役社長)
新卒で国税局に入局。その後ゼイヴェル(現:ブランディング)に転職し、ギルドコーポレーションの社長を経験。2011年7月にビオトープインク(2021年に社名を現在のノーズショップに変更)を設立し、インポーター事業を始める。2017年に「NOSE SHOP」1号店をニュウマン新宿にオープン。2022年3月までで国内に6店舗を運営する。

ー今回、なぜオリジナルフレグランスを作ろうと思ったんですか?

 実はオリジナルのフレグランスは以前からやりたいと考えていたもので、ノーズショップを運営しながら、ずっと並行して構想していました。僕らは香水の中でもクセのあるニッチフレグランスを「香水ガチャ」や「みんなの鼻プロジェクト」のようなキャッチーな仕掛けで裾野を広げてきたと思います。事業を起こした当初は、日本人は香水が嫌いだとか、香水は売れないと言われてきましたが、実際にノーズショップを続けていくうちに、日本人は香りに対して繊細な感覚を持っていて、香りを楽しむポテンシャルを秘めているということ分かりました。そのポテンシャルを引き出しながら、僕らが目指している「香りの民主化」「嗅覚の理解力の向上」を実現したい。

 ただ現状、取り扱っているアイテムはニッチフレグランスでコアなターゲットへのアプローチになり、どうしても“民主化”に向かうには、ノーズショップとは別の視点からのアプローチが必要だと思うようになったんです。そこで新会社を立ち上げて展開することにしました。

ーコロナ禍で足元を固める企業が多い中、新業態に取り掛かるのは困難ではなかったですか?

 香水や香り物について言えば、コロナは追い風になりました。ありがたいことにノーズショップは、コロナ前の2019年対比で売上が約1.5倍にまで成長できたほどです。ルームフレグランスなどをはじめ、香りに対して人々の関心が寄せられた数年間で、新業態を立ち上げるにはまたとない機会だったと思います。

ーコーグで行うノーズショップとは異なるアプローチとは?

 日本人の嗅覚に寄り添う香りが必要で、それを体験してもらうことで香水に対する壁を取り払えるのではないかと。海外の香水はどちらかというと現地の人たちの感覚に近く、はっきりと纏う香りの作り方をしているので、キツいとか、濃いと感じる日本人がいることも頷けます。香水の本場はフランスやヨーロッパですが、中東のブランドには中東っぽさがあるので、それならば日本にも“ローカル”な香りがあってもいいのではと。日本にも古くから「香道」があり、香り自体が根本的に嫌いというわけではないんです。だから、日本人の香りに対する細やかな感覚をもっと楽しめる香水を作ろうと思いました。

中森友喜(ノーズショップ代表取締役社長/コーグ代表取締役社長)

ー新会社KO-GUで運営するんですね。

 「香りの民主化」や「嗅覚の理解力の向上」という最終的な目指すところは同じですが、ノーズショップはニッチフレグランスの卸・小売りですが、コーグはメーカーで、事業としては全く別の動き方になります。ニッチフレグランスを売るのと、オリジナルのさらに日本人の感覚に寄り添うという意味で、ニッチとは真逆の商品になるので、個別の事業として別会社での運営になります。ただ、社長の僕も含めてスタッフも兼任ですから、目指すべきところはブラさずにやっていこうと思っています。

ーでは、コーグとは一体どんなブランドなんでしょうか。

 基本の考えはノーズショップと同じで、主役はつける方の「鼻」。今回はオリジナルブランドなので、そこで作る香水は「部品」で、つける方が選び、身につけることで完成するようなものとして考えています。ブランド名は「香具と工具」のダブルミーニングで、日本人に道具のように親しみをもって香りを楽しんでもらえるようにと名付けました。

ー「日本人向けの香り」と聞いて、お香のような和風の香りをイメージしました。

 キツい香りが苦手な日本人も楽しめる、と考えるとそういうイメージは確かにありますよね。あとはアロマのような優しい香りとか。僕たちがコーグでやりたいのは、あくまでも日本人的な感覚を持って香りを楽しむということなので、和を打ち出すわけではないんです。キツいと感じる香りでも、一方でその複雑さや緻密なノートが奥深さでもあります。コーグでは、そういう香りの繊細な部分を残しつつ、刺激を感じない香りを調香するのに苦労しましたね。

ー「刺激を感じない香り」とはどのように表現しましたか?

