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【2022年ベストバイ】NOSE SHOP代表 中森友喜が今年買って良かったモノ

書籍「匂いの人類学」

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書籍 匂いの人類学

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中森:2009年に出版された本でそこそこ古いんですが、すごく面白くて。最近、香りについて歴史的・科学的観点からあれこれ喋るポッドキャストをスタートしたのですが、この本はポッドキャストを始めるきっかけになった一冊。嗅覚専門の認科学者で、生物学や神経学にも精通したエイヴリー・ギルバート(Avery Gilbert)さんという方が、学術的な根拠に基づいて香りについて語り尽くすといった内容です。

F:どのような話が書かれているのでしょうか。

中森:例えばアロマセラピーって本当に効くのかとか、犬は本当に人間の1億倍の嗅覚を持っているのか、だったり。あとは、そもそも「匂いの種類って何種類あるの?」「人が鼻を鍛えるためにはどうしたら良いか?」といったことを掘り下げて解説していたり。そうした内容が学術的に且つ分かりやすく書かれています。

書籍 匂いの人類学

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F:読み応えのある興味深いテーマが盛り沢山ですね。

中森:訳者の勅使河原まゆみさんの翻訳も素晴らしくて。学術本と聞くと難しいイメージを持たれるかもしれませんが、そんなことはなくてユーモアも交えつつテンポの良い文章で、とても読みやすいです。

F:匂いの世界はまだまだ解明されていないことが多い?

中森:そうですね。嗅覚系の研究で初めてノーベル賞受賞者が出てきたのはほんの10数年前で、五感の中で最も解明されていない領域です。この本は目から鱗の情報が多く、読み応えのある一冊。フレグランスに関わる方など全ての嗅覚関係者に是非読んで頂きたいです。

F:匂いの研究はどの国が進んでいるのでしょうか。

中森:ノーベル賞を受賞したRichard Axel先生、Linda Buck先生という嗅覚系の研究の第一人者がいるので、やはりアメリカが一番進んでいるのではないでしょうか。日本の学術研究もとても進んでいて、良い研究結果を出されている研究者の方が沢山いらっしゃいます。

書籍 匂いの人類学

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匂いの人類学 鼻は知っている

匂いの人類学 鼻は知っている

著: エイヴリー ギルバート 翻訳: 勅使河原 まゆみ
メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
価格: ¥1,902(2022/12/21現在)

ロバート・ボシシオの絵画「Untitled, 2020」

ロバート・ボシシオの絵画

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F:続いては各地で個展を開催し、世界的評価も高いイタリア出身のアーティスト ロバート・ボシシオ(Robert Bosisio) による絵画。2018年には日本で初めて個展を開催しましたね。

中森:ヴィム・ヴェンダース(Wim Wenders)監督がボシシオさんの作品を数多く所有していることでも知られていますね。ボシシオさんのファンであり、良き友人として長年交流があるらしいです。

F:間近で見ると抽象画のような印象を受けましたが、少し離れて鑑賞すると唇が描かれていることが分かる不思議な絵ですね。どのようなきっかけで購入されたのでしょうか。

中森:確か今は移転しているのですが、池尻大橋の104GALERIEで4年程前に個展を見に行ったのがボシシオさんの作品との出会いでした。アート鑑賞が好きなのでギャラリー巡りをよくするんですが、104GALERIEは倉庫を改装したようなだだっ広い、荒々しい空間でその空間自体が好きで以前から時々訪れていた場所なんです。

 個展に行った日は、暴風雨で雷も鳴っていてものすごいコンディションが悪かったんですよね。そんな中で訪れてみたら、窓から見える雨曇と会場内に並ぶボシシオさんの作品とのコントラストがものすごく幻想的で美しさに衝撃を受けて。暴風雨の中に佇むアート作品の神聖さを目の当たりにして一瞬でファンになりました。

F:ドラマチックな作品との出会いだったんですね。

中森:当時は全て売却済みになっていて、いつか自分も買うことができたら...という想いがずっとあったんです。数年ぶりに104GALERIEで個展が開催されることを知って購入を決めました。

ロバート・ボシシオの絵画
ロバート・ボシシオの絵画
ロバート・ボシシオの絵画
ロバート・ボシシオの絵画
ロバート・ボシシオの絵画

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F:数ある作品の中からこの作品に決めた理由は?

