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【2022年ベストバイ】ユナイテッドアローズ 栗野宏文が今年買って良かったモノ

Video by: FASHIONSNAP

栗野宏文が選ぶ今年読んでよかった本3冊

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ルバイナ・ヒミットの図録

テートモダンで開催された企画展の図録

ルバイナ・ヒミットの図録

栗野:彼女の名前はルバイナ・ヒミット(Lubaina Himid)。 ザンジバル出身の女性画家で、こちらもテート・モダンで個展が開催されました。

F:会場には行ったんですか?

栗野:はい、この展示は9月に直接見ることができました。彼女は「1980年代における最も重要なアフリカ系アーティスト」という風にイギリスで言われているそうです。

F:最近のテート・モダンは、短いスパンでブラックアーティストを紹介しているんですね。

栗野:そうなんです。アフリカ系のキュレーターも入れて、強くプッシュしている。それはテート・モダンだけではなく、イギリスという国全体が「今まで見落としてきたものを見ましょう」という態度があるな、と。LVMHプライズ2016のグランプリに輝いたグレース・ウェールズ・ボナー(Grace Wales Bonner)やLVMH2021のファイナリストにクリストファー・ジョン・ロジャーズ(Christopher John Rogers)が選出されたりと、重要なアフリカ系デザイナーが出てくる下地はこういうところにもあると思っています。

テートモダンで開催された企画展の図録

F:作品を見ると、色彩感覚がアジアやヨーロッパ圏とは異なる印象を受けますね。

栗野:見ている景色が我々とは全く異なるというのが理由の一つとしてあると思います。光の粒子が日本やヨーロッパとは違うそうです。例えば、アフリカではコダック(Kodak)のフィルムカメラだと綺麗に撮れるけど、富士フィルムのカメラだと少し黄みがかった色合いになるとか。

F:彼らが生まれ育ってみてきたものが、色彩感覚や服のデザインに表れてくる。

栗野:そうだと思います。ヨーロッパ圏のカルチャーは「自然を征服すること」だけど、アフリカのカルチャーは「自然と共に」。つまり、シャーマニックな側面が他の文化圏よりも強い気がします。自分も自然の一部である、という感覚が強いのであれば、あのような色が出てくることに、何ら不思議はありません。

栗野宏文

栗野:コロナ禍になって、日本から出られなくなりましたが「海外に行きたいな」「コレクションを見たいな」という気持ちはみなさんがおっしゃっているほど強くなかったんです。でも「美術館に行きたい」という気持ちはとても強くありました。

F:どうしてそこまで美術館に行きたかったのでしょうか?

栗野:僕にとって、美術館というのはディレクションするときにとても重要なヒントになるんです。というのも、「ファッションはファッションだけでできていない」という僕自身の考えがあるから。社会潮流や時代の流れに基づく人々の感情がファッションを作ってきたし、人々の暮らし方や選挙の結果など、その全てがファッションが生まれるバックグラウンドになっている。だから今回美術館で得ることができた“ネタ”は「来年は、みんなもこういう気分なんだろうな……」と非常に役立ちました。

F:具体的にはどのようにディレクションに活かされそうですか?

栗野:「カオス上等」とでも言えばいいんでしょうか。このカラフルさと、このぶっちぎり加減は参考にしたいですね。

吉田徹著「くじ引き民主主義 政治にイノヴェーションを起こす」

吉田徹著「くじ引き民主主義 政治にイノヴェーションを起こす」

F:この本を手に取ったきっかけは?

栗野:「これから民主主義はどうなるんだろう」と考えている時に、東京新聞が読書欄で触れていました。買って読んでみたらとても面白い本でした。

F:どういった内容の本なんでしょうか?

栗野:機能不全を起こしている代表制民主主義の補完として、くじ引き民主主義の導入について検討しています。くじ引き民主主義こそが、もっとも根源的な民主主義に近いものなのではないか、と。

F:そもそも「くじ引き民主主義」というのはどういったものなんでしょうか?