 そこで重要なのが天然香料なんです。ムスク以外はすべて天然香料を使いました。ガッツンと鼻にくるような香りではなく、香りの核がじっくり訴えかけるようなところが魅力です。調香は香水の都であるフランスのグラースを拠点とする天然香料メーカーさんにお願いし、ベース、ミドル、トップの香水ならではの香りの変化もしっかり楽しめるようなものにしています。香水を作るときに香料の澱(おり)を濾過する作業があるのですが、僕らはあえて濾過せず澱を残してもらったんです。

ー澱が入ることによる違いとは?

 一言でいうと、香りに深みが出ます。野菜の皮のように実はここに香りの核となる成分があることも多いのですが、澱が沈殿するため見栄えの面で削ぎ落とすことが一般的です。でもこの澱でも刺激を感じない、まろやかでじっくりと香るエッセンスがあったりするんです。

ー製造面で通常よりも難しかったりするのでしょうか。

 単純に考えると濾過の工程が通常よりも少なくなるので簡単になると考えがちですが、大事な澱を残しながら不純物はしっかりと取り除いていただくので、難しいことをお願いしているとは思います。製造工場を探す過程で、こういう香水が作りたいと話すと、「不純物に見えたりして、見た目が悪くなるから絶対にやめた方がいい」と言われることが圧倒的に多くて(笑)。今製造をお願いしている日本の工場の方は、僕らの挑戦や香水文化を広げたいといった姿勢にも共感してくださいました。調香から製造まで、このこだわりを納得がいく形にするまでに約2年半かかりました。

ーシンプルに見えてこだわりが詰まっているんですね。香りは30種類ありますが、「イランイラン」や「ピンクペッパー」「グリーンティー」など香りのイメージがつきやすい名前が多いです。

 「分かりやすさ」も重視しています。香水に詳しくなくても、ローズ系の香りとか、グリーンっぽい香りが好きだなという漠然とした好みがあったりしませんか?プロダクト自体のストーリー性を極限まで削ぎ落とすことで、これまで香水と距離を置いていた人でも、「なんとなく柑橘系の香りは好きかも?」というふうにカジュアルに選ぶことができるようにしました。ニッチフレグランスだと香料を明かしていなかったり、世界観やストーリーから香りを理解してもらうことも多いと思います。それが見えない香りに“映像”をつけてくれて素敵だけれども、香りそのもののイメージが分かりにくい部分もあるんですよね。コーグではそれとは真逆でとことん分かりやすい香りを作ることで、マス層にストーリーなどを考えずに香りに触れる機会を増やしたいと思っています。ただ、名前はわかりやすいですが、その香料だけを使うのではなく、奥深さや繊細な香りの変化が出るように実は緻密なノートで構成されているんです。

ーなるほど。ひとつずつ複雑なノートで調香されていますが、重ねづけを前提としているのが斬新ですね。

 天気や気分、服装によって自由に選べるように、「自分だけの香り」としてまとっていただくために重ねづけを提案しています。もちろん単体でも魅力的に香るように調香していますが、重ねづけの余白を残すことで、よりお客さまが主体的に香りに向き合えるのではないかと。重ねづけのパターンは単純計算で2つで約400種類、3つで約4000種類と無限の可能性があります。30種類すべてのベースの香りを共通で作ることで、重ねづけしてもまとまるようにしているのも特徴です。

ー30種類もあると、かえって選ぶのが難しそうな気もしますが。

 店内は基本的にセミセルフ方式ですが、店頭スタッフは全員フレグランススペシャリストなので、わからないことがあればいくらでも相談にのることが可能です。また、コーグ専用「香水ガチャ」も用意します。3つのガチャを揃え、それぞれトップ、ミドル、ベースに分かれているので、おみくじ感覚で偶然の組み合わせを楽しめるのではないでしょうか。さらに、小型化した「カオリウム」も設置するので、好きな香水の言語的なイメージからパーソナライズすることもできます。香りの初心者でも遊び感覚のあるエンタメ要素に加えて、コンバインが可能で自分だけの香りを作れるという上級者もハマれるような商品構成で、客層はかなり幅広くなるのではと予想しています。