中森:ビビッと来たと言いますか、ひと目見て引き寄せられるものがありました。2018年に行った個展でも、女性の顔の作品や部屋を描いた作品など様々なモチーフの絵画が並ぶ中、人の顔のパーツを描いたものはずっと印象に残り続けていました。僕自身はフレグランスという鼻の領域に関わる仕事をしていて、そのすぐ近くにある唇というパーツを描いた作品にどこか縁というか繋がりを感じていたのかもしれません。

F:吸い込まれそうな神秘的な雰囲気ですね。ずっと見ていても飽きない不思議な魅力があります。

中森:自宅の窓辺に飾っているんですが、良くぼーっと眺めています(笑)。窓辺に飾ると、青い空に浮かんでるような浮遊感が感じられるので。

F:アート作品を購入される機会は多いのでしょうか。

中森:今年はあまり買っていないですが、現在は30点程アート作品を所有しています。日本の作家さんの作品を購入することは多いですね。現代アートにすごく詳しいというわけではないんですが、ギャラリーに行って在廊されているアーティストに、作品の背景や制作過程のお話を聞くという体験がすごく好きなんですよね。ニッチフレグランスにも通ずる部分があるのですが、作り手が「こういう世界を実現したい」「こういうストーリーでこういうものを作りたいんだ」っていう熱い思いに触れるのが好きで、それを少しでも応援したい、盛り上げたいという思いがあって。

F:アート作品を選ぶ基準はありますか?

中森:20〜30代の若手アーティストの作品を購入することが比較的多いかもしれません。かと言って、投資的な視点で選んではいません。単純かもしれませんが、自分がビビッと来るか、作家や作品のストーリーに共感できるとか、あとは部屋に置いた時にしっくりくるかで選んでいますね。

NOSE SHOP代表 中森友喜

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F:アートに興味を持ったきっかけは?

中森:村上隆さんの本を随分前に読んで、 現代アートってこういう風に理解すればいいんだっていうフレームワークを勉強したことがあったんです。要は文脈がすごく大事で、その文脈において、現代アーティストとしての立ち位置を作るのは非常に重要な戦略なんだってことを言われてるんですよね。自分をどの位置付けに置くのかというところをメタ認知した上で現代アートを描く。完全にマーケティングなんですよね。現代アートは感性の世界だと思い込んでいましたが、マーケティングから捉え直すことができるんだと学んでからアートへの興味が高まっていったと思います。

 そうした時、ニッチフレグランスも現代アートとすごく重なる部分があるのではないかと気付いたんです。フレグランスの歴史的背景を理解した上で、これまでとは別の観点から新たな意味を見出すと、新しい価値が生まれてヒット作が生まれることがある。そういった意味では勉強するだけでなく、実際に買ってみないと分からないこともあるんじゃないか、と。アート作品を所有することには、見るだけでは分からない買ってこそ見えてくる気付きや体験があると考えています。

森靖の彫刻作品「Wild thought - Pile of poo」

森靖の彫刻作品

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F:気鋭アーティスト 森靖(もり おさむ)さんは近年、エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)をモチーフにした巨大作品など躍動感のある大胆な木彫り彫刻を発表されています。「Wild thought - Pile of poo」は排泄物をモチーフにした何ともユニークな作品ですね。

中森:よく買ったなって自分でも思います(笑)。森さんは彫刻家として今1番勢いがあって、現代アート界隈では非常に注目されている作家さんなんですよ。この作品を見た時、単純に良いなって思って。見るたびにニコニコしちゃう作品です。

F:この作品はどこでご覧になったんでしょうか。

中森:「ソノ アイダ#新有楽町」という新有楽町ビル1階の空き店舗を活用するアートプロジェクトがあるんですが、その中の企画「ARTISTS STUDIO」の第1弾アーティストとして藤元明さん、森靖さんが2人で制作過程を見せながら作品を展示をするという取り組みを行っていたんです。そこでこの作品と出会いました。

 我々は普段、どちらかというとアートを受け取る側、完成して飾られている状態を見ますよね。ARTISTS STUDIOでは、一本の木だったものが削り取られ作品として息を吹き込まれていく過程、アーティストが制作に悩んでる姿などを約1ヶ月半にわたり間近で見ることができたんです。以前から森さんのファンでしたが、会場にお邪魔して改めて森さんの作品に魅せられて。森さんは実際にお話してみるとすごく面白くて素敵な方なんですよ。で、気づいたらこの作品を買っていました(笑)。

NOSE SHOP代表 中森友喜

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F:1本の木から削り出したこの作品からは荒々しさや力強いエネルギーが感じられます。

中森:排泄物って僕の中では死のメタファーみたいなところがあって。人間は何かを食べてそれから排泄するという現象に終わりや輪廻を感じると言いますか。この作品はそういった象徴、「メメント・モリ」を感じさせる作品だなと僕は勝手に解釈しています。仕事場に置いていてふとした時に眺めています。

森靖の彫刻作品
森靖の彫刻作品
森靖の彫刻作品

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ウクレレ「Collings Tenor UT41K」

コリングス・ギターのウクレレ

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F:最後は、テキサス州の弦楽器メーカー「コリングス・ギター(Collings Guitars)」が製造したウクレレです。

中森:コリングスはアコースティックギターの名門ですが、そこが2011年頃になぜかウクレレを作り始めたんですよね。現在は生産中止してしまった製品ですが、楽器屋で見つけて中古で購入しました。

F:いわゆる一般的なウクレレのサイズよりも少し大きい印象です。

中森:ウクレレってソプラノ、テナー、アルトの主に3つくらいのサイズに分かれていて、このウクレレはテナーサイズといって比較的大きなサイズなんです。どちらかと言うと馬力があって、大きな音色が出せるのが特徴ですね。

F:なぜウクレレを購入されたんですか?

