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アントワープ・シックスに迫る映画「THE SIX」公開へ、世界初上映イベント開催

文・芳之内史也

映画「THE SIX」のポスター

Image by: DOVER STREET MARKET GINZA

映画「THE SIX」のポスター

Image by: DOVER STREET MARKET GINZA

映画「THE SIX」のポスター

Image by: DOVER STREET MARKET GINZA

 ベルギーの博物館Fashion Museum Antwerp(以下、MoMu)とドーバー ストリート マーケット ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA)が、デザイナー集団「アントワープ・シックス(Antwerp Six)」に迫るドキュメンタリー映画「THE SIX」の世界初上映イベントを東京・お台場で開催した。映画公開に先駆け行われたプレミアイベントで、日本では来春の劇場公開を予定している。イベントには、同作のライナー・ホルツェマー(Reiner Holzemer)監督とMoMuのカート・デボ(Kaat Debo)館長が登壇。制作の裏側や作品に込めた思いなどについてトークショーを行った。

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 同作は、「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」や「マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”」などを手掛けたライナー・ホルツェマーが監督を務めたドキュメンタリー作品。ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)、アン・ドゥムルメステール(Ann Demeulemeester)、故マリナ・イー(Marina Yee)、ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク(Walter Van Beirendonck)、ダーク・ヴァン・セーヌ(Dirk Van Saene)、ダーク・ビッケンバーグ(Dirk Bikkembergs)で構成されるアントワープ・シックスをフィーチャーした。アントワープ王立芸術アカデミーで学んだ日々から、彼ら自身のパーソナルな物語やファッション観、互いの友情がもたらした影響などが、2025年に死去した故マリナ・イーを含む6人全員の貴重なインタビューを通じて語られる。

 上映会後のトークショーでホルツェマー監督は、「日本で最初の上映ができることをとても嬉しく、光栄に思う」と挨拶。アントワープ・シックスにとって日本は非常に重要な国であり、1970年代後半から80年代前半にかけて、川久保玲や山本耀司をはじめとした当時の日本のデザイナーたちがどのように服を提示し、ブランド全体の世界観を作り上げているかを見た経験が、彼らのクリエイションに大きな影響を与えたと語った。

 公の場で自身のストーリーを語ることに消極的だったアントワープ・シックスの面々に出演を承諾させた背景には、メンバーの一人であるドリスの存在があったという。監督が手掛けたドキュメンタリー映画「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」をドリス本人が高く評価しており、「あの映画に出て後悔したことは一度もない」と他の5人を説得したことが大きな後押しになったという。また、撮影監督を置かず、自身でカメラを回し音声担当1名のみという最小限のクルーで現場に入る監督独自の撮影手法も信頼獲得に繋がった。

 イベント後半のQ&Aセッションでは、会場から「アントワープ・シックスの成功は、自国のクリエイションに対するベルギーの若い世代にどのような影響を与えたか」という質問が投げかけられた。これに対しデボ館長は、「彼らは間違いなく次の世代への扉を開きました。しかしその影響力はあまりに大きく、次の世代(ラフ・シモンズなど)が台頭する1995年まで約10年もの時間を要すことになったのです」と当時の状況を説明。また、ベルギーにファッション産業がなかった時代に、国が才能へ投資してきたことが成功の要因だったとし、「彼らも最初から成功していたわけではなく、アン・ドゥムルメステールが映画で『30年間、息子と休日を過ごせなかった』と語ったように、不安や疑念を抱えながら必死に働いていました。彼らの姿から学ぶべき人間としての教訓は多い。今の若いデザイナーたちは、彼らと同じ道ではなく、自分自身の新たな道を見つけなければなりません」と語った。

 続いてホルツェマー監督は、「彼らは自身のストーリーを語ることを好まなかったため、この映画でファッション史におけるその空白の章を閉じる(記録として残す)ことが最初の目的でした」と制作の意図を明かした。さらに現在のファッション業界について「フロントロウにセレブリティが並び、そこにお金が費やされ、純粋なクリエイティビティが失われつつある」と懸念を示し、「アントワープ・シックスの6人がそれぞれ全く異なる個性を持ち、独自の方法でクリエイティビティを追求してきた姿を記録した本作を通して、若いデザイナーやあらゆる分野のクリエイターたちが、自分自身の声やシグネチャーを見つける勇気を持ってほしい」と次世代に向けた熱いメッセージでイベントを締めくくった。

最終更新日:

■ 映画「THE SIX」
日本公開:2027年春予定(※ベルギー本国では秋公開予定)
監督:Reiner Holzemer
音楽:Dez Mona
出演:Walter Van Beirendonck、Ann Demeulemeester、Dries Van Noten、Dirk Bikkembergs、Dirk Van Saene、Marina Yee 

文・芳之内史也

Fumiya Yoshinouchi

FASHIONSNAP ディレクター

1986年、愛媛県生まれ。立命館大学経営学部卒業後、レコオーランドに入社。東京を中心に、ミラノ、パリのファッションウィークを担当。国内若手デザイナーの発掘と育成をメディアのスタンスから行っている。2020年にはOTB主催「ITS 2020」でITS Press Choice Award審査員を、2019年から2023年までASIA FASHION COLLECTIONの審査員を務める。

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映画「THE SIX」のポスター

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MoMuのカート・デボ館長とライナー・ホルツェマー監督

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ライナー・ホルツェマー監督

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