ー価格やサイズはニッチフレグランスと比較して少量で低価格なのが魅力のひとつですね。

【コーグの商品ラインナップ】
・単品(4mL):1760円
・単品(20mL):4180円
・香水ガチャ(4mL):1000円
いずれも税込価格

 重ねづけや気分で自由に選べる提案だと複数購入が基本になりますから、それを踏まえて手に取りやすい量と価格を設定しました。ニッチフレグランスはブランドの世界観やストーリー性を追求した香りを作るのに相応の価格ですが、普段香水をあまりつけない人からすると、いきなり100mLで2万円の香水を買うのはハードルが高いと思います。コーグではそういった人たちにも、まずは香水を楽しんでもらうことを目的にしています。

ー販促となる世界観やストーリーを削ぎ落としているコーグでは、何をフックにPRしていくのでしょうか?

 コーグの魅力は分かりやすさと、レイヤリングによってアレンジできる余白なんです。分かりやすさという広い間口から、自分の好みを軸に自由に重ねづけできるところが魅力です。そういう懐の深さというか、お客さまと交流しやすい点を活かして広めていきます。

ーノーズショップで扱うブランドと競合になりませんか?

 そこは、ノーズショップをやってきた僕らがオリジナルの香水を作るとなったときに一番シビアに追求しました。手前味噌ですが、日本で僕らほどニッチフレグランスに敬意を払っているところはないと思っています。だからこそ、ブランドの棲み分けはしっかりしつつも、香水という大きなジャンルの中で行き来して楽しめる相補性のあるものが必要だと考えたんです。ノーズショップではさまざまなコンテンツで香水との距離を縮めてきましたが、コーグでやろうとしているのは香りそのものを楽しめる土壌を耕すこと。単なるニッチフレグランスの下位互換にならないように、コーグの香水自体も原料から調香にいたるまで本物でなければいけませんから、自信を持って高品質と言えるものに仕上げています。

ー“香りの民主化”に向け、取り組む施策は?

 ノーズショップよりさらに具体的な香りのワークショップを行えるのではないかと。まだプログラム化には至っていませんが、例えばムスクやモスってどんな香りなのか、セミナーのようなことは是非やりたいと考えています。商品選びの参考にもなるし、香水をより深く味わえるのではないでしょうか。

ーノーズショップではお客参加型の「みんなの鼻プロジェクト」を行っていますが、コーグでこういった取り組みの構想は?

※みんなの鼻プロジェクト
香水についてユーザーアンケートを取り、
「爽やか」「みずみずしい」などイメージをラベリングする。
ユーザー目線で「香りのディクショナリー」を作ることで香りの解像度を上げ、
語彙を増やすことができるというプロジェクト。

 先ほどからお伝えしている通り、コーグはお客さまが重ねづけのレシピを考えてこそ完成するような余白があり、十人十色のレシピが存在します。そこを活かして、SNSで各人のレシピが行き交い、コミュニティ化できると面白いなと。実はブランドや商品名を簡潔にしたのは、投稿する時に文字数を取らないためでもあるんです。

店頭で置くムエット。香道で実際に使われる道具からインスピレーションを得た。

ー1号店をルミネ新宿に出店します。今後の出店計画を教えてください。

 まずは1号店の認知をしっかりあげていきます。ノーズショップは取扱ブランドとも親和性のある限られたエリアに出店していくと思いますが、コーグはブランドとともに香水と人々の距離を縮める使命もありますから、今後の出店は全国をターゲットに多店舗化を見据え、直営のECも開設予定です。

ー商品数も増えていくんでしょうか?

 ボディケアやヘアケアなど香水の一歩手前で香りを身につけるようなものを出していくことで、香りと日常の距離をもっと縮めていけたらと。すでに重ねづけの要領で、これとこれを組み合わせるとトイレタリーに良さそうだなとか、この香りと香りのコンバインはボディクリームに合うなど、スタッフの間ではアイデアが生まれてます。香りを日常の中でもひとつのツールにしていきたいので、さまざまな商品への応用を考えています。

(聞き手:平原麻菜実、福崎明子)

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