中森:社会人になって何か趣味を持ちたいとなった時に、昔ギターを弾いていたこともありウクレレを始めたんです。10年ぐらい前ですかね、コリングスの新品のウクレレを購入したことがあって。その後、起業してまだビジネスが軌道に乗り始める前だった頃、どうしてもお金がなくて泣く泣くヤフオクで売って手放した過去があるんです...。

NOSE SHOP代表 中森友喜
NOSE SHOP代表 中森友喜
コリングス・ギターのウクレレ
コリングス・ギターのウクレレ
コリングス・ギターのウクレレ

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F:手放したウクレレは高値で売れたのでしょうか。

中森:購入時は30〜40万円程でしたが、ヤフオクで売れた時はその半額以下、10数万で手放すことになりました。コリングスのウクレレの音色が忘れられなくて、ずっと後悔していたんです。やっぱりもう1度コリングスのウクレレが欲しいなと思い直して、しばらく探してはいたのですが、そもそも流通量が多くない楽器なので全然見つからなくて。たまたま今年の頭に楽器屋さんで運良く見つけて、リベンジとして買い直しました。

コリングス・ギターのウクレレ
コリングス・ギターのウクレレ
NOSE SHOP代表 中森友喜

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F:当時持っていたものと同じモデルですか?

中森:当時は確か「UT1」「UT2」「UT3」という3モデルが展開されていて、僕はUT3というモデルを持っていました。これは「UT41」というカスタムモデルで、使われている素材や装飾がUT3と少し違っていて。当時持っていたものよりももう少し良いモデルですね。

F:ウクレレは独学ですか?

中森:YouTubeを見ながら独学で練習しています。でも全然上達しなくて、家の中でこっそりと弾いていますね(笑)。艶がある音なので、弾いていて癒やされる。良い音色です。

今年を振り返って

NOSE SHOP代表 中森友喜

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F:店舗やギャラリーなどリアルな場での人・モノとの出会いを大切にされたお買い物でしたね。改めて、今年のお買い物を振り返っていかがでしたか?

中森:買い物って自分の健康チェックみたいなところがあると思うんですよ。自分の中でピンと来たものがちゃんと買えているかどうか、意思決定ができているかどうか。経営者として意思決定はとても重要な要素だと思っていまして。買おうかどうか悩んでる時間も確かにすごく楽しいですし、その時間も1つのエンターテインメントだとは思っているんですが、経営者として日々色々な決定をしていくことに慣れなければいけない。そういった意味では気に入ったものがちゃんとビビっとくるかどうか。そのビビッときたものに対して買うという意思決定がスピーディーにできるかどうかというのは、経営者としての"健康度合い”を測るパラメーターのように考えています。今年は、良いものに沢山出会えましたし、それをテンポ良く「よし買おう!」と意思決定がスムーズにできました。とてもヘルシーな1年だったと感じています。

F:来年はどのような1年にしたいですか。

中森:冒頭でコム デ ギャルソンの話をしましたが、デザイナーとして経営者として仕組み全体をクリエイトしているところが川久保さんの1番かっこいいところだなと思っていて。僕らもクリエイションだけではなく、しっかりと長く存続できる組織体として会社を成長させていくべきだと強く思っています。ノーズショップや新ブランドの「コーグ(KO-GU)」を30年、40年先も続けていけるようなブランド作り、それを見据えた組織作りに注力していきたいと考えています。

NOSE SHOP代表 中森友喜

■中森友喜(ノーズショップ代表取締役/コーグ代表取締役)
新卒で国税局に入局。その後ゼイヴェル(現:ブランディング)に転職し、ギルドコーポレーションの社長を経験。2011年7月にビオトープインク(2021年に社名を現在のノーズショップに変更)を設立し、インポーター事業を始める。2017年に「NOSE SHOP」1号店をニュウマン新宿にオープン。コンセプトや世界観のエッジが効いたニッチフレグランスを豊富に展開している。現在、国内で10店舗を運営。今年3月にはオリジナルブランド「コーグ(KO-GU)」を立ち上げた。
NOSE SHOP:公式サイトInstagram

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