栗野:今の裁判員制度がもっともイメージに近いです。くじびき民主主義を導入することで、当事者意識を持ってもらおう、と。もちろん、選挙で投票をして政治を変えようとするのは正しいことなんです。でも、実際問題として、選挙運動にはとてもお金がかかることもあり、志が高いだけでは選挙に出馬することができないんですよね。それでどのようなことが起こるかというと、特に地方では村長や町長の成り手がいないんです。つまり、無投票で次期町長が決まったりするし、町議会が成り立たない。

F:そういうことであれば、くじ引きで町長や町議員を選べばいいじゃないか、と。

栗野:その通りです。しかも、くじ引きは「民主主義の祖」とも言われているギリシア時代からずっとある方法で、ソクラテスやプラトンの時代に、くじ引きで代表を決めていたそうです。ある種、究極の平等性ですよね。そういうことが非常にわかりやすく記されています。

ヤニス・バルファキス著「父が娘に語る経済の話」

ヤニス・バルファキス著「父が娘に語る経済の話」

栗野:タイトル通り、父親が娘に経済と世界の話をわかりやすく伝えているという体裁で展開される本です。著者であるヤニス・バルファキスさんはギリシャの財務大臣も経験されています。僕が説明するより、目次に目を通した方がどのような内容なのか分かり易いと思います。

F:ヤニス・バルファキスさんの他の著作品は他に読まれましたか?

栗野:実は先に「クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界」という本を読了しました。それが面白かったので、今回紹介した本を手に取ったんです。

F:ヤニス・バルファキスさんの魅力はどこにあると思いますか?

栗野:語り口がとにかくわかりやすい。相手に寄り添っているというか、文章も口語に近しいんです。あまりにもおもしろかったので、娘にプレゼントしました(笑)。

今年のお買い物を振り返って

F:挙げていただいたアイテムのうち、半分が服以外のアイテムでした。

栗野:10個も紹介できるのだったら、やっぱりユーザーのみなさんに「本や音楽もちゃんと紹介したいな」と思いました。

F:服もシンプルなデザインのものが多かった印象です。

栗野:さっきも言いましたが「ちゃんとしたい」という気持ちが高まった一年でしたね。というのも、最近の服はバズるためのデザインが多い気がしていて。「装飾のための装飾」という感じで、服としてあざといものが増えたな、と。人が着る物という前提に立ってないデザインがあまりにも増えてしまって、残念ながら僕は共鳴できないんです。

F:それはやはり「ファッション=カルチャー」であるという持論があるから?

栗野:そうですね。デザインやクオリティもそうだけど、45年、こういう仕事をしてきたから「何をネクストジェネレーションに残すか」ということが大事になってきました。僕が残すとしたら、トレンド云々ではなく、カルチャーとしての厚みを感じられる服。それが結果的に「ちゃんとしている服を着たい」という気持ちに繋がった気がします。

F:「流行り廃りは関係ない」というポリシーも、今回の取材で栗野さんが繰り返し言われていましたね。

栗野:僕はトレンドや流行で生きていません。人に勧めるとしても「これは流行っているから、買った方がいいよ」とは絶対に言いません。実際に自分が使ったり、読んだりして良いと思ったものをレコメンドするし、仮に僕自身が使ったことがなかったとしても「これはあなたに似合うからこそ勧めたい」と誠実に伝えたいと思っています。

栗野宏文
ユナイテッドアローズ上級顧問クリエイティブディレクション担当。大学卒業後、ファッション小売業界で販売員、バイヤー、ブランド・ディレクター等を経験。1989年にユナイテッドアローズ創業に参画し、販売促進部部長、クリエイティブディレクター、常務取締役兼CCO(最高クリエイティブ責任者)などを歴任し、現職。2004年に英国王立美術学院より名誉フェローを授与。LVMHプライズ外部審査員。無類の音楽好きでDJも手掛ける。

■ユナイテッドアローズ栗野宏文のベストバイ

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【2022年ベストバイ】
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モード後の世界 (扶桑社BOOKS)

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